2024年上半期DIGGLEカスタマーサクセスチーム振り返り
2024年も上半期があっという間に終わりました。そして私自身もDIGGLEという環境に身を置いて3年経ちました。
思えば、入ったばかりの時は10人くらいの組織でしたが、今や70人を超える組織になってきており、組織ってこうやってできあがっていくのかと日々勉強になることばかりです。
CSチームも今や入社予定も含めると20人の組織となっており、ありがたい限りです。
少しよい区切りということで、この3年超、DIGGLE CSとして戦略的に実施してきた内容とこれから戦略的に変えていくことをまとめてみたいと思います。
こんな人に読んでもらえるとうれしいです↓
CSしている人たち(→業界の多くの人にお世話になっているので私も少しでも誰かにgiveできれば、、、と思っています。)
DIGGLEという会社に興味を持っている人
今DIGGLEで働いてるみんな
それでは、早速ですが本題に入っていければと思います。
専門用語っぽい言葉は「※」で注釈を入れていますので、参考ください。
今まで戦略的にこだわってやってきたこと
正直、暗中模索な気持ちもありながら今まで以下の4つはこだわってやってきました。
オンボーディング※1は、工数を気にせずとにかくハイタッチ※2で丁寧にやり切る
一人の担当が担当するお客さまのジャーニー全体を担当をする
アップセル※3にはリソースを割かない
CS経験者を採用しない
1つずつ説明していきます。
※1
オンボーディングとは、お客さまがシステム導入後に自走して運用を始めることができるまでの期間を指します。ツールを導入いただいても運用ができないと意味がないため、カスタマーサクセスが担当する顧客タッチポイントの中でも非常に重要なポイントです。
※2
ハイタッチとは、お客さま1社につき1人の担当者で対応することです。MTGが代表的なハイタッチの手法です。また、カスタマーサクセスには、他にロータッチ・テックタッチという手法があります。ロータッチは、お客さま複数社に対してお客さま社数未満の担当者で対応することです。セミナーが代表的なロータッチの手法です。テックタッチは、システムなどを活用して行うお客さま複数社に対するアプローチです。メルマガなどが代表的なテックタッチ手法です。
※3
アップセルとは、既存のお客さまに追加のご契約をいただくことで追加の月額費用のお支払いをいただくことです。ユーザーの増加が代表的なものです。アップセルが起きるということは、お客さまに価値を提供できるという意味において重要です。
オンボーディングは、工数を気にせずとにかくハイタッチで丁寧にやり切る
この戦略的な取り決めをしてきた理由は、4つあります。
①SaaSのセオリーではまずチャーン※4を抑えることが先決だから
②管理会計というドメインの個別性の高さ
③市場とプロダクトの成熟度の兼ね合い
④受注時の選定ポイントにする
1つ目に関連して、B2B SaaSのCSであるあるだと思いますが、事業立ち上げ当初の基本的な取り組み順序としては、チャーンが最優先となると思います。SaaSというビジネスモデルは、チャーンが最小化されていることが前提になっていると思います。お客さまに継続利用いただくことで、顧客獲得コストや開発への投資などが回収できる仕組みになっています。継続率が低いとSaaSというモデルは基本的には成り立たないです。
そのため、セオリー通りの考えからチャーンレートの再現性を上げるために導入後のオンボーディングをとにかくハイタッチにやってきました。ハイタッチにやることは、工数はかかりますが、お客さま個別の体験をよくして、継続利用率は上がります。
2つ目の管理会計というドメインについてです。管理会計は、規制がなく、答えがないドメインです。企業ごとに、やることは自由で個別性が非常に高い領域です。
一定、業種や企業の規模(フェーズ)などで傾向は見られますが、企業文化といった要素も絡んできて会社ごとに目指すゴールは異なることが多いです。
この個別性が高いドメインにおいて、導入時のゴール設定とゴールに至るマイルストーンの設計が非常に重要になると考えています。この設定を初めから紋切り型にやりすぎると、お客さまのゴールを達成できなくなることが多いです。
そのため、ハイタッチのモデルを取り個別のゴール設定・マイルストーンを設計することに拘ってプロセスを作ってきました。
3つ目の市場とプロダクトの成熟度の兼ね合いについてです。市場という意味で、予実管理もしくは、経営企画向けのプロダクトはまだまだ他の分野に比べると少ないです。結果的に、SaaS等のプロダクトの扱いに慣れた人材が少なくなる傾向にあります。
また、弊社のプロダクトは、管理会計というドメインに依存して非常に自由度が高いプロダクトになっています。使いやすさを追及することは今のフェーズではとても大切ですが、これまでの3年という意味ではやれることを増やすことの優先度が高かったです。結果的に、複雑性が高く感じられることが多いと思います。
