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授業とテスト

テストは重要です。

波及効果

どんなテスト問題を出題するかが、生徒に対してどのような勉強をすべきかというメッセージになっているからです。

このようなことを「波及効果」と言います。

例えば「悪い波及効果」の例としては、授業で扱った英文本文を出題して、その中の一文全体を和訳しなさいという問題があります。

どうしてこれが悪い例なのかというと、生徒がテストのために勉強するとき、英文自体とは全く別に日本語訳だけを覚えてくるようになるからです。

以前、ある人がそのようなテストを出題したときに、テストが終わった瞬間に生徒が「あ~、和訳暗記しておいてよかった」と言ったのです。

私は生徒がそのように言ったことをテストを出題した人に伝えたのですが、事態をよく理解してもらえませんでした。

もっとはっきりと、「そういうテストを出すと和訳を覚えてテストに対応する生徒が出てくるからやめたほうがいいと思いますよ」とか、それでもわかってもらえない場合は「そういう無駄な勉強を生徒にさせているのはテスト問題のせいですよ。」とぐらいまで言ったほうがいいのかとも思いました。生徒に無駄な勉強とさせて、無駄な労力と時間を使わせている行為は…。(その後、時間をかけて失礼のないようにじっくりと説明して、わかってもらいました)。

ですので、テストを出題するときは、「この問題を出題したら、生徒たちは今後どのような勉強をしてくるだろう」「この問題を出題したら、私が生徒にしてきてほしい勉強方法で生徒は勉強してくれるだろうか」ということを考えながら作成しなければならいません。

さらに、当たり前のことですが、授業でやったことをしっかりと復習すれば解けるような問題にすることです。授業で習ったことをしっかり勉強したのに解けない問題を出題したら、「生徒はどうせ勉強したってできないんだから勉強しない」という行動をとるようになります。

しかし、実際には応用問題だとか何とかいう理由で、そういう問題が出題されているのは残念な事実です。

模擬試験と定期試験の目的の違いが区別されていないことからくる悲劇です。

波及効果を定着させるためには、テストの問題形式を毎回同じとし、できれば事前に問題形式を公開しておくべきです。

定期テストの目的

定期テストの目的の一つが「波及効果」にあるということをお話ししました。

もう一つ重要な目的は「生徒がどのくらい授業の内容を理解定着させているか」ではなく、「教えた教員自身がどのくらい授業で生徒に教えた内容を理解定着させることができているか」というものです。

生徒へ評価ではなく、教えた自分自身の評価結果がテストなのです。

職員室でテストの採点をしている人が生徒のできなさ加減を嘆いていることがあります。自分の評価がそこに現れているんだということを気づいてもらいたいなぁといつも思う次第です。


と、テストはとても大切なものですが、残念ながらテスト法に関して大学で教わったり、テスト法に関する本が出版されている教科はほとんどないようです。

その点、英語は何冊か出版されています。

私がここまで書いた内容は以下の本に書かれています。

最低限、教員であるならば読んでほしい本です。

初任者の人に何か一冊本をすすめるとしたらこの本です。

テストについて話をするとき、最低限ここに書いてあることがわかっていてくれないとなかなか生産的な議論ができません。





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