東欧なのにルーツはラテン?〜ルーマニアのトリセツ〜
ルーマニアに来て3ヶ月が経った
ルーマニアに入国したのが今年の2月22日なので、ここに来てからもう3ヶ月が経ちました。日数にして96日。旅行でルーマニア国外にいた日数がちょうど20日である事を加味しても、76日はルーマニアで生活した事になります。今日はそんな我が第2の故郷ルーマニアの基本情報をまとめます!
私が住んでいる街について
「ところで、ブカレストにお住まいなんですか?」これ、ルーマニア住みっていうと聞かれる質問第2位。1位はもちろん、(皆さんお察しの通り)「なんでルーマニア?!」です。私が住んでいるのはルーマニア第三の都市、ヤシという所です。誰かに言うと「ヤシ?ヤシの木みたいだね」というリアクションが多いヤシですが、スペリングはIașiと書きます。Sの下についてるのはなんだって?気づいた人、鋭いです👏🏻これはルーマニア語特有のアルファベットの一つで、これが付くとSの発音が、「さしすせそ」から「しゃししゅしぇしょ」になるんです。ちなみに、ヤシはルーマニア第三の都市で、モルドバとの国境から十数キロ離れた北東部に位置しています。
物価
まずは物価について。基本的に物価は日本と同じかそれより安いです。ヨーロッパ諸国の中ではかなり安い方に分類されます。通貨はルーマニアレイ(RON)でレートは1レイ=34.23円(2024年5月末現在)ユーロに換算すると、1ユーロ5レイ。生活必需品や食品はたいてい日本より安いです。特に乳製品や野菜が手頃で、牛乳や大きめのヨーグルトは5レイから、野菜は物によるが1キロ6レイから買えます。ルーマニア全土に展開してるスーパーのチェーンの中では、ドイツのディスカウントスーパーLidl(リドル)がダントツで安いです。(しゃんの独断と偏見)
実はめっちゃ美味しいルーマニア料理
ルーマニア料理を一言で表すと、「酸味強め」に尽きます。海に面しているとはいえ内陸部が国土のほとんどを占めるルーマニアは基本的に肉食。肉の消費量がとにかく多く、チーズもよく食べます。チーズの種類も豊富で、日本人の口にはあんまり合わなそうな酸味強めのやつが多い。代表的なルーマニア料理にはサルマーレ、ママリガ、(酸味強めの)スープ、ミチ(スパイス入り肉団子)など。スープをよく食べますが、もともと酸味が強いスープに、サワークリーム(と時々唐辛子)を入れて食べるのが主流です。また、デザートにはラム酒が入ることが多く、ラム酒ないし何かしらのエッセンス(正体不明)が入っていて、日本では出会えない不思議な味がします。またこちらには食べ歩き(それか間食?)文化があり、街中至る所にあるパン屋には絶えず人が並んでいる事があります。パンを食べながら歩いている人がびっくりするくらい多いです。有名なパンはCovrig(コブリッグ=プレッツェルみたいなパン、ひまわりの種とか胡麻がついてるシンプルなやつから、ヌテラやジャムが入ってるやつまで色々あります)とplacinte(パイ)です。個人的にはコブリッグかオススメです。フレーバーのおすすめは、ルーマニア人大好きなVisine(ヴィシーネ=サワーチェリー:とにかく酸っぱさ命のルーマニア飯🤣)か、Alune(アルーネ=ヘーゼルナッツ)です。特にAluneは、扱ってる店が限られますが見つけたらマストトライです!上品なヌテラ、という感じでめっちゃ美味しいです。
交通
交通手段はバスかトラムが主流。電車といえば(最高時速80うんキロ?の死ぬほど遅い)ルーマニア国鉄しかなく、これは長距離移動専用です。一部の都市(トランシルバニアのクルージュとか)では公共交通機関が無料だったりしますが、たいていどこも初乗り3レイ(約112円)ほど。切符を有効化してから2-3時間有効な場合が多いです。切符を「有効化する」というのは、乗車した際に機械に切符を通し、時刻を印字させること。これは、ヨーロッパの公共交通機関に多いです。ヨーロッパでは乗車時または後者時に運転手に運賃を払う(or 切符を見せる)というのは稀で、大抵このシステムを採用しています。多くの場合切符は数時間有効なため印字してから数時間後まで使えるという形になります。え、じゃあ無賃乗車できちゃうよね?と思った方、いますよね。結論から言うとできちゃいます。しかしリスクが高いので絶対にやめましょう。理由は次の章で解説します。
無賃乗車はダメ、絶対!
