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思考そのものを考えるための本「思考・論理・分析」


 本書は思考と論理と分析とはどういうものなのかをコンサル経験のある筆者がかなり細かく説明しています。


 普段あまり意識せずに使っているこれらの定義を改めて学べるので面白いと思いますが、やや固い内容のため思考のプロフェッショナルになりたいという人におすすめです。



 思考とは外から得た情報と頭の中にある知識を比べて意味を得ることです。


 例を挙げてみましょう。目の前に何か黒くて大きくて毛の生えた動物がいるとします。このとき私たちはこの外から得た情報に対して頭の中にある知識(今回は動物に関する知識)を引っ張りだしてそれがどういうものか(今回では熊である)ということを判断します。



 「分かる」ということはこの情報と知識を比べて同じものと違うものに分け尽くした状態ということです。(今回では黒い大きい毛のある動物といった情報に対して知識の中から当てはまるものを選び出していった結果熊と分かる)



 論理とは根拠と主張をつないでいるだけのもの。根拠と主張があればなんでも論理的と言えますが、よく言われる論理的とは正確には二つの意味がごちゃまぜになったものです。論理の正しさには形式的正しさと意味的正しさがあります。



 風が吹けば桶屋が儲かるということわざを例にしてみます。風が吹くと埃が舞う〜という流れでそんなことは間違っていると思う人が多いでしょう。しかし、根拠と主張があって一応つながっているという点で論理の形としては正しいと言えます。つまりこれは形式的には正しく意味的には間違っている論理となります。


 同じ例としては誤った三段論法があります。高校生は勉強が嫌いだ。私は高校生である。だから私は勉強が嫌いだ。これも考えの導き方としては三段論法で正しいのですが得られた意味としては間違いです。


 分析とは要素に分けること。あるものを構造化して理解することです。



 そして構造化とはあるものがどんな個別の要素に分けられるのか、個別の要素がどのような関係で結びついているのかを明らかにすることです。

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