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今のは誰?~お盆の時期に葬儀の仕事で実際にあった不思議な体験~

 皆さんこんにちは。ルトです。

 少し前のことですが、こちらのnoteに実際に体験した不思議な出来事を書きました。

 葬儀の仕事をしていて、お化けや幽霊を見たことはありません。
 しかし、以前のnoteでも書いたように、理屈や科学で説明ができない不思議な体験をしたことは、何度もあります。

 お盆の時期にも、そんな体験があります。
 それはお盆が差し迫った日の、ある通夜のことでした。

 田舎なので通夜を自宅で行うこともあり、その日は19時からお寺さんが来まして、読経が始まりました。

 夏でも、夜の19時くらいになりますと、辺りはだいぶ暗くなってきます。さらに田舎で山間部となりますと、周囲を山に囲まれていることがほとんどのため、日の入りが早く感じられます。あっという間に、辺りは暗くなってしまいました。

 そんな中、お寺さんの読経が響き渡り、焼香の臭いが漂って来ます。
 僕はその中で、通夜の進行を見ながら周囲に目を光らせていました。参列に見えた方が居たり、何かあった場合には、対応するためです。

 ちなみに参列した方は、親族の方以外は、外で焼香するようになっていました。本来は家の中に入って焼香することが多いのですが、家の間取りや人数の関係から、その時は難しかったため、外に焼香机と焼香炉を置いていました。(コロナ渦前の出来事です)

 そして30分くらいしたときです。
 お寺さんの読経が終わり、喪主さんの挨拶も終わって、司会者代わりの僕が明日の予定を告げます。こうして通夜は無事に終わりました。

 通夜が終わるとお寺さんと参列者は帰り、遺族と親族が通夜振舞いに移行します。
 僕は通夜の片づけと、明日の朝の出棺の準備などを行い、それが終わったら帰ることになっていました。
 しかし、通夜の後に焼香をしに来る参列者のために、しばらくは待機しています。

 そんな時に、1人の男性がやってきました。

 暗くて顔はよく見えませんでしたが、高齢の方であることは分かりました。
 故人様の友人で焼香をさせてほしいと、僕に話しかけてきました。

 まだ焼香炉の炭には火が残っていましたので「どうぞ、こちらでお願いします」と案内いたしました。
 焼香机に置かれた焼香炉の前で焼香します。

 そのとき、喪主さんがやってきましたので、僕は念のため喪主さんに「ご友人の方が、ご焼香に参られました」とお伝えしました。
 しかし、喪主さんから返ってきたのは、想定外の言葉でした。

「えっ、どこにいるの?」

 すぐそこに焼香机があったので、おかしいなと思いつつも、焼香していると伝えてそちらを見ました。

 しかし、そこには誰も居ませんでした。

 まさかもう帰ったのかと思いましたが、そんなことはあり得ません。
 焼香机の場所から帰るためには、どうしても僕の前を通らないといけないので、こっそりいなくなることは不可能です。

 疲れていたので、見間違いかと思いましたが、そうは思えませんでした。
 その証拠に、焼香机の焼香炉からは、煙が立ち上っていました……。

 不思議な気持ちを抱えたまま、出棺と葬儀を終え、喪家に四十九日までの祭壇を作りに行ったときでした。
 祭壇の飾り付けが終わった時に、親族の方がメモリアルコーナーに飾っていたコルクボードを持ってきました。こちらも一緒に飾ってほしいとのことだったので、場所を伺ってから、祭壇の隣に飾りました。

 そのとき、写真を見て声を上げてしまいました。
 1枚の写真に、通夜の後に焼香に来た、故人様のご友人だという方が、写っていました。

「あっ……この方です、通夜の後に焼香に見えたご友人様!」
「まさか! だってその人、もう3年前に亡くなっているんだから」

 親族の方の言葉には、驚くことしかできませんでした。

 しかし仕事を終えて帰る途中、日付を見て、もうすぐお盆であることに気がついた時です。

「もしかしたら……お盆が近いから、一足先に来ちゃったのかもしれないな……」

 そこでかつての友人の葬儀があることを知り、焼香だけでもしたいという気持ちが、僕の前に現れたのかも。

 少しだけ温かい気持ちに包まれて、僕は営業車を運転しながら会社に戻りました。


 幽霊だったのかどうかは、今でも分かりません。
 しかし、故人様とご友人の間に、確かな友情が存在したんだと思ったひと時でありました。


 それではっ!

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