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人とコンピュータが共生する時代に向けて私たちは、なにをすべきか

こんばんは、ろろいです。新年度がはじまりましてリモートワークが増え少し身体を動かす機会が増えました。出社自体が嫌なわけではないのですが、時間の使い方や行動の取捨選択をより厳密に行う必要があるため、しばらくは不慣れな生活が続きそうです。

さて、本題に入る前に、皆様からの数多くのリアクションについてお礼申し上げます。このように自分の考えをまとめていくのは不慣れですが、一定みていただけるということも実感しましたので続けていきたいと思います。よろしくおねがいします。

SINIC理論から見る、次の社会

社会のプロセスを把握するとき、よくSINIC理論をもとに考えます。1970年にオムロンの創設者である立石氏によって提唱された理論です。詳細な説明は以下にて。

SINIC理論(Science, Industry, and National Innovation Cycle理論)は、科学、産業、国家イノベーションサイクルを統合した理論で、技術革新のパターンや社会の発展を説明します。SINIC理論によれば、科学の発展が技術革新を促進し、その技術革新がさらなる科学の発展に繋がります。同時に、これらのプロセスは国家の経済発展や産業構造の変化に影響を与えるとされています。

SINIC理論の根幹にあるのは、社会、技術、科学が相互作用することで、イノベーションサイクルが生まれるという考え方です。社会のニーズや問題が技術革新の原動力となり、技術革新によって新たな科学的知見が生まれ、さらに新しい技術が開発される。このサイクルは継続的に繰り返され、社会や経済の発展に寄与します。

また、SINIC理論は、国家間の競争がイノベーションサイクルの加速や技術革新の普及を促すと考えます。国家がイノベーションの促進や技術開発に投資を行うことで、国内産業の競争力を高め、国際競争力を維持することが可能になります。

SINIC理論を理解することで、技術革新やイノベーションのプロセスを把握し、未来の社会や経済の発展を予測する手がかりとなります。また、国家や企業がイノベーション戦略を立案する際にも、有益な知見を提供する理論です。

chatGPT 3.5

オムロンのサイトには次の画像が掲載されています。この画像の流れによれば、インターネットによって情報化社会となり、情報洪水の時代にレコメンデーションが登場して最適化社会となりました。次は自律社会が到来すると言われていますが、どんな社会なのでしょうか。

自律社会とは?

SINIC理論における自律社会の理解を深めるために、オムロン社が提供している解説PDFを見てみましょう。

最適化社会は、この2つの社会の価値観の狭間で破壊と創造を繰り返し、最適化を進めていく混沌とした時代です。そして、およそ10年後に到来を予測している自律社会は、自分がありたいと思う生き方を何の束縛も受けずに自らの価値基準で決め、自ら実現させ、生きる歓びを享受できる成熟社会です。
自律社会ではモノだけでなく人間の知識や感情、心の重要度が増すため、知性や感性など人間にかかわる科学や技術の発展が求められます。IoT(InternetofThings)や人工知能による第4次産業革命の到来は、SINIC理論の予測と符合しています。



人と機械の関係進化

このような社会変化に連動して、人と機械の関係にも変化が生まれます。両者の関係の進化には、過去から未来へと3つの段階があります。
第1の段階は、人と機械を「分離」して機械が人の仕事を肩代わりするという関係です。人が担わなくてよい仕事を機械に代替させるもので、自動化の原点です。当社の工場自動化や自動改札機などの事業の歴史もこれに該当します。
第2の段階は、人と機械が「連結」して両者が協働する関係です。例えば、工場の生産ラインで人と組み立てロボットが共存し、互いの適性を最適に発揮して生産性を高めるというものがこれにあたります。また、オムロンの「ぶつからないクルマ社会」を目指した衝突防止技術も、人と機械が協調して安心・安全や快適性を実現している一つの事例です。
第3の段階は、人と機械が「融和」して人の能力が拡張される関係です。機械が社会の中に広く融け込み、そしてその機械の支援を得て人間の可能性や能力が拡がります。人の体の状態をモニタリングできるウェアラブル機器や、人の意思を感知して動作を助けるロボットスーツなど、既に実用化が始まっています。

https://www.omron.com/jp/ja/ir/irlib/pdfs/ar16j/ar16_27.pdf

自律社会では社会が更に成熟し、経済的な幸福以外の感情や心の重要度が増すことからこれらの人間に強く関係する科学や技術の発展が求められます。これによって、人間と機械(コンピュータ)の関係は更に発展を遂げ、「融和状態」に進むことになるとしています。人間が過ごしやすいというだけではなく、人間が過ごしやすくなるためにコンピュータにとっても過ごしやすい社会構造への転換、そして人間自体へのコンピュータの統合、いわゆる人機一体によって、より機会を得ることができる社会の到来が期待されています。

