愛、リニューアル、即興:ティム・インゴルドが語る芸術の未来
金沢21世紀美術館で開催された文化人類学者ティム・インゴルドの講演会に行ってきた。予約は瞬殺だったらしい。
インゴルドと言えば、勝手な体感だが、日本では人類学を超えて幅広いジャンルの人たちに知られている印象がある。「大学生のときゼミで読んだわ〜」という人もよくいる。自分は2021年に藝大に行く前、通っていたアートトの授業で「ラインズ 線の文化史」を読んだのがきっかけで、まあ、影響は受けていると思う。
「Lines(ラインズ)—意識を流れに合わせる」という展覧会がまさか地元で開催されたと知った時はフランスから驚いたが、インゴルドの話は周りでもよく聞くので時代的に求められているんだろうなと思った。
肝心の講演会は、最初の30分はよくわかんないことをずっと言ってて(オイ)眠くて仕方なかった(ていうか若干寝た)。でも後半、やっと日英同時翻訳に慣れてきたのか、一気に面白くなった。話の内容は、今週発売される新刊のものだったらしい。
以下、なんとなくメモったこととかをつらつら書いていこうと思う。
アーティストは異世界を作っている訳ではない
そうではなく、私たちは世界を創造する「過程」に参加しているのだと。
作品を制作する主体とそれを鑑賞する客体をあんまり分けんなということかな。2年前のドクメンタと共通するような気がする。
風について考えることが大事
一瞬、線に沿うとか横切るとか区別するとか、「ラインズ」に書かれているような話が出てから、「風」について話題を振ってきた。風には起点も目的地もないと。
例えば芸術作品には必ず「制作年」がキャプションに掲載される。2024年に作られたとか。実際、全く知らない状態で作品を鑑賞した時、いつの時代に作られたものか情報を確認するほどには美術の世界において制作年は大切だ。
しかし、川や風や海には年代はなく、そこにあるのは永遠に再生される永遠性だけだと。では芸術作品も川や風や海のように、永遠に再生されるような性質はあるのかと。
「芸術作品には完成などなくて、ただ全て作り直したり、語り直すことがあるのみだ」「リニューアル(Renewal)」というようなことを言っていた。
熱気の捌け口としての芸術はすぐに蒸発する
作品を生み出すための労働には二種類あって
ということを言っていた。これはわかりますね。
そしてこのような興味深い図を書きはじめた。
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