見出し画像

読書日記(1)

 自分のための読書日記として、読んだ本についての要点や感想を自分の視点でまとめていきたいと思います。

はじめに


 今日、日記として記録する本は稲田 豊史著『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ――コンテンツ消費の現在形』です。この本は、動画や映画、本などのコンテンツを倍速視聴する人たちについて、SNS・ネット社会からくる心理的影響やライトノベルをはじめとするコンテンツの変化といった視点から分析していく内容となっている。

SNSによる影響

 ユーザーが動画や映画などの映像コンテンツを倍速視聴もしくは10秒飛ばしを使用して手早く視聴する理由について、著者の意見は次のように要約できると思う。

  1. 話題に上がることが多いコンテンツについて、とにかく情報収集しておかなければ『会話という勝負の土俵にすら立てない』。

  2. 現在の若者は、経済的・時間的余裕がないため安価で大量に提供されるサブスクのコンテンツを選択する傾向が強い。そして、サブスクのように安価で大量に供給される商品に対してユーザーは『もったいない』という感覚を抱きにくい。

  3. シーン単位・感情単位で『好き・嫌い』が発生し、『嫌い』な部分を飛ばす。

 自分は、2番の『もったいない』という感情がサブスクコンテンツには湧き難いという点についてその通りだと感じた。映画館に足を運んでみる映像は2時間だろうと3時間だろうと、見終わった後に見れてよかったという感情になることが多い。しかし、YoutubeやAmazon Prime などのサブスクで提供されるコンテンツは、倍速で視聴しないと時間がもったいないと感じてしまう。その理由について著者の指摘はすごく腑に落ちた。

さいごに

 本書を読むきっかけは、落合陽一先生と東浩紀先生との対談動画で『タイパ主義』という言葉を聞いたことであった。見知らぬ言葉であったため、Webで調べたときに本書が紹介されており、読んでみようと思った。そんな単純な理由からではあったが、読んでみると現在の自分の私生活について一つ考えさせられる、とても示唆に富む内容の本であった。情報過多の社会において処理速度を上げる方法を模索するのは、確かに生存戦略の一つかもしれない。そして、取捨選択をした末に自分が重要と感じたものについてはじっくり時間をかけて吟味していくことが求められるのかなと感じた。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?