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アイデアを作る5つのステップとは?(ステップごとに関連する本も併せて紹介します)


落語のネタを作るために読んだ本の中でどんな業界でも応用できそうなものをまとめてみました。自分のアイデアで勝負していきたい人におすすめです。

「アイデアのつくり方」ジェームズ・ヤング

広告業界などで新人研修にも使われるというアイデア作りの王道の本です。読みやすいシンプルな内容ですが大事なエッセンスが詰まっています。

筆者によると、アイデア作りは以下の手順で行われます。

1材料収集

2材料の消化(分析や組み合わせ)

3孵化(アイデアから離れてひらめきを待つ)

4誕生

5検証と発展

以下ではこの説をもとに各段階に関係がありそうな本をまとめていきます。

1材料収集に関する本

「知的戦闘力を高める独学の技法」山口周

新しいアイデアとは既存の要素の新しい組み合わせと言われます。そのためにも幅広く知識を持つことは大事になると思います。

この本は社会で価値を発揮するための「戦略的な独学」の方法を四段階に分けて説いています。

まず自分がどんなことを学んで価値を発揮したいのかを考えます。ここでは「テーマが主、ジャンルが従」として、自分が追求したい論点(筆者の例だとイノベーションが起こる組織とはどのようなものか?)を先に決めてから学ぶジャンル(経営学や心理学など)を決めることが大事になります。また、ジャンル選びでは価値の高い情報や洞察を作るために他にあまりないような組み合わせを狙います。(筆者の例ではビジネスとアートの組み合わせ)

次に様々なソースからインプットする。本やネットは誰かの知識であるので自分なりの洞察を引き出さなければ価値にならない。自分の五感で体験したことは独自だけど時間がかかる。このバランスを取ることが重要です。

そして抽象化、構造化する。いくら専門知識を得ようと応用出来なければいつか知識の価値は下がります。

最後に得た学びを事実と洞察に分けてまとめる。覚えていることに価値は無くいつでも確認できれば問題なし。筆者はタグ付けで検索しやすいエバーノートにまとめるのをお勧めしています。

「リベラルアーツの学び方」 瀬木比呂志

リベラルアーツとは結局いろいろな学問分野から学ぼうということです。この本では様々な学問を取り上げてその特徴やテーマと代表的な本を紹介しています。

各学問分野が扱う領域や研究手法の特徴を簡単にでも知っておくと追求したい論点があるときにどの学問から知識を得るべきかが分かりやすくなると思います。

「センスは知識からはじまる」水野学

センスとは数値化できないものの良し悪しを判断する能力という定義のもと、この判断能力は感覚のような曖昧なものではなく知識によって発揮されると主張しています。例えば服を選ぶときも流行や自分の体型などを知り理詰めで選択していくことで本当にセンスが良いものを選べるとしています。

そして知識をつけていくためにはまず王道を知って本質を学び、次に流行を見て時代の特徴を学ぶことで判断の基準となる情報が幅広く得られると説いています。

2材料の消化に関する本

「アナロジー思考」細谷功

アナロジー=類推とは似ている点をもとにしてある物事から別の物事について推測すること。あるものの要素を分析して別のものに取り入れることです。抽象化や応用に必要なスキルの一つです。

勉強が知識量を増やすのに対してアナロジーは知識を組み合わせるパターンを増やしてくれます。

やり方としては2つの物事の共通点を見つけたりある物事の要素を分解して他のものに組み合わせたりするだけです。本書では謎かけのような簡単なものから科学の理論やビジネスアイデアにアナロジーが使われた例などを取り上げながら説明しています。

「アウトプットのスイッチ」水野学

アイデアの本質を捉えるための「〜っぽい分類」という考え方を紹介しています。その商品が例えば国で言えばどこっぽいか、人で言えば誰っぽいかというイメージを固めることでそのアイデアの本質や輪郭がくっきり見えてくるという思考法です。

広告業界では「シズル」といって例えば肉がじゅうじゅう焼ける様子のようなその商品を良い、欲しいと思わせるための表現方法があるそうです。アイデアの本質を見抜いたうえでシズルに繋げていくことが大事と主張しています。

3孵化に関する本

「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」山口周

本書はイノベーションを起こしやすい企業の特徴について語る本ですが、個人単位のひらめきにもヒントになると思います。

科学で画期的な変化を起こした人は専門分野の他にも異なる分野の深い知識からヒントを得ていたことが多いという事実の紹介。

また、アリの巣の中に怠けるアリがいることでむしろ思いがけない労働効率化のアイデアが生まれるという生物学の発見から、イノベーションは規律と遊びのバランスが重要などといった主張をしています。

日本企業がイノベーションを起こしにくい理由として情報の風通しの悪い組織構造やひらめきの主導者となる若手が少ないことなどを研究データとともに示しているのでこちらも面白いです。

「世界のビジネスリーダーがいまアートから学んでいること」ニール・ヒンディ

コモディティ化や自己実現の時代においては物事の意味が重要になります。そして、様々な角度から物事を観察し自分なりの意味を作り出すアートの考え方こそそんな世の中で必要になってくるということを主張しています。アートの創造性をビジネスにも結びつけようという内容です。

18、19世紀の産業化による工場の誕生は教育システムにも大きな影響を与えました。良い工場労働者にするためにひとまとめに効率的に画一的な教育が求められる。また、いちいち問いを持つより答えを詰め込むことが評価され成功するために重視される。こうした教育は安いコストで勤勉な労働者を多く生み出した功績があるものの、今の時代には不適切になってきました。だからこそ自分でものを作り上げるアートの考え方を取り入れていくのが大事と示しています。

また、起業家もアーティストも理想を現実にしたり深い洞察を必要とする点で共通しています。科学者の中でも例えば写真を趣味にする人は8倍、ダンスや演劇が趣味なら22倍もノーベル賞受賞率が高いといったデータがあります。こうしたアートに一見関係なさそうな領域の人にもアートは大きな影響があると言っています。

4誕生に関する本

「直感と論理をつなぐ思考法」佐宗邦威

近年は企業でも理想やビジョンの重要性が理解されてきました。ただし、そうした直感的なものを妄想で終わらせないためにも論理、形に繋げていく方法を紹介しています。

自分だけの思考を作る為には内発的動機とインプットの幅と独自性とアウトプットの数が必要としてそれぞれの実践のコツを示しています。

「ジョブ理論」クレイトン・クリステンセン

客が商品を買うのは何か片付けたいジョブ(用事、仕事)があり、そのために何かを「雇用」するという理論です。いくら大量の顧客データがあろうと客が何のために買うのか?ということが分からなければ商品は売れない。だからこそ顧客のジョブを発見することが成功率の高いイノベーションにつながるという内容です。 

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