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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

今回は村上春樹作品を。
社会人になって読み直してきた作品は短いものが多かったが、今回はこちらを。大学生の時に読み、かなり好きな作品だったが、やはり良い。

「限定された目的は人生を簡潔にする」と沙羅は言った。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→シンプルな目的に向かうことで深まる。

「記憶をどこかにうまく隠せたとしても、深いところにしっかり沈めたとしても、それがもたらした歴史を消すことはできない」。沙羅は彼の目をまっすぐ見て言った。「それだけは覚えておいた方がいいわ。歴史は消すことも、作りかえることもできないの。それはあなたという存在を殺すのと同じだから」

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→過去は変えられない。

「おれたちはみんなそれぞれ自由を手にしている」とアカは言った。そして片方の目を細めて微笑んだ。「それがこの話のポイントだよ」

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→僕たちは自由だ。何を選び、どう生きるかは自分次第。

「どんな言語で説明するのもむずかしすぎるというものごとが、私たちの人生にはあります」とオルガは言った。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→言語化できない物事もある。

人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→プラスな面だけで人は繋がっていない。マイナスな面も含めてなのだと理解する。いい面だけ見ているわけではない。

君に欠けているものは何もない。自信と勇気を持ちなさい。君に必要なのはそれだけだよ。怯えやつまらないプライドのために、大事な人を失ったりしちゃいけない。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→怯えやプライドよりも大切なものを守れ。

人の生涯のどれくらいの時間が、この(おそらくは)意味にない移動のために奪われ、消えていくのだろう?それはどの程度人々を疲弊させ、すり減らしていくのだろう?

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年/村上春樹

→移動時間も思考を深め、インプットする。無駄な時間にしない。

小説はやはり、抽象度が上がる。
すぐに行動に移せない部分もあるが、思考は深まり、想像力が高まる。
この作品はストーリーもわかりやすく、村上春樹作品を読んだことがない方にもぜひおすすめしたい作品。

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