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沼落ち要素たっぷりの恋愛ファンタジー小説、で何が悪い? 『縫いながら、紡ぎながら』
やってしまいました。
寝る前にベッドでちょっとだけ読むつもりが、なかなかやめられず。夫に遠慮して寝室から別の部屋に移動し、読了したのは深夜2時。
韓流ドラマが好きな方、ありませんか。先が気になって気がついたら明け方という経験。まさに、そんな感じでした。
フランス人の女性作家、アニエス・マルタン・リュガン『縫いながら、紡ぎながら』
仏題:Entre mes mains le bonheur se faufile
Agnes Martin-Lugand
この本を、何気なく図書館で借りてみた時。
タイトルから察するに、パリでクチュリエを目指す女性のサクセスストーリーかと思っていました。
ただ、読み終わってみて、私はこう言いたい。
これは、(特に女性向けの)恋愛ファンタジー小説です!!
主人公のイリス(31歳)。夫は医者、子供はいません。クチュリエになる夢を諦め、銀行員として働いています。
夫は自分に関心がないし、両親のせいで夢を諦めざるを得なかったし、あれもこれも満たされない日々。
正直、ネガティブな発言ばかりの主人公に、最初はイラっときました。そんなに文句言ってるなら、どうしてその男と結婚したんだ!夢を諦めたことを親のせいだけにするな!みたいな。
ただ、イラっときた時点で、この小説にハマった証拠なのか。読むのをやめようか迷っていたのも束の間、あっという間に沼にハマっていました。
なぜ?
それは、沼落ちする恋愛ドラマに鉄板の要素がしっかり詰め込まれているからだと思います。
冴えない普通の女性に見える主人公が、きらびやかな世界でその能力が認められ、自分自身の真の美しさに気付かされ、誰もが羨むようなプレイボーイの男性に言い寄られ、プレイボーイと思いきや、実は寂しさや弱さを抱える一面を主人公の女性にだけ覗かせる。
ね、お約束だけど、ちょっとドキドキしますよね。
ドロドロだけど主人公に都合の良い展開に、オイオーイと突っ込みを入れつつ、面白かった!エンターテイメントとして、しっかり楽しめました。
だからこそ。
何故もっとしっかり、恋愛ファンタジーの要素を宣伝しないのか不思議です。
この小説のAmazonの紹介文を見ても、これではクチュリエとか、パリのファッション業界の話だと期待してしまいそうです。私が読む前に思っていたように。
クチュリエになりたいという子どもの頃からの夢をあきらめ、趣味で洋服を作り続けていたひとりの女性が、とあるきっかけから、パリでクチュリエの教育を受けることを決意する。家族の反対にあいながらも、夢と向き合おうとする彼女が入り込んだのは、パリの中でもかなり特殊な「美」の世界だった。強烈な個性を持つ女主人や彼女の周りの魅力的な人々、また彼らの心の奥底に潜む闇に触れながら、彼女は職業人として、またひとりの女性としての自分に目覚めていく。
これでは、読みたい人の所にこの本が届かないのではと、余計なお節介を感じてしまう次第です。
ちょっと退屈な時、ドキドキ胸をときめかせたい時。そんな時の一冊として、オススメです。
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