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校則はむずかしい(生徒会指導の経験から)

教育の世界では、校則について生徒の意見をきくことが求められているようになった。「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂になり、今後、教員が一方的にルールやきまりを押しつける指導の変更が求められるだろう。
また、変化の激しいこれからの社会で生きていくには、他者と協力しながら未知の問題に対処したり、自分たちでルールを作ったりする経験も必要である。
しかし、校則について生徒に意見を聞き、それを変更していく、というのは相当難しいと僕は思う。

以前勤務していた学校で、生徒会を担当していた。生徒会の目的の一つに、学校生活上の課題を解決するというのがある。そこで生徒会の生徒と話し合い、まずは課題や問題を洗い出すために全生徒への「生徒アンケート」を実施しようという話になった。
しかし、いざ職員室で提案してみると、多くの先生から反対をされた。ある先生からはこんなことを言われた。
「生徒アンケートをすると、教員と生徒が対立的になってしまう恐れがある。」
他の先生にもだいたい似たようなことを言われた。要するに、生徒が校則や学校のきまりに対して不満や意見を表明すると、教員の言うことを聞かなくなる恐れがある。かといって、生徒の意見を聞き、対話する時間なんてない、ということだった。
僕は反対した先生たちを責めていない。確かに対話するには時間がかかるし、この忙しい現場にどこにそんな時間があるのかと言われれば、まあその通りかもしれない。

僕が言いたいのは、校則を変える、ということは多大なエネルギーと時間が必要であるということだ。校則を変えることは、今までの教員の指導を変えることにもつながるし、それは勤務時間を増やすことにつながるかもしれない。校則なんか変えようとせずに、だまって耐えていたほうが教員にとっては楽かもしれない。(もしかしたら生徒にとっても)
いずれにせよ、校則について生徒に話し合わせたり、変えたりするというのは、そんなに簡単ではない。それ相応の覚悟が必要だと思う。
まずは校則を変えようなんて思わずに、普段から同僚や生徒と、小さなことでも意見を交換する時間を多くとることが、遠回りのようで一番近道な気がする。
「対話」=「価値観の違う他者と意見をすりあわせること」を積み重ねていった先に、校則やルールを変える活動も生まれるはずだ。

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