株式投資型クラウドファンディングで発行される株式について
こんにちは。マシューです。
これまで国内外の株式投資型クラウドファンディングの制度等について言及し、海外では日本以上に株式投資型クラウドファンディングが普及していることをお伝えしてきました。
・イギリスの株式投資型クラウドファンディング
・アメリカの株式投資型クラウドファンディング
・日本の株式投資型クラウドファンディング
今回は、株式投資型クラウドファンディングで発行される株式に関する情報をお伝えしたいと思います。
|株式の種類について
資金調達を行う際に発行される株式として、普通株式、種類株式、新株予約権等、様々な種類の株式があります。種類株式は、会社法第108条に基づいて設計を行うことができます。(詳細は以下。)
AZX「会社法における種類株式設計の留意点(1)」
https://www.azx.co.jp/modules/malma/index.php/content0045.html
国内の株式投資型クラウドファンディングでは、プラットフォームごとに発行される株式の種類が異なります。どのような株式が発行されているか整理していきます。
|種類株式を用いた株式投資型クラウドファンディングについて
2018年に日本の株式投資型クラウドファンディングで発行された株式等について、以下がまとめたものになります。
上図を見ると、2018年に種類株式を発行して資金調達している会社はありません。
種類株式を発行していないのはなぜか。その理由を、普通株式を発行した場合と種類株式を発行した場合を比べることで整理しました。
まずは、株式投資型クラウドファンディングで普通株式を発行して資金調達を行った場合を以下にまとめました。
前提として、株式投資型クラウドファンディングを通じた資金調達は年間1億円未満であるため、次回以降により大きな金額を調達する際、VCから資金調達を行うケースが多いです。VCからの資金調達は、種類株式で行われる行われることが多く、新たな種類株式を発行することになります。
上図を見てみると、VC株式を発行する際に、株主総会を行う必要があります。創業時から普通株式を保有している創業メンバーが過半数以上を保有しているケースが多く、3分の2以上の賛成を得ることは難しくないと思われます。
一方で、株式投資型クラウドファンディングで種類株式を発行して資金調達を行った場合が以下になります。
上図を見てみると、VC株式を発行する際に、通常の株主総会に加えCF株主総会も開催する必要があります。さらに、CF株主総会を開催した場合、定足数を満たす株主の出席、3分の2以上の賛成が必要であり、企業にとってはリスク、説明コストが高くなります。
以上の要因から種類株式を発行していないと想定されますが、企業の事業戦略、種類株式の内容次第では、種類株式による株式投資型クラウドファンディングも選択肢の1つになるのではないでしょうか。
|最後に
海外、特にアメリカの株式投資型クラウドファンディングでは様々な種類株式が発行されています。背景として、アメリカでは株式投資型クラウドファンディングにおいて広範囲な証券の利用が認められており、そのため株式投資型クラウドファンディングを通じて転換社債やSAFE*を使って資金調達を行う企業が多くなっています。
※SAFE(Simple Agreement for Future Equity):アメリカのVCである
Y Combinatorが開発した、将来株式を取得する簡易な投資同意書。
日本では株式投資型クラウドファンディングにおいて、現時点で普通株式、新株予約権以外の株式での資金調達は行われていませんが、将来的にどう変化していくのか、今後の動向に注目したいです。
今後も資金調達に関する情報等を定期的に発信していきます。
次回もご期待下さい!
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