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読書日記(3) 働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~

Society5.0の世界は、「コンピュータには不得意で、人間がやるべきことは何なのか」を模索することが大事。人の良いところとコンピュータの良いところを組み合わせて課題を解決していくには、コンピュータが持つ性質について深く理解する必要があります。例えば、コンピュータには次のような特長があります。

  • 電気さえあれば延々と働く

  • 同じことを延々と積み重ねることができる

  • 総当たり戦が得意

  • 蓄積した情報と機械学習で並みの人間を超える知識量を獲得可能

  • 作業をシステム化することで人間より効率よく無尽蔵に作業可能

これだけを見ると、人間が行っている作業のほとんどはコンピュータで処理できてしまうように感じるかもしれません。これに対して、落合氏は人間がコンピュータを使ったシステムの効率化の中に取り込まれないために持つべきものとしてモチベーションを挙げている。なぜなら、今のところ「やりたいからやる」というモチベーションをコンピュータは持っていないからです。そのため、モチベーションを持ってコンピュータをツールとして使う側になれるか、あるいはコンピュータの指示に潔く従ったままになるのか。そこに大きな違いが生まれると指摘しています。

また、Society 5.0の世界では社会で求められる人物像も変わってくる。落合氏は、クリエイティブ・クラスこそその人物像にふさわしいのではないかと述べている。クリエイティブ・クラスとは、経済学者・社会科学者であるリチャード・フロリダが提唱した概念で、創造的な専門性を持つ知的労働者のことである。例えば、科学者や工学者、教育者や芸術家、デザイナーやメディア関係者などがクリエイティブ・クラスに属する職業として挙げられる。これまでの世界では、テストのすべての科目でよい点が取れるような要領の良い人が優秀とされてきました。しかし、テストに出る問題のほとんどは回答がすでに決まっています。そして、これからの世界では回答が決まっている問題はAIが勝手にWebを検索して解決するようになっていくはずです。すなわち、解法が決まった問題を要領よくこなすだけの人間はAIに取って代わられる可能性が高いのです。クリエイティブ・クラスは、専門性を高める上で身についた暗黙知があります。暗黙知とは、「経験や勘、直感などに基づく知識」「簡単に言語化できない知識」「個々人が言葉にされていないものとして保持している知識」のこと で、経験的知識とも呼ばれます 。暗黙知は、自転車の乗り方や顔の見分け方など、言葉では説明しにくいが実践的に使える知識です。現在の生成系AIはWeb上の記事を使って訓練されていますが、暗黙知はそもそも記事になっていないため、AIがその知識を使った回答を提示することができません。すなわち、AIで代替することができないのです。

それでは、どうすればクリエイティブ・クラスなることができるのでしょうか。これについて落合氏は、

クリエイティブ・クラスになるための道筋には「ロールモデル(模範となる人物)」が存在しない

働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~

と述べています。なぜなら、暗黙知はその人の経験や価値観に基づいて獲得されるもので、唯一無二のものです。つまり、他人がいくら同じ経験をしようとも同じ暗黙知を得ることはできないのです。そのため、誰かを真似てクリエイティブ・クラスのコピーになる方法はありませんが、オリジナルになる方法はあります。それは、独自の研究課題を見つけることです。ここで重
要なのは”独自の”という点です。

ウィキペディアに答えが書いてある問いが浮かんだということは、その疑問の持ち方そのものにオリジナリティがない証拠。

働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~

検索で答えを知ったとしても、それを自分なりに解釈して”そこに書かれていない深いストーリーを語ることができるかどうか”が重要です。要するに、"Web上で見つからないものを探して追及しろ"ということです。


以上が『働き方5.0~これからの世界をつくる仲間たちへ~』を読んで、まとめておきたいと思った内容になります。最近は、生成系AIの台頭がすさまじく、IBMのような大企業でもその影響を受けて人員削減が計画されているみたいです。自分もAIを使いこなす側として生きていくために、普段から生成系AIに接しよう(隣人とコミュニケーションしよう)と改めて思いました。


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