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フランス女性が注目する、オランダのママヘルパー。心穏やかに、親として成長していく。

出産・育児は、十人十色。

出産や育児に正解や不正解はないし、甲乙をつけられないと思います。結果的に、自分が選択した方法が一番性に合っていて、時間が経てば愛おしいものになると、個人的には思うところです。

とは言え、人によってこれだけ違うのは面白いし、まして国が違えば、そのバラエティはさらに増えます

私は、フランス人の夫と、妊娠、出産、育児の各段階ごとに、大なり小なりの選択を積み重ねてきました。フランスの親戚や友人の話に影響を受けたり、フランスの育児本を読んで真似してみたり。まるで異文化体験を楽しむような気持ちも、実はあるかもしれません。

■フランス人にもあった、育児の痛みや悩み

以前、アメリカ人がフランス流の育児を賞賛している本、『フランスの子供は夜泣きをしない』について、noteに記事を書きました。

アメリカ人から見ると、フランス流の育児は素晴らしい。それは、私から見てもそうでした。赤ちゃんに対して、一人の人間として接する育児メソッドはとても自立していて、逞しく見えたのです。

しかし、昨日、フランスのMadame Figaro誌のこんな記事を見つけました。

産後:出産後の女性の生活を楽にしてくれる、オランダの”ママヘルパー”

*Madame Figaro誌記事(2022年2月21日付)を仮訳

記事によると、フランスでは産後30%の女性が産後うつを経験しているそう。その理由は、産後女性へのケアが不十分なためだと、記事にはあります。そして取り上げられていたのが、オランダの”ママヘルパー”の制度です。

■オランダでの、出産後8日間の在宅ケア。ママヘルパーは、父親の話にも耳を傾ける。

100年以上前から、出産直後の女性や家族へのケアの必要性を訴えてきたオランダ。そこでは出産後、「Kraamzorg(クラームゾルフ)」という、助産師と保育士の中間のような専門職の女性が家族に同行し、8日間の在宅ケアを行うそうです。ほぼ100%保険適用で、98%以上の国民がこの制度の恩恵を受けているとのこと。

在宅ケアの内容は、出産後の身体的なケアや授乳、沐浴の補助だけではありません。記事が特に強調していたのは、クラームゾルフが、兄弟の面倒や掃除や洗濯、買い物や食事作りなど、家族の生活に深く関与していることです。

記事中で、アムステルダムでクラームゾルフとして働くフランス人女性(Ms.Delphine Petit-Postma)が紹介されています。

彼女のこの言葉が、とても印象的でした。

私の目的は、家族が毎日食卓について、バランスの取れた食事を取ってもらうこと。食事の準備は、私が父親と過ごせる時間でもある。母親と子供が休んでいる間に、父親に話をさせて、彼の話に耳を傾けるのです。

*Madame Figaro誌記事(2022年2月21日付)を仮訳

産後の在宅ケアは、母親のためだけのものではない。父親も含め家族全員が当事者であり、ケアの対象なのです。クラームゾルフによる産後ケアを受けた家族は、非常に穏やかに親としての学習プロセスを経ていくと、記事にありました。

私の二度の出産後、夫は子供の世話を喜んでしてくれたし、家事全般を何も言わずにこなしていました。一方で、出産後、父親のケアも制度として保証している国がある。あの時、夫にも話を聞いてくれる人が必要だったとしたら・・・。今更遅いですが、私に少なからず気付きを与えた言葉でした。

■隣の芝は青く見える、その一方で

フランスでの産後のあり方が変わるまでの道のりは長い。そう記事は締めくくられていました。隣の芝は青い。アメリカの育児本などでかたや賞賛されるフランス式の出産や育児のメソッドも、当事者(フランス人)になると、なかなか解消されない社会の課題がありました。

理想を言えば、自分がこれだと思える出産、育児方法に出会い、それを自由に選択できる社会になれば良いなと思います。生き方、働き方のあり方が日々問われ、多様化するこの時代、妊娠や出産、育児の選択肢が増えない理由はない。しかし、制度や風習を変えるのはハードルがとても高いのです。

であれば、異なる社会の出産や育児方法のいい面も悪い面も知り、自分流にカスタマイズして生活に取り入れていければ。そうすれば、日々の生活がずっと色どり豊かになりるかもしれないと、思うのでした。




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