自律社会に向けた課題

さて一方でそういった社会に向けての課題も多く生まれています。例えばシンプルな課題は恐怖感です。人間の体にコンピュータを埋め込むような取り組みは海外でも行われていますが、それ自体が怖いという声もあります。VRのようなデバイスも慣れなければ不安になるものですし、昨今のAIによる様々な反応はまさにその代表例ともいえるでしょう。新しい技術の登場は期待されている反面、心の準備が求められるものが数多く存在します。
似たようなことを歴史は数多く経験してきました。一番身近なものはガラケーとスマートフォンです。高機能で今や殆どのユーザーがスマートフォンの操作に慣れていましたが、当初は画面をタッチする操作に不満がでたり、セキュリティの不安などによって機種を変えるユーザーは限定的でした。一方、動画サービスが増えたり、サービスサイトが増えるにつれてユーザーは増えていきましたし、就職活動などにおいてはノートパソコンではなくスマートフォンで対応が完結する場面も見られるように感じます。(あいにく私が就職活動をしていないため想像の域を超えません)
このような側面から見いだせることは「ユーザーは新しい技術の使い方がわからないが故に不安を感じ、立ち止まる」ということです。

先端技術の到来に順応できる社会

技術ではなく、用途を規制せよ

chatGPTの登場によって多くの人が見解を述べるようになりました。

  • ホワイトカラーの仕事が●割なくなる!

  • プログラマーはもういらない

  • 事務職が消える

このような言説の一部には消費者を煽るようなものも認められますが、一方で消費者らはそれに関心があり気にするようになったことも事実です。AIを効率的に使おうという人、使わずに筋肉を磨こうという人など人々の反応も多岐にわたっています。
ただ個人の感情がどうであれ、「chatGPT」をやめさせようということはできません。そのため、イタリアのように全面的にchatGPTの仕様を禁止する試みもでてきています。
そんな中、私が注目したいのはイギリスのAI利用についてのガイドラインでした。イギリスはAI時代での再起を狙いAIへの投資を加速させています。

イギリス政府はAIにおいて技術立国を目指すために、AIの適切な社会実装を積極的に推進するという考え方を持っているため、社会実装においては、AIによるイノベーションを期待するために正しくリスクを把握し、正しく社会に普及させるための活動を行うとしています。その中で特徴的であったのが「Regulating the use – not the technology」
というフレーズです。直訳すると「技術ではなく、用途を規制する」です。この考え方は技術を正しく使い社会を発展させようという心意気の象徴とえいましょう。

正しく学び、正しく捉える

私たちの多くはスマートフォンの使い方を学校で習っていません。ある世代からはコンピュータの授業が取り入れられていると聞きましたが、教えているのは「コンピュータがない時代に育った人たち」であることもしばしばです。中学と高校時代の情報の授業では、先生よりも私のほうが詳しいという逆転現象が生まれていたこともありました。今でもこれは顕著な面があるかもしれません。
同じように、私たちはAIについて学校で学ぶことをしてきませんでした。そしてAIについて教えている教育機関も僅かであり、日常生活でAIという存在について正しく理解することがとても難しい状態になっています。正しく学べないということは、正しく捉えられないということであり、正しく備えられないということです。特に日本社会は新しい技術を社会に浸透させるのがとても不慣れであり、企業サイトに当たり前にあるチャットボットが市政のサイトには当たり前に見られなかったりしています。需要があるのにも関わらず、不便な状態を無意識に受け入れてしまっています。
私たちはもっとAIやロボットや先端技術、つまり「社会を構成する要素技術」について学ぶべきであり、国会の仕組みと同等に理解しておくべきものです。

正しく学ぶために必要なことの一つは、自ら考えることです。誰かの発言を鵜呑みにするのではなく、自分で触れてみてどう思うかを感じることは直感的な理解を助けます。漠然とした不安を感じるのだとしたらそれはなぜなのか、ワクワクしたとすればそれは何が理由なのか、ぜひ考えてみましょう。

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