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女性の生き方ってムズカシイですね   #キャリアと妊活について思うこと

「入職してすぐに妊娠って、何考えてるんだろうね。」

最初の職場で先輩たちが言っていた。

今でも強く記憶に残っている。

最初の職場で植え付けられた価値観

私は看護大学を卒業し、大学病院の看護師になった。最初に配属されたのは手術室だった。私が入職した年は手術室を拡大していたため、新卒・経験者共に例年よりも多くの人が入職した。

その中でとても仲良くなった同僚がいた。その同僚は、看護師経験があり、結婚して旦那さんの転勤についてくる形でこの病院に転職をしていた。

病棟の看護師経験は十分にあれど、手術室は未経験だった。歳は上だったけれど一緒に研修を受け、新人の私たちに優しく色々な事を教えてくれた。

看護師はだいたい3年経験を積めば”独り立ち”と言われている。新卒で入職して3年同じ部署で働いた後は、別の科に異動したり、地元の病院に転職したりするのが一般的なパターンだった。

看護師は資格と経験さえあればどこでも働ける。もちろん、結婚しても子供ができても、ずっとキャリアを続けれられる。そんなイメージを持っていた。

その同僚は入職後4か月で妊娠が分かり、職場でも公になった。いつも優しく接してもらっていた私は、彼女の妊娠を喜び、きっといいお母さんになるだろうなと思っていた。

ある夜勤の日、休憩室で一緒になった先輩方が妊娠した同僚について話しているのを聞いた。

「入職してすぐに妊娠って何考えているんだろうね。」
「手術室未経験で入ってせっかく研修したのに、すぐに産休入るとか、ありえなくない?」
「ちゃんと計画的にしないと職場に迷惑が掛かるんだから、将来気を付けないとダメだよ。」

そんな会話を聞いた私はとても衝撃を受けたが、まだ社会人に成りたてだったので素直に受け止めてしまった。

・妊娠は職場に迷惑がかかる。
・産休を取りたいなら、ある程度仕事に慣れて、迷惑をかけないように気を付けないといけない。

私の中に妊娠とキャリアに関して、こんな概念が形成された。

その同期は出産前まで休むことなく働き、産休に入った。
最後まで「ご迷惑かけて申し訳ありません」と謝っていたのを覚えている。
私は、とても喜ばしい事なのになんで謝らないといけないんだろう、と思っていた。

転職した先でも

入職して約6年半が経ち、私は病院を退職した。6年半の間に手術室、病棟に勤務し、リーダーや教育係などを経験した。

それまで病院という職場しか知らなったので、新しい世界を見てみたい、そう思って30歳目前に企業に転職した。新しい仕事は、同じ医療業界だったが、看護師ではなく会社員だった。入社後は未経験の同期と一緒に1からのスタートだった。

新しい職場はホワイト企業として有名で、福利厚生や産休取得、出産後の復職率がとても良かった。実際に社員も女性の数が多かった。

内定後の説明会で、上司になる予定の女性に言われたのは、

「未経験で入ったら最初に覚えないことが多いと思う。今後のキャリアを考えても、3年は気を付けてね」

当時結婚を見据えて同棲していた人がいた。そんな話を雑談がてらした後だったので、はっきり言われなくてもすぐに産休の事だとわかった。

新しい仕事を始められることが嬉しかったし、やるからには1人前になりたいと思っていたので、その女性の言葉を素直に受け止めた。

転職してから2年、最初は未経験だったので本当に苦労したけれど、必死に頑張った。その間に結婚をし、子供も欲しいと思った。しかし転職時に言われた言葉が引っ掛かっていたのと、夫婦共に仕事が忙しかったので、本格的に子供の事を考える余裕がなかった。

転職後2年半が経ち、忙しさのせいで仕事と家庭のバランスを取るのが難しいと考え異動をした。新しい部署は基本デスクワークで、残業も少なく休みも取りやすくはなったが、仕事のやりがいはなくなってしまった。

転職できない葛藤

夫と私も子供が欲しかったので、異動後に妊活をしていたが、なかなか思うようにはいかない。年齢の事もあるから今は妊活が優先と思っていた。

そんな中、会社の合併により大幅な組織変更が行われた。業務内容も変わり、今まで培っていた医療の知識は必要なくなり、ただ言われた単純作業をこなす日々。パワハラチックな上司に話を聞かないマネージャーのせいで同僚はどんどん辞めていった。

職場環境は悪く、転職をしたいと考えたが、最初の職場で先輩が言っていた言葉がいまだに私から離れない。

・産休を取りたいならある程度仕事に慣れて、迷惑をかけないように気を付けないといけない。

転職してもしすぐ妊娠したら職場に迷惑がかかる。妊活中は動かない方がいいのかな。でもこの先、本当に子供を授かれるかもわからない。

今の職場を続けていくのは正直しんどいし、自分のキャリアが見えない。もし幸運にも子供を授かれたら、それはそれで転職なんてできないかもしれない。なんとなく仕事も妊活も自身がなくなってきてしまった。

今正直に思うことは、、

□迷惑がかかるって考えすぎなくても良い

子供が欲しいか欲しくないかは人それぞれで良い。ただ欲しいのであれば、遠慮せずに欲しいと言って、行動していいと思う。

ひと昔前に比べて改善されていると思うが、今の日本では妊娠・出産を希望する女性にとって、キャリアを形成することは非常に難しいと感じる。

育休も時短勤務も多くは女性が取得するのが当たり前になっている。それぞれの価値観があるので、それが悪い訳ではないが、実際にキャリアをあきらめたり、一時的に頓挫してしまった女性は多いと感じる。

仕事をすることも、子供を産むことも、両方素晴らしいことだ。どっちかを選ばないといけないなんて、考えなくてもいい。確かに休まないといけない時間はあるし、結果としてどちらかを選ぶこともあるだろうけど、周りを気にせず欲しいものを欲しいと言って良いはずだ。

もう1つ気になるのは、妊娠したら周りに迷惑がかかるという考え方。
確かに休むことによって欠員ができて、周りの人の業務量が増えたり、育休代行の確保に困ることもあるだろう。私だって産休に入る同僚たちの仕事のフォローをたくさんしてきた。

でも、産休なんて休みに入る結構前から分かっているし、十分引き継ぎも人員確保も準備できるじゃん、ほかの理由で突然やめていく人なんていっぱいいるのに、なんで産休の人は迷惑かかるって思わないといけないの。
育休終わったら戻ってくるんだし、堂々と休めばいいじゃん。

って思う。

□会社は助けてくれない

キャリアか、妊娠・出産か。仕事をしながら妊娠を希望しているなら、きっと多くの女性が悩むと思う。いくら会社のために頑張っても、周りに迷惑をかけないようにと気を使っても、会社は助けてくれない。

「女性が働きやすい会社」が注目を集めるくらいだから、それだけ少ないんだろう。そんな中だからこそ、自分をしっかり持って進んでいかなければと感じる。全く周りに迷惑をかけない生き方なんてできない。自分にとって大切な人たちを大切にし、その人たちの力を借りながら、優先順位を考えて進んでいけたらいいな。

子供を望む女性が堂々とキャリアを考えられる、そして育休と時短勤務が男女ともに選択できるような世の中になったらいいな。

いや、していくしかないのか。。なかなか難しい。。

私はというと、転職サイトに登録してしてみたり、スキルをつけようとキャリアスクールに入会してみたり。。まだ妊活と転職の狭間で悶々としている。

女性の生き方って本当にムズカシイ。



















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