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ユーザーの行動分析がなぜ大事なのか

皆様、ユーザーの行動分析を行っていますか?

本日は、私が個人的に考えているユーザーの行動分析の重要性について話したいと思います。

私自身はエンジニアですが、1年間にわたり、ユーザーの行動分析に関してイベント計測の設計から導入、そして運用まで行ってきました。
また、日常的に行動分析ツールを使用してデータを計測し、そのデータを基に仮説検証を行っています。
そこで得られる価値を皆様にも伝えることができればと思っています。

このような話題では、しばしばマーケター中心の議論になりがちですが、エンジニアやデザイナーを含む全てのメンバーがユーザーの行動分析を行えるようになることには、多くのメリットがあると考えています。

1.行動分析とは?

Google Analytics(以下、GA)は、アクセス解析ツールとして広く知られていることでしょう。
確かにGAは優れたツールですが、プロダクトの価値を理解する上では、少し役不足だと考えています。

ではなぜでしょうか?行動分析ツールで知られるAmplitudeでは、以下のような比較が行われています。

比較記事を読むと分かるように、GAでは全体の数値傾向は把握できますが、「ユーザーがどのような行動を取り、どの数値に影響を与えているのか」という詳細はわかりません。

● ユーザーの流入タイミングと方法
● ユーザーの行動パターンとタイミング
● 特定の行動がもたらす結果
● 存在するペルソナの特徴
● ロイヤルなユーザーが取る行動の特徴
● 離脱したユーザーの行動パターン
● 特定の行動を何回行ったユーザーのリテンション率

とりわけ、これらの情報をGoogle Analytics(GA)で詳細に短時間で把握することは難しいです。

2.なぜ行動分析なのか?

事業の成長において、まず必要な要素は2つあります。

● 正確な数値の計測:
事業としての数値を正確に把握することが重要です。

●ユーザーの正確な理解:
ユーザーを深く理解し、そのニーズや行動を把握することが必要です。

ひとつめの要素である「事業としての数値を正しく計測すること」において、主要なKPIに加えて行動分析が不可欠です。

3.ユーザーの解像度

なんとなくでユーザー像を設定していませんか?少人数の段階では明確なユーザーと課題を把握していたかもしれませんが、ビジネスがスケールしていくと共に、売上が増えるにつれてユーザーの解像度が低下している可能性があります。

それはなぜでしょうか?それは、様々な課題を抱えたユーザーがプロダクトを利用するようになるからです。
そして、それぞれのユーザーが異なるポイントで価値を感じ、プロダクトを利用しているのです。

よくある間違いは、「私たちが提供している価値は〇〇だから、ユーザーが感じている価値も〇〇であるはずだ。だからユーザーは〇〇な人だ」という思い込みで、プロダクトの価値やユーザーを決めつけてしまうことです。
このような事業は多いように感じます。

しかし、本当にそうでしょうか?恐らくユーザーは異なる価値を感じているはずです。
大企業でもスタートアップでも同じです。
ユーザーが誰であり、ユーザーがどのような価値を感じてプロダクトを利用しているのかを正しく把握しなければ、適切な施策を打つことはできません。
リソースが限られたスタートアップや中小企業では、効果のない行動は非常に痛手となり、リソースの無駄使いとなってしまいます。

4.定量と定性

データを収集することに関しては、デジタルの普及により、短時間でデータを計測し蓄積することが可能になりました。
定量的な視点では、事実や仮説まで導き出すことができますが、「なぜユーザーがそのような行動を取ったのか?」までは分かりません。

プロダクトの成長には、「定量」と「定性」のバランスが非常に重要です。

「なぜそうなったのか?」までを定量的な分析から定性的な探求に深めていくと、ユーザーの心情を理解することができるようになるでしょう。
繰り返しになりますが、自社のプロダクトにおいて、ユーザーがどのような価値を感じ、どのように利用しているのかを正しく理解することが非常に重要です。

では、まずは定量的な行動分析を通じて事実や仮説を低コストで把握したいですよね?
施策の成功判断やサービスの適切な成長を定量的に評価するために、行動分析ツールの導入を検討してみましょう。

5.行動分析ツールとは?