無賃乗車がなんでダメかというと、たまに(都市によってはかなりの頻度で)チケットの検察係が確認に来るからです。これは、乗車した瞬間にチケットを有効化しないと一発アウトで、例えばスマホのアプリでもチケットを購入できますが乗車してからアプリを開いて購入、はアウトです。(筆者は一度乗車した瞬間にアプリを開いて購入しようとしましたが、アプリで購入する場合は乗車時点でチケットが購入済みでないとダメだと言われ罰金を払支払うことになりました)罰金は首都ブカレストで80レイ(約2700円)、私の住むヤシで100レイ(約3400円)です。なんだ、たいした事ないじゃん、と思う人もいるかもしれませんが、物価の安いルーマニアではお手頃価格のレストランで3回(or ちょっと良いところで2回)外食できるそこそこのお金です。そもそもお金の問題ではないですが、皆さんルーマニアに来られる際は不本意に数千円をドブに捨てる事がないように気をつけてください。(筆者は一度は故意に、2回目は不本意に無賃乗車し計6000円を支払い済)個人的には「24pay」というアプリの利用がオススメです(当然日本語版はないですが、英語版とルーマニア語版があります。英語で頑張ってください👊🏻英語も厳しいって方は、スクショして翻訳できるようにgoogleレンズを入れときましょう!)どこの都市も大体数時間有効の一回券と24時間券、(都市によっては48時間、72時間券も)があります。アプリ自体はレイアウトがわかりやすいので、翻訳と睨めっこして正しいものを購入しましょう。不安な方はバス停にいる若い人(都市部なら英語が通じる可能性が高い)に助けを求めましょう。ルーマニアの若者は最低でも日常会話程度の英語ならできると言う人が多いですし、親切に教えてくれる事が多いです。ただ、助けを待っていては誰も助けてくれないので、不安な気持ちも分かりますが恐れずグイグイ行きましょう。また、面倒なのが嫌い、と言う人は首都のブカレスト限定ですが乗車時に毎回3レイ払うのもありです。ブカレストならクレカで乗車賃の支払いができるため、乗車した瞬間にカードリーダーにかざしてください。画面が緑色に切り替わったら購入完了です。(赤が出たらうまくいっていないので緑色に切り替わるまでやりましょう)レシートが出ませんが心配は要りません。検察係が乗車してきたら、購入時に利用したクレカを提示してください。彼らが専用の機械でカードをスキャンし、そちらに購入履歴が表示されるという仕組みです。公共交通機関を(不本意にも)不正利用してしまうと、外国人であれ例外なく無慈悲に罰金が課されるのがルーマニア社会です。嫌な思いをして帰国する事にならないよう、現地の人に助けを求めつつくれぐれも正しく利用してください!
