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修羅・カンボジア アゲイン 【#73】

クアラルンプール国際空港でトランジット。やっと見つけ出した喫煙所にはガラナの匂いが充満している。

カンボジアへ渡るのはちょうど去年の今頃ぶりだ。ウィルス性胃腸炎にかかり、サイドギャンブルのスポーツベットでもやられ、正直なところ散々な記憶しかない。

もうしばらくこの地を踏むことはないだろうとたかを括っていたものの、そのわずか一年後に訪れることになるとは。明日の未来はだれにもわからない。


DAY1: WPT Cambodia Championship

プノンペンに向かうフライトを待つ間に夏目漱石、未完の遺作『明暗』を読み終える。主人公・津田とその細君。そして彼らを取り巻く人々との微妙な心情を描き切った人間観察の鋭さ、それを落とし込む質実剛健な筆致。難解な箇所はほとんどなく、スルスルと読めてしまう。

人世観という厳めしい名をつけて然るべきものを、もし彼がもっているとすれば、それは取りも直さず、物事に生温く触れて行く事であった。微笑して過ぎる事であった。何にも執着しない事であった。呑気に、ずぼらに、淡泊に、鷹揚に、善良に、世の中を歩いて行く事であった。それが彼のいわゆる通であった。金に不自由のない彼は、今までそれだけで押し通して来た。またどこへ行っても不足を感じなかった。この好成蹟がますます彼を楽天的にした。誰からでも好かれているという自信をもった彼は、無論お秀からも好かれているに違ないと思い込んでいた。

機内で惰眠を貪りつつ、2時間ほどでプノンペンに到着。日本に比べるとカンボジアの天候はヘヴンそのもの。想定していたよりも湿気が少ない。外は半袖半ズボンでもちろん問題ないものの、厄介なのはカジノ内の寒さ。上下肌を覆うことのできるパーカーやスウェットが必須となる。まあ、ポーカープレイヤーであれば常識の範囲内の話。

空港からWPT Cambodiaの開催地であるナガワールドに直行する。トゥクトゥクに揺られ、30分ほどで到着。まずはすでに現地入りしている連れのポーカープレイヤーたちと合流し、近くのイオンで飯。選択肢があるようでなくて、結局ラスベガス以来のペッパーランチに。

世界に散らばる日本の外食チェーンは偉大だ。でもペッパーランチは年一で十分。

腹ごしらえを済ませて、WPT Cambodiaのメインイベント「Championship」(Buy-in $3,500)にエントリー。さすがに高くて若干気合い入る。

レイトレジが締め切られる1時間前くらいまでおそらくテーブルチップリで快走していたのに、時は突然訪れる。まずはA,Q << 8,8のフリップでスタックが半壊してから、同じおじさんに、ものの見事にそこから5分で飛ばされるまでのストーリー。自分がBTNオープン、おじさんBBディフェンス。ターンでナッツフラッシュつもる。リバーで2がペアる。おっさんのドデカドンクが飛んでくる。さすがに降りれずコール。なぞの10,2oランナーランナーフルハウスで瀕死。

直後また同じシチュエーション。BTNオープンQ,8s。おっさんディフェンス。フロップ、8トップヒットバックドアフラドロ。Cベットに、おっさんミニレイズ。ショートだったのでオールイン。おっさんスナップ。しっかり6ポケ刺さってる。ここで退場。メインはDAY1で散る。

カンボジアに着いたばかりで睡眠も足りていなかったので、この日は街へ繰り出すこともなくベッドに直行。翌日に備える。

ポーカーの詳しい話は後日アップされるであろう、じぇいそるchで。

DAY2: Mini Main Freeze Out

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