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事件は会議室で起きてるんじゃない?

三条市では、毎年6月の第3日曜日に防災訓練(正式名称は「水害対応総合防災訓練」)を実施しています。今年は6月19日です。

7.13水害から今年で18年、7.29水害から今年で11年。2011年の7.29水害以降、三条市は大きな自然災害には遭っていません。

毎年の防災訓練の様子

災害がないのはもちろんいいことではあります。しかし、その一方で、防災意識がどうしても減っていくのは事実です。

三条市役所の職員でも、7.13水害、7.29水害を経験していないメンバーが増えています(かく言う私自身、2004年も2011年も東京におり、2つの水害を経験していないです)

そんな中、昨年2021年6月の第3日曜日、私は市長という立場で初めて防災訓練に参加しました。

1.市長として初めての防災訓練を経て

三条市役所の防災訓練は、私を含め職員が内容を知らない秘密の災害シナリオを前提に、実際に災害が発生したときのシミュレーションを行います。災害の状況や被害状況がどんどん災害対策本部に情報として入ってきて、都度、判断を行い、対応の指示をしていきます。

昨年の防災訓練が終了した翌日、私は、職員に対して次のメッセージを送りました。

昨日の水害対応総合防災訓練お疲れさまでした。ありきたりな指示ですが、まずは振り返りと改善を皆さんよろしくお願いします。私が気付いた点は、行政課に伝えてあります。

そのうえで、市長という立場で初めて参加して感じたことを皆さんにお伝えします。

昨日の訓練終了時の私の一言と同じ内容ですが「市役所内部の緊張感と市民の皆さんの温度差が大きいな」と。

報道では昨日の参加者は約2,500人と言われていました。私の推測ですが、同じ2,500人くらいは「日曜の朝から携帯うるさいぞ。防災訓練なんか不要だ!」という人だと思います。残りの9万人は「携帯が鳴っているな。あぁ、防災訓練ね」という人(=無関心層)だと思います。私は昨年まで残り9万人のひとりでした。

この残り9万人を毎年2,500人ずつでもいいので意識を高めていくのが、私たちに次に求められている役割ではないでしょうか。

また、年1度の防災訓練のときだけでなく、今、当事者として私たちの手がなかなか届いていない方々を日常的に巻き込んでいくなども必要かもしれません(例:女性向けの防災研修、子育て世代から避難所のあり方をヒアリングする、障がい者の方の避難について検討する)

そのほか、私もまだ調べていないですが、市民の防災意識が高い他の全国市町村の取り組みなんかも参考にできるかと思います。
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ひとつ注意してほしいのは、私は「カチカチにやってください」と言っているわけではありません。

先日の「ナッジ」の話とつながると思いますが「どうすればちょっとでも興味を持ってもらえるかな」「どうすれば避難所にちょっとでも足を運んでもらえるかな」という人の心理を気に掛ける必要があります。そういう意味では、わかりやすくいうと、防災訓練のカジュアル化が求められているのかもしれません。

災害時対応というのは、私たちの基本的な役割です。今日のつぶやきは行政課だけに向けたメッセージではありませんので、皆さん、よろしくお願いします。

2021年防災訓練翌日の職員向けメッセージ

東京から三条に戻ってきた2018年、2019年、2020年と、私はひとりの市民として6月の第3日曜日を迎えました。白状しますが、当時、私は「せっかくの日曜日の朝、ゆっくり寝ていたいのに携帯メールが鳴って・・・」と感じていました(防災訓練は不要だとまでは思っていませんでしたよ)

消防団の皆さんの水防訓練

しかし、昨年、初めて市長という立場で防災訓練に参加して、市職員の真剣度合いがすごい緊張感がすごいということを体感しました。私は誇りに感じました。三条市の職員が「災害対応が自分たちが担うべき責務である」と強く感じていることに。

ただ、その一方で「私たち三条市役所のこの熱意が市民の皆さんに伝わっていないのはもったいないな」とも感じました。そう、この記事のタイトルにあるように「事件は会議室(=市役所内)だけで起きている」状態だったのです。

実際、昨年の防災訓練のとき、私の家族に近所の避難所に行ってもらったのですが、市の職員以外で避難所にいたのは私の家族だけだったみたいです。

ということで、防災訓練の翌日、職員に対して、織田裕二ばりに伝えた私のメッセージが上に引用したものです。

2011年7.29水害のときの三条市(信濃川・五十嵐川合流地点)

2.2022年の防災訓練

その後、職員と議論に議論を重ね、2022年の防災訓練は

ひとりでも多くの方に避難所に足を運んでもらおう

をゴールに掲げることにしました。

議論の途中「単に避難所に来てもらうだけではなく、災害のことや避難のことやハザードマップなど、もっと学んでもらって防災意識や防災知識を高めないとダメなのでは?」という話もありました。

