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140字小説 「祖父のカナリア」

山登りに来ていた私は、岩山の窪みで休憩したとき、一瞬で意識が遠のくのを感じた。走馬灯のように亡き祖父の言葉が脳裏を過ぎる。炭鉱のカナリアを忘れるな。すると気を失う寸前、天恵のような風が私の間を吹き荒び、事なきを得た。私は安堵とともに、山登りで使う言葉じゃないのでは? と苦笑した。


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