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雪降る東京で肌に感じる、相対性・平均性の引力 【#75】


雪と剥がれる記憶

AM7起床。ナレッジワークのコンテンツ作成を進めて、読書。2年に1回くらい伊坂幸太郎の文体を飲み込みたくなる。表現が難しいけど、自分にとってはポカリスエットのイオンウォーターみたいな味。特になにも考えずに『陽気なギャングが地球を回す』を手に取る。

「つまり、どういうことだ?」響野はさらに訊ねる。 「最小限の変装で、銀行強盗とは断言できないくらいの恰好で、カウンターに近づくんだ。あとは何が起きたのか彼らが把握する前に、警報装置から遠ざける」

自分が特に好きなのは伊坂幸太郎作品の登場人物たちによる会話文だ。ポップなウィットに富んでいる。以前「食べたくなる“言葉”」というnoteを書いたことがあるが、伊坂作品は飲みたくなる。

NP Publishingの編集長の井上さんと新丸ビルで一緒にランチ。盛り上がり、すっかり2時間話し込んでしまった。窓の外は雪。あまりにも寒い。以前、『“すべて”を語り合える友人がいない』というnoteを書いたことがあるが、井上さんとは広い意味でバイブスが合う。「“破滅”と”退屈”」で一冊を、とアドバイスをいただいたのでいつの日か陽の目を浴びれるように、認め、仕込みたい。

雪が降り頻るなか、通っているジムで背中と下半身のトレーニング。スクワットの重量がじわじわ上がってきて嬉しい。が、明日は使い物にならなくなる足の未来がすでにわかる。ワークアウトを終えて、裏にあるルノアールガス灯通り店に流れ、ジェネシア・ベンチャーズとのMTGで今後の方針を固める。だいぶん大きな期待値を寄せてもらっているので、アウトプットでその期待を跳ね返していくしかない。自分の持ちうる技量を総動員したい。

北海道の様相を呈する新橋で親友らと飲む。毎回話の種は若かりし頃の思い出話になるわけだが、その度ごとに、確実に自分の記憶が剥がれ落ち、忘却の彼方に仕舞い込まれていることに愕然とする。友人らに具体的なエピソードを指し示されても、「そんなことあったっけ?」と自分の内側から記憶が戻ることはない。でもそれでいいんだと思う。記憶の曖昧な質感と、この関係性だけが残存しているのであれば。

雪とエコーチェンバー

ライターだろうがポーカープレイヤーだろうが、どんな仕事にも言えることだけど、エコーチェンバーには痛いくらい自覚的でないと飲み込まれてしまうよなあ。タイムライン=自分の視界になってしまう。世界は想像も及ばないくらい広いはずなのに、狭いコミュニティが世界そのものと錯覚してしまう

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