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学校に行きたくない!登校しぶりがある子〜対応&結果編〜

前回の続き、Eさん事例の対応&結果編です。
※実際の事例を元にフィクションしたものを掲載します。

【対応】

①家庭の様子を知る。

家庭内での愛着形成不足が仮説として上がりましたが、仮説は仮説。
実際の状況を知ることが必要です。

今回は親との面談を通して、
親からEさんへの愛は十分にあるものの、Eさんの言葉を聞く前に価値づけをしてしまうことが多くあると分かりました。

「大丈夫だよ」「そんなこと気にしなくてもいいよ」など、親としては子どもを思っての発言だったとしても、「気にしなくていいことばかり気になっている私」「私の悩みは大したことないんだ」と「大切な親と違う考えをもつ自分はダメな人間だ」と思ってしまうこともあるのです。

家庭での様子は聞きづらいこともあるので、時にはスクールカウンセラーに話を聞いてもらうことを提案し、協力して家庭状況を把握するのもいいかもしれません。

②親へのアプローチを行う。

家庭状況が分かったところで、親へのアプローチを開始します。

ここで気をつけなければならないのは、親がどの程度の提案を受け入れられる状態かの見極めです。

たとえ関わり方の改善が必要だとしても、我が子を思って一生懸命な親に
「あなたの関わり方は間違っているので…」と言うことなんてできませんよね。

そこで、今の親の不安や頑張りを認めつつ、できそうなことを提案します。

今回は、
「大丈夫だよ」という言葉の前に、「どうして不安に思ったの?」「なんて言われると思った?」など、子どもの気持ちを聞くことを提案しました。

気持ちを聞くようにすることで、
・Eさんが自分の気持ちを伝える練習になること
・親子の関わりの機会を増やすこと
が狙いです。

ただし、親子の関わりの機会を増やすという狙いは伝えていません。
暗に、今の関わりが少ないことを示唆してしまうと考えたからです。


③学校でのアプローチ方法を決める。

家庭だけでは不十分なので、学校でのアプローチ方法を決めます。

ここで大切なのは、いかに周りを巻き込むかです。
関わる大人みんなで共通理解し、一貫した対応をすることが必要だからです。

今回Eさんへのアプローチとして、自分の気持ちを伝えられるようになるまでは、とにかく受け入れることが必要だと考えました。

まずは1人、Eさんにとってのメンター(信頼のできる指導者、相談相手)を決めます。

今回は担任がメンターとなり、最初は多少わがままであっても、Eさんの言いたいことをひたすら受け入れました。

行き過ぎたわがままは受け入れませんが、「自分のしたいことや、やりたくないことを言えば聞き入れてもらえる」と知ってもらうことを優先しました。

メンターにある程度言いたいことを言える状態になったところで、関わる大人の人数を増やしていきました。

関わる世界を少しずつ広げていくイメージです。


【結果と成長】

結果的に最後までEさんは、教室登校ができるようにはなりませんでした。
また、目に見えて何かが変わったということはありませんでした。

(最終日だけは教室に来てくれたことが、少し嬉しくも切ない出来事でした。)

しかし、アセスメントにより仮説が明確なものとなり、親の関わり方を提案したり、学校での協力体制が決まったりしたことで、周りの大人みんなでEさんを支えていこうとするようになったのは成果ではないでしょうか。

Eさんの事例は以上です。
登校しぶりや不登校は、一朝一夕で解決するものではないと痛感した事例でした。


今回は、
・データから仮説を立てる
・家庭や周囲の大人と協力体制をつくる
ことで、Eさんのサポートをしていく環境づくりをしました。

学級をもちながら、登校しぶりの児童をサポートする。
全てを1人でやろうとすると、余裕が無くなってしまうことでしょう。

いかに周りの人達を巻き込んでサポートできるかが、大人にとっても子どもにとっても大切なことなのかもしれません。

【終わりに】

最後になりましたが、
日本にも、学校に行くことが難しい子どもたちが他に学ぶことのできるフリースクール等があれば、登校しぶりや不登校はそれほど問題にならないのかもしれませんね。

今回はいつも以上にバチっと解決というわけにはいきませんでしたが、少しでも登校しぶりや不登校に悩む先生方の力になれたら嬉しく思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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