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僕は勉強ができない/山田詠美

今回は小説を。村上春樹作品以外も少しずつ読んでいこうと思う。

それは正しい。幸福に育って来た者は、何故、不幸を気取りたがるのだろうか。不幸と比較しなくては、自分の幸福が確認出来ないなんて、本当は見る目がないんじゃないのか。

僕は勉強ができない/山田詠美

→他人と比べない。自分の人生を生きる。

知識や考察というのは、ある大前提のその後に来るものではないのか。つまり、第一位の座を、常に、何か、もっと大きくて強いものに、譲り渡す程に控え目でなくてはならないのだ。空腹と虚無という二つの言葉は、同じような意味合いを持ちながら、象と蟻くらいの偏りがある。後者は常に前者に踏みつぶされる可能性を持っているのだ。

僕は勉強ができない/山田詠美

→知識や考察は二の次。もっとも大事にすべきことは別にある。

贅沢だなあと、湯船につかるたびに、ぼくは思う。ささやかなことに、満足感を味わう瞬間を重ねて行けば、それは、幸せなように思える。何故、人間は、悩むのだろう。いつか役立つからだろうか。だとしたら、役立てるということを学んで行かなくてはならない。

僕は勉強ができない/山田詠美

→なぜ、悩むのか。こんなに幸せなのに。

時田、いいかい、世の中の仕組は、心身共に健康な人間にとても都合良く出来てる。健康な人間ばかりだと、社会は滑らかに動いていくだろう。便利なことだ。でも、決して、そうならないんだな。世の中には生活するためだけになら、必要ないものが沢山あるだろう。いわゆる芸術というジャンルものそのひとつだな。無駄なことだよ。でも、その無駄がなかったら、どれ程つまらないことだろう。

僕は勉強ができない/山田詠美

→正解を決めつけない。想像し、生きる。

その時になってみなければ解らない。その人になってみなければ明言出来ないことは、いくらでもあるのだ。倫理が裁けない事柄は、世の中に、沢山あるように思うのだが。

僕は勉強ができない/山田詠美

→第三者が決めつけられない。想像も出来ないことが沢山あると知っておく。

人々に無垢だと思われているものは、たいてい、無垢であるための加工をほどこされているのだ。白いシャツは、白い色を塗られているから白いのだ。澄んだ水は、消毒されているから飲むことが出来るのだ。

僕は勉強ができない/山田詠美

→一見するとシンプルでも複雑な背景がある。

「悪意を持つのは、その悪意を自覚したからだ。それは、自覚して、失くすことも出来る。けどね、そんなつもりでなくやってしまうのは、鈍感だということだよ。賢くなかったな、今回は。おじいちゃんの言ってること解るか」

僕は勉強ができない/山田詠美

→自覚していない悪意は一番危険だ。自覚しろ。気づけ。

「でもね、自分は、自分であるってことを解っている人間にしたいの。人と同じ部分も、違う部分も素直に認められるような人になってもらいたい。確かに、あの子は、まだ子供。でも、何かが起こった時に、それを疑問に思う気持を忘れて欲しくないのよ」

僕は勉強ができない/山田詠美

→僕もそう思う。自分を知り、他人との違いを知り、そして強く生きてほしい。

以上だ。非常に面白い小説だった。内容も深いし、学びも多い。
すごく良い作品だ。

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