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お盆は葬儀にも影響を及ぼす!!お盆の葬儀事情

 皆さんこんにちは。ルトです。


 日本の大きな夏の風物詩となっているものに、お盆の行事があります。

 昔から「盆と正月が一緒に来たよう」などと言われるように、楽しいことも多いですが、同時にとても忙しくなる時期でもあります。新幹線や高速道路が大混雑したり、お盆商戦が行われる時期になります。
 そんな日本人の行動に大きな影響を与えているお盆ですが、それは葬儀も例外ではありません。
 葬儀社は24時間365日営業していますので、僕たち社員は交代で休みながら仕事を行っています。

 他の季節とはちょっと違う、お盆の時期に行われる葬儀についてお話したいと思います。
 なお補足としてお盆は地域によって、7月中頃に行う地域。8月中頃に行う地域。旧暦で行う地域があります。そして火葬場については、お盆の時期も通常通り営業していました。


そもそも葬儀ができない!?

 お盆の時期には、なんと葬儀をしない(できない)ことが決まっていることもあります。
 これは主に、お寺さんの事情です。

 お盆の行事には「棚経(たなぎょう)」があります。お寺さんが檀家を回り、お盆の時期に仏壇の前でお経を上げていきます。そのためお盆の時期にお寺さんは、それこそメチャクチャ忙しいのです。
 檀家の数が少ないならまだしも、多いお寺ですと500件を超えていることだって、珍しくはありません。当然、檀家が多いお寺ですと住職1人でお盆の期間中に棚経を終わらせることは不可能です。
 そこで副住職が回ったり、同じ宗派の別のお寺から応援を呼んだりして棚経を行います。1日に何十件という檀家を回ります。そして自分の檀家の棚経が終わるかひと段落ついたら、同じ宗派の別のお寺の棚経の手伝いに行ったり…。
 猛烈に忙しいため、同じ宗派のお寺同士で話し合ってお盆の期間は葬儀をしないと、取り決めたりしていました。(例として8月盆の場合、8月12日~15日の間など)

 お寺さんは通夜や葬儀で読経することだけでなく、位牌や卒塔婆といったもの(僕たち葬儀屋は「書き物」などと呼んでいます)の準備や手伝いに来るお寺さん(役僧と呼びます)の手配もあるため、お盆の時期は葬儀どころではないのです。
 そのため、葬儀ができない時期に葬儀の依頼が入ってしまった場合は、ドライアイス等を使って故人様のお体をお守りしました。(夏の暑い時期になりますので、ドライアイスを頻繁に新しくしないと、すぐに腐敗が進みます。状況によっては、早めに納棺したりと臨機応変に対応しました)

 葬儀を依頼した檀家から怒られないのかと思う人もいるかと思いますが、田舎ではまだ檀家さんとお寺さんの付き合いが密接です。
 そのため「お寺さんがこうと言っているのなら、仕方がない」と考えている檀家さんは多いです。
 都会では考えられないことかもしれませんが、お寺さんあってのことなのでこういうケースはあります。なお葬儀社はお寺さんと檀家さんの関係については、基本的にノータッチです。

 もちろん全てのお寺さんがこうしていたというわけではなく、調整して葬儀を受けてくれるお寺さんもいました。
 また神式で葬儀を行う場合ですが、神職さんはお盆は関係ないのでお盆の期間でも葬儀を行ってくれました。(もちろん地域差があります)


供物の内容が変化することも

 お盆の時期には、供物にも影響が出ます。
 よく依頼される供物に、果物の籠盛があります。この果物の籠盛以外に、缶詰などで構成された缶詰の籠盛がありまして、お盆の時期には缶詰の籠盛しか用意できません。

 青果市場がお盆休みに入ってしまうため、調理部門が果物を仕入れることができず、果物の籠盛が作れなかったためです。
 そのため、喪家さんには「申し訳ないのですが…」と、缶詰の籠盛しか用意できないことを説明して、受注をしなくてはなりませんでした。(事前に説明をしておかないと「果物の籠盛を頼んだのに、どうして缶詰の籠盛になっているんだ!」とクレームになります)


 お盆の時期は、正月の時期と同じように注意しつつ、葬儀を行っていきます。
 毎年恒例の行事も、葬儀と重なってしまうとこうなるということを、少しでも知っていただければ幸いです。


 それではっ!

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