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人員水増しの派遣会社に思いを馳せる ~人材派遣はビジネス基礎力が大切~

こんにちはー!
今日のnoteは「人員水増しの派遣会社に思いを馳せる ~人材派遣はビジネス基礎力が大切~」というお話です。


現場が不正を行う可能性・・・あります

先日、派遣会社が市から委託したコールセンター業務で人員を水増しして委託料を請求していたというニュースがありました。少し前にも再委託を受けた会社の不正請求のニュースもありました。

すごく残念です。
同じ業界の人間としてとても恥ずかしいと思います。


その思いとは別に、このニュースを見て知人の数名から「これって現場が勝手にやったみたいに言っているけど会社ぐるみでしょ?」と言われました。
ヤフコメでも同様のコメントがあります。

でも、人材派遣会社の中の人である僕としては、現場が勝手に水増しすること、あるだろうな・・・と思います。(実際に会社が現場責任者がやったとコメントを出すのはどっちにしても最低クソコメントだとは思いますが)

そのあたり、僕も人材派遣のマネージャーであり、現場責任者とも言える立場であり、今後それ以上の立場を目指すものとして、心の底からの自戒となるよう、まとめておきたいと思います。

※これから話すことは僕の経験から来る予想だったり、あるある話であり、今回の事件が会社ぐるみなのか、現場判断なのかは僕は知りません。当然、この事件の派遣会社のことも一切知りません。
あくまで、派遣会社の構造や課題として、知っていただきたいし、派遣会社の中の人には肝に銘じてほしいし、自分の胸に刻みたい考えをまとめています。


なぜ現場が水増しするのか?

なぜ、現場が勝手に水増し請求するのでしょうか。
確かに、ただの会社員である現場責任者にも現場のメンバーにも何のメリットもなさそうです。
仮に、ちょっと叱られるとかあったとしても、人員が確保できなかったのは会社全体の責任だし、現場判断で不正を働くことと比べるとデメリットの方が遥かに大きそうです。

その要因は3つあります。

要因① 無形商材かつマッチングビジネスは課題の原因の特定が難しい

まず、要因の1つめです。
いや、要因と言うよりは、これは人材派遣に根本的に存在する特徴のようなものです。
それは、「無形商材でマッチングビジネスがゆえに、課題の原因が特定しにくい」と言うことです。
人材派遣と言うビジネスには変数がたくさんあると言ってもいいかもしれません。

単純にコールセンターの人員が採用できなかったと言っても、
・会社のブランドが弱い
・時給が低い(委託を受けた金額設定が甘い)
・広告費が不足している
・広告戦略がイケてない
・現場の頑張りが足りない
・そもそもその地域にその仕事を希望する人はもう一人もいない
・プロジェクトの進行の仕方がダメ

それ以外にもいくらでも原因が考えられます。
何かの見込みが甘いとも言えるし、そもそもその地域にその人材がいない可能性もあるし、でもその地域には理論上は求職者がいたりして、かなり懸命に仮説を立てて検証しても(そんな時間もないけど)、複雑に変数が絡まりあっており、要因の特定は困難です。

それでも、健全にビジネスを前に進め、黒字化し続けるためには、意思決定力、仮説検証力、数字を読む力、プロジェクトマネジメント力、マーケティング力・・・すなわち、ビジネス力がとても重要です。意外かもしれませんが。僕は全然足りませんが。


要因② 昔は自責で考えていれば上手く行った

次の要因が、「昔は自責で考えていれば上手く行った」と言うことです。
複雑な要因を整理し、意思決定するためのビジネス力が必要だと今しがた話しましたが、実はそれは現代の話で、少し前(20年とか15年前くらいまで)はとりあえず自責で考えていれば上手く行っていた時期があるのです。

基本的に人材派遣のマーケットが伸びており、今のように人材の確保が難しくなかった頃(今は少子高齢化などの影響で採用が厳しい)は、外部要因は好調そのものなので要因分析なんて不要でした。
とりあえず、「上手く行かないなら自分が悪いのである」と考えていれば上手く行く可能性が高かったですし、実際に(自分のせいじゃないこともあるでしょうが)、自責で捉えて全力で頑張れば結果が出ていたと思います。


要因③ 自責で考えてきた偉い人と自責で考える従業員

そして(2つ目の要因を受けての)要因の3つめが、「自責で考えて出世した偉い人と、自責で考える従業員が多い」と言うことです。

昔は自責で考えていさえいれば上手く行ったので、良くも悪くも脳筋な方が出世している傾向があります。(ちょっと偏見です)

で、そのまま自責の執行役員とか自責の経営者になってくれればいいのですが、自分がメンバー~マネージャーに至るまで、ずっと自責で上手く行ってきたので、それを求めてしまいがちです。
「上手く行かないのは、君たちがちゃんとやっていないからだ」と。

そして、自責で上手く行ってきた人たちに育てられたり、自分がメンバーの頃は自責で上手く行ってきた人が今のマネージャーだったりするので、少なくともマネージャークラスは自責100%!自分が頑張ればなんとかなる!っていう思想の方が多くなっているはずです。(ちょっと偏見です)
メンバーは今はそうでもないところもあり、これでまた別の軋轢があるようにも思いますが、それはまた別の話。

いずれにしても、多くの現場マネージャーやメンバーは自責で考える、まじめで気も強くないような人が多いように思います。

少なくともこのニュース記事から感じるような、悪意を持って水増ししているようなキャラクターではなく、自責が極まって不正に手を染めたような状況だと考えたほうが自然なのではないかと、僕なんかは考えてしまうのです。

(だからこそ、不正しないためにも一貫力が大切です。↓)


このような要因で、ビジネス力が必要なのに発揮せず、現場の責任にしがちな上層部と信念や一貫力はないけどとにかく真面目で自責な現場という構造が揃ったとき、(今回の事件の真相は分かりませんが)現場が率先して不正に手を染めてしまうことが起こることもあり得るのです。


最後に

今日は「人員水増しの派遣会社に思いを馳せる ~人材派遣はビジネス基礎力が大切~」というテーマでお話ししました。

メンバーに極端な自責を求めていないか?
不必要に自分を追い詰めていないか?
不正に手を染めない信念と一貫性はあるか?
改めて自分に問いを立てています。

そして、強い信念と誇りを持ち、志高く活動した人が報われ、世の中を良くしようと誓う人が集まってくる業界と人材ビジネスを作って行きたいと強く思いました。
そのためには待遇や働き方も改善されないといけないでしょうから、とても険しい道ですが、理想を諦めたくないですし、諦めないことで魔が差さない強さを持っていたいと思います。

・・・まぁ、心配しなくても僕は何でも自責で捉えるほど人間ができていないので大丈夫でしたw

では、また!




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