言語
ルーマニア語ってあるの?って思った方、いますよね。もちろん、あります!ルーマニアははるか昔ローマ帝国に征服された歴史があるため、ルーマニア語は実はラテン語から発生したロマンス諸語の一つです(ルーマニア語は忘れられたロマンス語というのが自論)。フランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語と同じロマンス語ですが、ルーマニア語は特にイタリア語に近く、全く同じ語彙や似ている言葉がたくさんあります。(ieri : 昨日、noi : 私たち等)Cの発音がCHになるところもイタリア語と同じです。筆者はある程度スペイン語ができるため、ルーマニア語は話せませんが聞いていると結構分かったりします。しかしルーマニア語がその他のロマンス語と決定的に違うのは、スラヴ語やギリシャ語、トルコ語など近隣諸国の言語の影響を受けているという事です。特にスラヴみが強いので、ロシア語の響きを知ってる方はロシア語っぽいって思うと思います。実際ロシア語由来の語彙もそれなりにあるみたいです。(ルーマニア語の語彙は80%がラテン語由来で、残り20%はスラヴ語由来orその他)さて、ルーマニアで英語は通じるのか?というトピックですが、都市部ならかなり通じます(40代くらいまでの若い世代限定)。中年世代やお年寄り世代の方にはほぼ通じません。基本的には英語や身振り手振りでなんとかなりますが、挨拶やありがとうくらいの基本的なルーマニア語は覚えておいて損はないです。あと1から10までの数字も覚えておくと役に立ちます。
治安
ここまで読んでくれた方、Mulțumesc(ムルツメスク=ルーマニア語のありがとう。実はラテン語由来)!あっという間に最後の賞になりました。本章は治安についてのお話です。基本的にルーマニアの治安は良好ですが、最低限の注意は常に怠らないようにしましょう。私の住むヤシは平和でかなり安全だと思いますが、ブカレストに行く方は要注意です。ブカレストにはホームレスや物乞いの人が一定数います。特にブカレスト北駅周辺は注意です。筆者はブカレスト北駅で切符を買おうと列に並んでいた際数回切符代をせがむ物乞いの人に遭遇した事があります。また、チケット代が買えないと言いながら手当たり次第そこらへんの人にお金をせがむウクライナの避難民の人もいました。電車の待合室でジプシーのおばさんに食べ物をせがまれたこともあります。また、実は筆者は一度ブカレスト北駅のKFCにリュックを忘れた事があります。KFCを出て約1時間後にバス車内で気づき、マックブックも入っていたため絶望しましたが、KFCに戻ってセキュリティの人に助けを求めたらちゃんと全部入った状態で帰ってきました。この時は、私がレシートに印字される暗証番号を入力しないと入れないトイレの個室内にリュックを忘れた事、そして見つけてくれた人が良い人だったという2つの幸運が重なり事なきを得ましたが、そこらへんのベンチにでも忘れていたら、間違いなく戻って来ていないと思います。ルーマニア国内における凶悪犯罪は比較的少ないそうで、スリ等もあまり聞きませんが、日本ではないのでくれぐれも常に気を引き締めて行動してください。
まとめ
さあ、今回はここまでです。ルーマニア(というかそもそも東欧)は日本人の海外旅行先としてはかなりマイナーだと思いますが、ヨーロッパの旅行先としてメジャーな西側諸国では体験できないローカルで面白い経験がたくさんできますし、何よりも物価が安いので円安時代でもヨーロッパでプチ贅沢したい!という方にはピッタリの旅行先です。特にルーマニア中央部のトランシルバニア地方は中世の街並みや美しいお城がたくさん残っていて、本当に良いところです。レストランのクオリティも高いです。ルーマニアに来てからロンドン、パリ、バルセロナ、ベルリン、コペンハーゲンを訪れた私ですが、これまで一番楽しかった旅行はといえば、貧乏学生の私でもお手頃価格で美味しい食事にありつく事ができ、ルーマニアのみならずハンガリーやドイツの影響を受けた美しい街並みを楽しんだトランシルバニア地方を巡った旅です。東欧に興味がある日本人は、旧ソ連や独裁者の歴史に興味があったり、旅行先としてベタな西欧や北欧以外のマイナー路線を行きたかったり、日本人が少ないところに行きたいちょっと変わった(ひねくれた)人か、「オモロイ」体験をしたい人が多いんじゃないでしょうか。大丈夫、この私しゃんも自他共に認める変人ですし、変人というアイデンティティは私の誇りです😌ここまで読んでくれたあなたこそ、ルーマニア旅行を楽しめる器のある人です!安い時期なら中国東方空港の成田−イスタンブール便とWizz Air (格安LCC)のイスタンブール−ブカレスト便、片道6万円前後でルーマニアに来れちゃいますし(実際筆者も2月末に渡航した際このルートで6万2千円ほど支払いました)、ブカレストのホステルなら一泊2000前後です。1週間滞在するとしても、航空券以外の費用は公共交通機関・施設入場料・宿泊費用・お土産も含め5〜6万円あれば十分贅沢できます!ルーマニアがあなたを待ってます😉
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