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教育領域における事業機会#2

次に小中高校生向けの具体的な事例について簡単にみてみます。

プロダクト/スタートアップ事例

プロダクト×顧客セグメント軸で主なスタートアップ+α をプロットしたのが下図。(※決して網羅的ではありません。&間違っていたら指摘ください。またLibry及びすららネットは弊社の投資先/元投資先です。)

ポジショニングマップ

プロダクト軸では、デジタル教材(コンテンツ)、自らコンテンツは持たずにコンテンツを作成・配信・管理するプラットフォーム/LMS、その他教える/学ぶ以外の学習管理や校務管理といったツールに区分。

顧客セグメント軸では、学習塾・予備校(+私立学校)、公立学校、個人。(本来は小/中/高校といった年代別、かつ学習塾・予備校の中でも大手とSMBに区分に細分化される)。

プロダクト軸での考察

コンテンツを持つ場合には、他のコンテンツとの差別化はもちろん、制作・メンテの重さ、或いは独自のコンテンツやカリキュラムを有する大手事業者への導入のハードルの高さ(オペレーションを大きく変える必要)など、をどうクリアするかがポイントと見ています。

教材提供PFや学習管理/校務管理などは相対的に導入されやすい(生徒ID数も伸びやすい)一方で、単価が上がりにくい(付加価値が出しにくい)可能性があり、面の拡大と共に、単にツールに留まらずにサービスプラットフォームとなることでアップセル/クロスセルを図ることがポイントかと思います。

顧客セグメント軸での考察

意思決定のスピードや経済合理性で判断されるという意味で学習塾・予備校・私立学校が最もビジネス上やりやすいと思われます。但し、集客や生産性向上に対して感度が高い一方で業界環境は厳しく財布に余裕がありません。SMB×地方を中心に今後淘汰が進むため、大手に如何に食い込めるかがポイントと見ています。(大手は単価が取りにくいジレンマがありますが 。。)

公立学校は前回のNOTEでも書いた通り、予算の制約や意思決定構造、年配の先生方を中心に変化を好まない、追いつけないなどスピード感に欠ける部分がありそうです。ただ、もともと市場(文教費)は大きいのと、コロナ禍やGIGAスクール構想など、足許で強い追い風が吹いているのは間違いなく、着実に導入実績を積み上げ先に面を押さえられるかが勝負と見ています。(頻繁にスイッチをする文化ではない)

個人は見聞きする限り、なかなか攻略が難しい(少なくとも相当時間がかかりそう)です。まずはポジショニングの問題。コンテンツで個人課金ということは、塾や予備校、通信教育と直接バッティングする領域になるため、リプレイスするためには競合を上回る実績を出し、保護者含めて安心感/ブランドを作るまでに一定の時間を要します。一方で、補助教材としてのユースケースであれば、お財布問題(課金のハードル)があるため、よほど低価格でなければ塾や学校経由での導入が早いかもしれません。後は、リテンションの問題(強制力が効かない、モチベーションが維持し辛い)もあり、toCで行くためにはよほど腰を据えて取り組む必要がありそうです。(ユーザが広く集まれば広告課金というやり方はありえます。)

さいごに

見てきた通り、教育領域は全体として大きい一方で、かなり細かいサブセグメントにわかれます。また、特有の長いセールスサイクル(大きく年度に1回)も加わり、一般的に展開スピードが上がりにくい、スケールしにくい、故にValuationがつきにくいといった声は耳にします。

ただ、課題は非常に大きく、テクノロジーによる変革余地も必要性も間違いなく大きい領域であるため、骨太で有望なスタートアップが出てくることを期待を持ってみています。

次回は(補足)として既存の大手プレーヤーを少し見てみます。


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