こうした、プロダクトの扱いに慣れた人材が少ない市場×複雑性が高いプロダクトという掛け算においては、CSが人的リソースを注入し、プロダクトの使い方トレーニングやプロダクトの設定を代行していくことで、導入ゴールの達成につなげていくことができると考えています。
4つ目の選定要件にするですが、管理会計という個別性の高い領域においてサポートは受注時の選定要件として非常に重要なポイントです。弊社の個別要件に付き合ってくれるのか、業務が1周するのに1年かかる予実管理においてすぐサポートがなくならないかなど、お客さまは不安が大きいです。
こうした不安を払しょくする材料として、ただサポートがありますではなく、実際に手厚いサポートを提供することで、差別化を図っています。
以上4点からハイタッチを意識的に続けてきました。
※4
チャーンとはお客さまが契約を更新いただけないことです。SaaSという月額フィーを1年契約でいただくビジネスにおいてチャーンが大量に起きることはビジネスが成り立っていないともいえます。
一人の担当が一社のお客さまのジャーニー全体を担当する
1つ目のハイタッチの話にも通ずる部分がありますが、一人の担当でお客さまのジャーニー全体を担当することを大切にしてきました。
もちろんプロセスの途中で、担当を変えることにもメリットがあります。例えば、お客様が運用開始し、導入ゴールの達成をするまでにおいて、段階ごとにCS担当に必要な能力が変わります。プロセスごとに担当を分けることで、ここのプロセスを最適化することができます。
一方で、プロセスごとに担当を分けることで、引継ぎコストがかかったり、お客さま側の担当者と弊社担当者の関係性の構築コストが上がります。ハイタッチとの相性は悪い部分が多いです。
そのため、これまではハイタッチの強みを活かしてお客さまの体験を最大限良くすることを目的に全プロセスを一人の担当で担ってきました。
このことにより、ハイタッチとの相乗効果(単純接触効果)でお客さま担当とCS担当の関係性は深いものになり、お客さまの個別事情の相談も受けやすくなります。管理会計という個別性が高いドメインであれば、この個別事情の相談はプロダクトの活用度にも直結してくると考えています。
アップセルにリソースを割かない
チャーンが優先ということで、アップセルをプロアクティブに取るということに限りあるリソースを割くことは戦略的に実施していませんでした。
また、予実管理というドメインの性質上オンボーディングを成功させることで、アップセルは自然発生します。経営企画のみなさまが予実管理をDIGGLE上でできるようになる→経営者や事業部に展開しようと流れになることが一般的です。
そのため、リソース面・アップセルの発生という両側面において強くアプローチする必要が今まではなく、意識的なアップセルの創出も実施してきませんでした。
CS経験者を採用しない
スタートアップにおいて、採用での見極めは非常に大切です。
フィット感の高い人材を採用するコスト<<<<<<<<フィット感の低い人材を教育するコストという関係値になるため、リソースが限られており、スピード感も求められるスタートアップでは採用は生命線とも言えます。
そうした中、DIGGLEのCSではCSの経験者を敢えて採用ターゲットに含んできませんでした。実際、今のCSメンバーにCS経験者はいません。
理由は以下の3つです。
CSとしての経験<予実管理というドメイン経験が優先される
ドメイン経験者の承諾率の高さ
CS人材の採用市場でのパイの少なさ
特に、最初の2つは大きな理由です。
ハイタッチに予実管理の課題解決に拘っているため、ドメイン経験は重要です。また、予実管理というペインに共感があり、バックオフィス→フロントサイドに職を変えたい人たちにとって、DIGGLEという予実管理SaaSは転職先としてフィット感が高く、承諾率も高い率でいただけています。これは、採用コストやミスマッチを減らすという意味で非常に重要な点です。
これから戦略的に変化させていくこと
今も暗中模索な気持ちもありながら、以下は今までからの変化として、こだわりを持って取り組んでいきたいです。
オンボーディングはハイタッチを継続するも、工数を最適化する
プロセスで組織を分ける
アップセルの創出をする(≠受け身)
CS経験者も採用する
数値による可視化を徹底する
1つずつ説明していきます。
オンボーディングはハイタッチを継続するも、工数を最適化する
オンボーディングは、基本的にはハイタッチでこれからもやっていきます。ハイタッチにするという意思決定をすると、常に「ハイタッチに逃げているのではないか。」という問いに頭を悩ませてしまいます。
ハイタッチとは、効率を気にせず効果を出しやすい方法だからです。この問いに頭を悩ませながらも現時点では、管理会計ドメインの個別性・プロダクトの成熟度・受注時の選定基準としたいなどの考えから一定ハイタッチを続けていくべきと考えています。