ただ、最終的には「いやいや、日曜日の朝にとりあえず避難所に顔を出してみるだけでも防災意識すごく高いと思う」という自分の経験を踏まえ、あまりハードルを高くしないようにしました。

その後、職員には次のメッセージを送り、市民の皆さまにどうやって避難所に足を運んでもらうか考えてもらいました。

皆さんが市役所職員ではなく、会社勤めのひとりの市民と仮定して考えてみてください。直前1週間や前日、当日と頻繁に呼びかけツイートやLINEしたとして、それだけで「よし、避難所に行ってみようかな」という気持ちになりますか?水防訓練は日曜の午前中です。

インセンティブについて、皆さんのアイディアも募集中です。私に直接でもOKですし、行政課への提案でもOKです。

防災と全く関係のないものも含め、皆さんが担当する事業や検討中の事業との結びつき提案も大歓迎です。水防訓練の日に避難所でのマイナンバー申請受付も行い、いつものマイナンバー申請よりもプラスアルファのインセンティブ贈呈といった案も現在検討してもらっています。

災害対応や災害への備えは行政課だけの役割ではなく、私たち全員の役割です。よろしくお願いします!

そして、最終的に実施することにしたのがこちら ↓

防災訓練に行こう(表面)
防災訓練に行こう(裏面)

① 参加者プレゼント

三条市内には全部で34か所の避難所があります。

各避難所で先着50名様に、お茶漬けのもと、豆乳、千年悠水(三条市のミネラルウォーター)などをプレゼントいたします。

避難所でプレゼント!

② 三条市役所公式LINE登録者にプレゼント

災害が発生しそうなとき、そして発生後、ひとりでも多くの方に情報をタイムリーに届ける必要があります。そのために有効なのがSNS。

三条市役所も公式LINEアカウントを持っており、災害情報をタイムリーにお届けするため、ひとりでも多くの方に登録していただきたいと考えております。

そこで今回、指定の14か所の避難所にて三条市役所公式LINEアカウントの新規登録画面を提示いただいた方に対し、農産物、駄菓子、洗剤、市指定ごみ袋、いい湯らてい割引券などをプレゼントいたします(各避難所先着50名)

ちなみに三条市役所公式LINEアカウントの友だち数、今日6月13日時点で約2340名でして、おとなり燕市さん公式アカウント友だち数である約9640名に大きく差をつけられています・・・

③ マイナンバー申請 or マイナンバー受付で抽選会

指定の10か所の避難所にて、マイナンバーカードの申請会も同時に行っています。

この申請会にて申請をしてくださった方、または、この10か所の避難所にてマイナンバーカードを使って避難所入退受付を行ってくださった方を対象に、三条市内のアウトドアブランドのキャンプギアなどがあたる抽選会に参加することができます!

人気のホットサンドメーカーも当たります

ちなみに「避難所の入退受付をマイナンバーカードを用いて行う」取り組み、三条市が全国初なんです。

④ ペット同行避難所の開設

三条市では、今年度から次の4か所の避難所にペット専用スペースを設け、ペットと一緒に避難できるようにしました

(1) 体育文化会館(嵐北地区)
(2) 三条ものづくり学校(嵐南地区)
(3) 農村環境改善センター(栄地区)
(4) 下田公民館(下田地区)

ペット用ゲージも準備

今年の防災訓練では、このうち体育文化会館にて実際にペット避難所の開設も行いますので、こちらも皆さまぜひともペット連れでお越しください(午前10時30分~正午)

⑤ 車両展示

総合福祉センターでは、パトカーや高所作業用車両を展示いたします。

高所作業車に乗れるイベントも

大面小学校(栄地区)では、自衛隊車両や電気自動車を展示します。また、見附市さんからトイレトレーラーをお借りして、展示する予定です。

いずれも特に子どもたちが楽しめる展示となっておりますので、ご家族連れでぜひ!

⑥ 防災グッズ販売

大浦小学校(下田地区)では、防災グッズを販売する予定です。また、三条市役所の地下食堂を運営してくださっている「地下食堂Coco」さんによる食べ物販売ブースもあります。

3.まとめ

今回の企画、自宅の近所の避難所や職場近くの避難所に限らず、どちらの避難所にご参加いただいても構いません。

皆さんの貴重な日曜日の午前中ではありますが、ちょっとでも足を運んでいただけますと嬉しいです。お待ちしております!!!

三条市立大学の学生消防隊もがんばっています!


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