有名な行動分析ツールとしては、MixPanelとAmplitudeが挙げられますね。
現在ではAmplitudeの方が注目を集めている印象があります。
行動分析ツールは、ユーザーの行動を分析し、サービスの成長を促進するためのツールです。

行動分析ツールを導入しない場合、ユーザーの行動をデータに変換する作業には膨大な時間がかかります。
さらに、そのデータをBIツールに統合する手間も生じますし、エンジニアの時間も大量に必要となります。
エンジニアは本来、プロダクトの改善や開発に時間を費やすべきです。

そこで、行動分析ツールの出番です。
行動分析ツールを活用することで、データの収集や分析作業を効率化し、エンジニアの時間を節約することができます。
これにより、より多くの時間をプロダクトの改善や開発に充てることができます。

Amplitudeには無料プランがあり、最大で1000万のイベントを無料で計測することができます。
無料プランでもイベントトラッキングやファネル分析などの基本的な計測は行うことができます。
ただし、残念ながらパスファインダーやコホートの作成はグロースプラン以上でなければ利用できません。それが少し残念な点ですね。

6.行動分析ツールの何が嬉しいのか?

Amplitudeの行動分析では、ダッシュボード上で簡単に計測が行えるため、どの職種の人でも手間をかけずにデータを計測できます。

また、SQLから抽出した対象のコホートをAmplitudeにインポートし、そのデータを活用した行動分析も可能です。
これまではエンジニアがSQLでデータを抽出し、データアナリストがBIツールで計測するというフローが一般的でしたが、Amplitudeではエンジニアやマーケター、データアナリストだけでなく、誰もがデータを計測することができます。

つまり、「データの民主化」が実現できるのです。

エンジニアやデザイナーが行動分析ツールを扱えるメリットは何でしょうか?
それは、直接データにアクセスできることであり、プロダクトの改善やデザインの最適化に関する意思決定を迅速かつ正確に行える点です。
エンジニアやデザイナー自身がユーザーの行動を分析し、課題や改善点を見つけ出すことができるため、プロダクトの品質向上やユーザーエクスペリエンスの向上に繋がります。

さらに、エンジニアやデザイナーが行動分析に参加することで、全体のビジョンや目標に対する理解を深めることができます。
それによって、チーム全体での協力や意思統一が促進され、成果を最大化することができるのです。

7.行動分析できるようになるメリット

デザイナーとしては、行動分析ツールの活用によってUIの設計方法が変わるかもしれません。
ユーザーの行動データを基にして、より使いやすいインターフェースをデザインすることができます。

同様に、エンジニアとしては、使用されない可能性の高い機能を開発しないようになるでしょう。
作成した機能が実際に評価されているのかどうかを明確にすることができます。

行動分析によって事実を正しく理解し、ユーザーの実際の行動に基づいて施策を打つことができるようになります。
想像上のユーザーに基づいて機能や改善策を考えるのではなく、データに基づいた客観的な判断が可能となります。
これによって、より効果的な施策を立案し、ユーザーのニーズに応えることができるのです。

8.ビジネスにとってのメリット

コンバージョン率やチャーン率、LTVなどのKPIは非常に重要な指標ですが、過度に重視されると部分最適化に陥りやすい傾向があります。
KPIに偏った評価が行われると、プロダクトのバランスが歪み、本来の目標を達成できない可能性が高まります。
例えば、特定のKPIの向上に注力した結果、全体の目標であるKGIを達成できなかったというケースも考えられます。
また、ユーザーの声をそのまま反映した機能が開発されたが、実際には誰も利用しないといった事例もあります。

KPIは重要ですが、プロダクトの成長を促進するためには、より先の段階に進む必要があります。
行動分析を綿密に行うことで、単に部分的なKPIの改善だけでなく、後続のKGIの達成に向けた強力な手段となるのです。

サブスクリプションサービスにおいて、「3回目に離脱するユーザーに対して4回目の利用に使えるクーポンを提供したら、4回目で離脱するようになった」という話はよく知られていますが、単に部分的なKPIを追いかけるだけでは本質的な意味がありません。

グロースツールは、プロダクトの成長を把握するには単なるデータの集まりよりも、全体像を捉えることに適しています。
プロダクトの本質的な成長に時間を費やすべきです。

優れた企業は、プロダクトの課題を正確に特定し、仮説を検証し、連続的な施策を打ち出すことで、プロフェッショナルな動きを実現します。
超人的な能力を持つスーパーマンを雇う必要はありません。
ほとんどの企業にとって、現在のリソースを最大限に活用してプロダクトを前進させることが重要です。

プロダクトの成長には、定量的なデータと定性的な理解の両方が不可欠です。
ユーザーの心情を具体的に理解できるまで、定量と定性の関係をよく理解することが重要です。

それでは。

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