ただ、これから売上も急速に成長させていく中で、効率を無視したハイタッチはNGだと考えています。お客さまの体験・そこから得られるアウトカムを維持したままで最大限効率化していくことが、持続性を上げ、お客さまへの誠意にもなると思います。
そこで、オンボーディングを担当するチーム(=カスタマーエンゲージメントチーム)と運用期以降を担当するチーム(サクセスチーム)に組織をプロセスで分け、前者のチームにオンボーディングの効率化も担ってもらいます。
カスタマーエンゲージメント(CE)チームでは、現在チーム内で色々な方法を試してくれています。お客様ごとにハイタッチの方法を変えたり、部分的にハイタッチでないプロセスを取り入れたりすることで、持続性の高いハイタッチオンボーディングプロセスを模索中です。
この取り組みを通して、DIGGLEのCSはまた一つ成長できると考えています。
プロセスで組織を分ける
DIGGLEのCSではこの7月から組織を分けました。
カスタマーエンゲージメント(CE)というお客さまが運用を開始するまでのオンボーディングを担当するチームとサクセスチームというお客さまの運用後の活用度アップを行うチームです。
今までこだわってやってきた、「一人の担当が一人のお客さまのジャーニー全体を担当をする」を変更する内容です。
理由としては、組織ごとに創り出す体験のフェーズを絞り、フォーカスすることでより効果的な体験を効率的に創出したいからです。。
今までは、オンボーディング担当が全ての顧客体験フェーズの創出を担っており、あるお客様は導入初期・あるお客様は運用中となかなか頭の切り替えという意味では難しい状況だったと考えています。
今後は、オンボーディングプロセスと運用後と明確に役割を分けフォーカスさせていきたいと思っています。
また、CSの営業化というテーマはよく扱われますが、B2B SaaSにおいて、CSはチャーンの再現性に目途がついてくると、エクスパンションの最大化がメインミッションになってくる傾向にあります。
弊社においてもフェーズの変化を感じ、エクスパンションに一定の責任を持つチームが必要と考えました。オンボーディングという非常に重たい業務を行いながら、エクスパンションのことを考えるのは現実的に難しいため、チームとして分けるべきという判断をしました。
アップセルの創出をする(≠受け身)
前述のように、アップセルを創出するフェーズに入り、専門組織を持って、意識的に生み出していくということです。
今まではオンボーディングプロセスの過程での自然発生的なアップセルに頼ってきましたが、ニーズがありそうなお客さまにこちらから提案をしていく形を増やしていきたいと考えています。
そのために、アップセルにより解決できる予実管理の課題とは何かを考え、実際にお客さまの声をしっかりと聞いていくことが大切だと考えています。
CS経験者も採用する
今まで意識的にドメインの経験者のみしか採用してこなかったですが、これからはドメイン経験者以外も積極的に採用したいと考えています。
CS組織も拡大してきて、ドメインとしての最適化に加えてCS一般のベストプラクティスの注入をしていきたいと考えているからです。
CS企画チームも4月から立ち上げており、俯瞰した目線でモノゴトを捉える組織の機能を生み出していきたいです。
数値による可視化を徹底する
これは、あまり今まで優先的にやってこなかったので反省ですが、数値による可視化に力を入れていきます。
B2B SaaSにおいて、Sales、マーケなどの領域は見るべき指標がある程度明確化されていると考えています。一方で、CSの領域においては、先行指標が領域によって変わる特性もあり、あまり一般化され切っていない側面があると考えています。
上記の理由から後回しにしていましたが、、、今後はここに取り組むべきだと考えています。チャーン・アップセルなどの指標はもちろん、その手前のDIGGLEのCSなりのユニークな指標を設計し、ウォッチできる体制を整えていきます。
指標選びは、ユニーク・追いやすい・効果が出やすいという3点セットを満たすことが競争優位につながると考えており、こだわってやっていきたいです。
まとめ
ということで、今考えていることをまとめました。あくまで今なので、また考えが変わってしまうかもですが、常に自分なりの答えを持っておくことは大切じゃないかなと思っています。
弊社のCSはまだまだ発展途上で足りないピースも多いです。
CSだけでなく、全社的にまだまだ発展途上です!
予実管理という最高に面白いドメイン※に、実直すぎるほど誠実に向き合いながら取り組んでいます!一人一人が、前向きに、着実に、やれることをやっていく「大人なスタートアップ」カルチャーが魅力です。
高速に考動しながら、組織や自らの成長を感じたい方にピッタリだと思います!自分の意思をもって、健全に議論しあう風土があると思います!
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