人材派遣営業のコツ② 基礎知識編 part8 「常用雇用代替防止とは」
今日のnoteは人材派遣営業のコツシリーズ第二弾、基礎知識編のpart8として、「常用雇用代替防止」について、お話しします。
「ひたすら具体的」というのがこのシリーズの狙いなので、知っておくべきことについて超実践的に解説していきます。
コツコツと積み上げていけば、つらくなく、楽しく貢献できる人材派遣営業になれること、間違いなし!周りに、人材派遣営業をしていて、辛そうにしている人がいたらこのnoteを紹介してください。
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2015年より前の派遣法の大体を説明できる概念=常用雇用代替防止
実は、日本の派遣法はとても、いびつです。
2015年の派遣法改正で、初めてある程度是正されたと言われていますが、それまではとても独特な仕組みがありました。(今も名残がありますし、それとは別に独特なルールもあります)
などなど・・・(面接禁止以外は今の派遣法には存在しないです)
正直、僕は入社3年目まで、ずっと、なんでそんな規制があるの?とほとんどの規制の意味が分かっていませんでした。
そのほとんどの規制が何のためか説明できる概念が「常用雇用代替防止」です。ではそれは何なのか・・・
労働者派遣法というものはそもそも、派遣社員のためではなく、派遣と言う望ましくない働き方から、正社員を守るための法律と言うのがスタート地点なのです。
そうすると、派遣スタッフにとっても利便性の下がりそうな面接の禁止の理由(面接なんてできちゃったら、正社員の代わりができちゃう!)も、長く働きたくても期間を長く設定できなかった理由(長くいられたら正社員の代わりになっちゃう!)も、専門業務だけに限定されていた理由(派遣法作った時点で、請負契約でやっていた職種に限定しておこう!)も、スッと理由が理解できます。
いよぎんスタッフサービス事件
関連して知っておくと派遣法改正の流れのイメージがつかめる裁判例があるのでご紹介します。それは、2009年のいよぎんスタッフサービス事件最高裁判決です。
こので判決で注目すべきは、13年間も派遣で同じ企業の同じ仕事に従事していた派遣スタッフが、普通の雇用であれば有期契約を何回も反復更新すれば雇い止め(契約更新拒否による雇用終了)が制限される可能性が出てくるのに、「同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者の雇用の安定を図ることは、常用代替防止の観点から同法の予定するところではない」、「原告の雇用継続に対する期待は、派遣法の趣旨に照らして、合理性を有さず、保護すべきものとはいえない」といって、それを認めなかったことです。この事件は、ILO(国際労働機関)に、「直接雇用の有期契約労働者に比べて派遣労働者を差別することを要求している」として訴えられ、勧告までなされています。
つまり、日本の派遣法は、派遣労働者の権利を侵害しているとして、国際的に問題視されていたということです。これが、派遣法の改正についてすったもんだ繰り返し、今に至る要因の一つでもあります。(急に雑w少なくとも2015年改正まではそんな流れ)
派遣法の位置づけ、派遣法の時系列での流れのイメージが非常に掴みやすくなるので、ぜひ、常用雇用代替防止と言う考えと、いよぎんスタッフサービス事件及び、ILOからの勧告については知っておくとよいと思います。
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常用雇用代替防止の流れ
改めて、常用雇用代替防止についてまとめてみます。
かつての派遣法の根底には、新卒一括採用から定年まで雇用を維持していく「日本型雇用システム」を守るという思想がありました。その思想から、まずは、正社員が行っていないような専門的技術的業務のみ限定的に派遣を認めることにしましたが、その限定された業務の中に正社員が行っている事務業務などが入っていましたので、全く現実に即していないものでした。
そして1999年の改正で、専門26業務以外の自由化業務については常用代替の恐れがあるので、それを防ぐために「期間制限」を設けることになり、当初は1年、これが2003年から3年に伸びました。当然ここでも、期間制限する理由は、あくまでも「常用代替防止」です。
しかし、正社員を保護しようとすれば、派遣社員の権利が侵されてしまうという差別につながる問題はずっと根底にあり、ILOからも指摘を受けている状況があります。その問題意識から、2015年の派遣法改正では「専門26業務は現実に即していないから廃止する」「常用代替防止という派遣先の正社員保護の発想から、派遣労働者自身の保護へとスタンスを切り替える」ということが、考え方のベースになりました。
特に、無期雇用を是とする形、雇用安定措置の考え方は明らかに派遣労働者の保護を意図した部分であり、僕はこの時、現場の最前線にいましたが、初めてある程度、堂々と派遣スタッフさんに法改正の概要を説明できたことをうれしく感じたことを覚えています。
最後に
常用雇用代替防止については、僕のように2000年代前半から(僕は2007年デビュー)派遣業界にいる人間にとっては、様々な理解が進んだ、すごく大事な概念です。しかし、最近派遣業界に入った方にとっても、大事なものかどうかは、すごく悩ましいです。
僕の現時点での結論としては、それでも「常用雇用代替防止」の概念は知っておくべきだと考えています。それは
①クライアント企業の人事担当や発注担当はその時代を知っていることも多い
②派遣法の2015年までの流れを理解するからこそ、2015年以降の意味合いを理解できる部分が多い
という2点が理由です。
しみじみ・・今、派遣業界に入ってくる方は大変だなぁ・・・と思いますが、学ぶだけですけど、誰もができることではないので、自身の価値を上げる差別化だと思って頑張りましょう!
全て効率的だと、すぐに他の人に真似されて、オリジナルな価値は出ません。大事なのは非効率で無駄に思えるけど大事なことを、いかに効率的にするか。
若手でこのあたりを理解していれば、数年後には業界で無双できます。たぶん。知らんけど。ファイト!
次回は、抵触日について、解説します。
では、また明日!
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