【要約】ケーキの切れない非行少年
私たちは少年犯罪で少年法が適用されたとき、「少年法なんかなくせ!!」という意見が良く見られます。
しかし、もしその子たちが見えている世界が私たちと違ったら_?
同じことを言えるでしょうか__??
こんにちは。
今日は、発行部数70万部のベストセラー「ケーキの切れない非行少年たち」
を要約していきます。
現代社会の中で道を踏み外してしまった「非行少年たち」が抱える問題に
ついて現場で実際に少年たちを診察してきた筆者が書いた本です。
①私たちと見えている世界が違う?
筆者は少年院の少年少女たちをカウンセリングする中で、彼らが世間一般の人たちができて「当たり前」と考えていることができない子が多いことに気が付いたのです。
例えば、ある非行少年に丸い円が描かれた絵を渡し、「このケーキ(円)を三等分に切ってみて」とお願いしました。
すると、少年は縦に半分に線を入れた後、「うーん。」と手が止まってしまったのです。筆者は少年が間違えてしまったのかと考え、もう一度やらせてみました。しかし、また同じように線を入れた後、彼はまたも手が止まってしまったのです。
皆さんがもしこの課題を課されたなら、おそらく下の図のように書くのではないでしょうか?
しかし、非行少年たちが描いた図は下のようになったのです。
この様子を見た筆者は、衝撃を受けたといいます。
なぜなら、非行少年たちはそもそもの見えている世界が私たちと違っている、という可能性が非常に高い可能性があるということです。
この図も、ある非行少年に図を模写してもらった時の図です。
要するに、非行少年たちは私たちよりも見る力が弱い可能性がある。
ゆえに、「反省させる」という以前の話から考えなくてはならないということです。
②非行少年たちはどんな人間なのか?
人生の中で、少年院や刑務所内を実際に見たことのある人は少ないのではないでしょうか?
また、仮に見たことがあっても、刑務所内見学などの機会かと思います。
ゆえに、世間一般の人たちが犯罪者に抱くイメージが「怖そうな人」といったところではないでしょうか?
__しかし実際は、少年院にいる少年たちの大半は一般人と同じような見た目で、挨拶をすればきちんと返してくれるような子が多いのです。
ただ、彼らにはいくつかの特徴があります。
まず、簡単な読み書き、模写、計算など、いわゆる義務教育の中で私たちが培ってきたことができないという子が多いのです。
また、衝動的で、カッとなると怒りをコントロールできない、後先を考えて行動することができないという特徴も見られます。
そして、総じて「自己肯定感」が低いことも挙げられます。
これは、上に挙げたような周りができていることができないことによる劣等感や、周りから理解されにくいことにより、悩みを打ち明けられないことが原因なのではないでしょうか?
IQ70未満が該当する「知的障害」であれば、私たちは配慮しようとしたり、手助けを行うと思います。
しかし、IQ70以上85未満の「境界知能」と呼ばれる子たちは知的障害とは認定されないため、健常者と同じ扱いをされてしまいます。
そして、クラス内で浮いてしまい、孤立したり、いじめにあってしまうことが多いのです。
例えば、幼女への猥褻といった性犯罪を犯している少年の9割が、過去にいじめを受けた経験があるということが分かっています。
つまり、自分が生きてきたコミュニティの中で助けてくれる、理解してくれる人に出会えなかった少年たちが、自分たちよりも弱い子(幼女)などに、
「この子なら自分のことを分かってくれる」と考え、手を出してしまうということになるのです。
また、境界知能の子たちは後先を考える能力が低く衝動的であるため、もしこれをしてしまったら大変なことになる、という想像ができないのです。
境界知能の人たちでも、勿論うまく支援してもらえたり、社会の中で共生できている方もたくさんいます。
しかし、孤立して居場所がなくなってしまった子たちはどうなるのでしょうか?
お金を得るために強盗やスリを行ったり、女性であれば売春やパパ活といった短絡的な手段でお金を得ることになってしまうのです。
昨今は特にSNSが発達したことで、闇バイトや売春などの犯罪に巻き込まれたり、手を染めてしまう若者も増えています。
結局、そういった子たちは物事を論理的に考えたり、後で何が起きるかという想像ができない為、悪事を働く人にとってはカモにされてしまうのです。
③では、どうすれば?
私たちは、生きている中で目に見える障害・問題を抱えている人には配慮するという価値観はもっています。
俗にいうところの、こういう人たちです。
しかし、境界知能などの内面に問題を抱えている人たちを判断することは
簡単ではありません。
外見には特に問題がないという人が多いからです。
だからこそ、私たちは気をつけなくてはいけません。
日常の中でつい
「なぜこの人はこんな簡単なことができないんだ?」
と考えてしまってはいないでしょうか?
例えば、いつも忘れ物をする人に対して、「意識すればいいだけなのに、この人は努力不足だ」と決めつけてはいませんか?
もしかしたらその人はadhdのような問題を抱えているのかもしれません。
勿論、だからといって改善しなくていいわけではありません。
でも、もしかしたらこの人は何か根本的な問題を抱えているのではないか、という視点を今よりも多くの人が持ち、手を貸してあげるだけで、間違いなく多くの人が今よりも生きやすい環境になるのではないかと思います。
意識が高く、向上心の強い人、いわゆる「エリート」と呼ばれるような人たちほど、この事実を抑えておく必要があると思います。
1人でも多くの人がこの事実を知り、より広い視野で判断できるようになることを願っています。
気になった方はぜひ本書を読んでみてくださいね!
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