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認知特性とアートについて。「認知特性テスト」からわかること

1. わたしの得意と不得意の話

空間や立体というものが、苦手らしい。

車の運転ができない。
「車体感覚」がわからないから、いま自分が車を走らせている場所がちょうどいいのか、端に寄りすぎなのか、まったく理解できない。右折や左折でハンドルを切るタイミングもわからず、自動車教習はとても苦労した。

学生のときにしていた飲食店でのアルバイトは、できが悪くていつも注意されていた。
「もっと店の全体を見て!」「音がしたら気づいて!」と言われてもどうしたら直せるのかわからなくて、最後までうまくならなかった。こういう才能が必要な仕事には就かないようにしよう、と心に決めたのを今でも覚えている。

ダンスの振付や、ヨガの動きをすぐに真似することができない。
特に、早くて難しい動作は覚えられないし、回転したり寝転んだりして上下左右がぐちゃぐちゃになるともうわからない。

皆ができているのに自分だけできないとき、「自分は人よりダメなんだ」「皆できていることが自分はできない」と落ち込むこともあって、それはそれは自己肯定感を失った。

それが、単なる得意分野の違いに過ぎなかったことを後から知ることになる。
(ポケモンの「こうげき」はてんでダメだけど、「とくこう」はメチャメチャ優れていた、みたいなね。)

例えば、企画書や報告書を作ったとき。
「とてもよくまとまっている」と褒められて、謙遜抜きに「いや、それほどでも…」と思ったけど、「それほどでも」なくないらしい、ということをだんだん理解した。
「もう少し図やグラフを入れるともっとわかりやすいよ」とアドバイスをいただいてからは、文字ばかりにならないよう意識しているけれど、自分が文字情報に強いこと、文字情報を作ることや渡されることが苦ではないことがわかった。

それから、音楽ライブや舞台公演のレポートを人に見せたとき。
「すごいよ、あの日の光景が目に浮かんでくる…!」と感激しながら、同じステージを見た人に感想を言われたときの嬉しさ。

運転がド下手でも、飲食バイトで失敗ばかりしていても、自分には自分の褒められる場所があるんだ、なんて思ったりもした。
それからあるとき、認知特性テストを受けて自分の強みと弱みを知ることになる。

2. 認知特性テストからわかること

本田35式認知テストでは、認知の優れている分野を視覚・言語・聴覚の3つに分類し、さらに写真(カメラアイ)タイプ・三次元映像タイプ・言語映像タイプ・言語抽象タイプ・聴覚言語タイプ・聴覚&音タイプの6タイプに分けている。いくつかの質問に答えることで、自分の認知の度合いを数字にすることができる。
わたしの診断結果は言語抽象がやや突出し、聴覚&音と視覚がやや低めに出た。

これをバージョンアップした本田40式認知テストでは下のような結果になっている。

こちらも6タイプの数値がだいたい均等になっているものの、一番ポイントが高かったのは「言語抽象」、次に「言語映像」だった。

3. アートの創作にはどう影響する?

実際に、認知特性はクリエイターの専門分野と合致していることが多いらしい。

画家や写真家、イラストレーターやデザイナーは視覚優位。
ライターや映像作家、脚本家や講演家は言語優位。
ミュージシャンやシンガーは聴覚優位。

これに当てはまらない人もいると思うけれど、大半は自分の得意分野をそのまま活かしている。
これからクリエイティブの道に進みたいと思っている人は、自分の認知特性を知ることでこの先の足がかりになるかもしれない。

4. アートの鑑賞にはどう影響する?

アートを鑑賞するときにも、認知が優れている分野によって感じ方や受け取り方に違いが出てくるだろう。特に、インスタレーションなどの空間芸術や、芝居などの舞台芸術や映像作品(最近は4Dなんてのも注目されるようになった。映画とかね)はそれがはっきりと出てくるように思う。

もし同じアート作品を鑑賞して、自分とまったく違うポイントに注目している人がいたら、その人の認知特性は自分とは異なっているのかもしれない、と思ってみよう。

5. まとめ

自分がくさタイプなのか、いわタイプなのか、みず・ひこうタイプなのか。個体値はどれが高くてどれが低いのか。

何が得意で(=強い認知特性)何が苦手か(=弱い認知特性)。これがわかることで、今までできなかったことの理由が少しわかるし、才能に気づける可能性だってあるかもしれない。

インターネットやSNSでも次々と新しいものが生まれる昨今、表現の場や手段はとても幅広くなった。
立つフィールドと戦い方をクリエイターが自分なりに見つけることは、持っている力を最大限に発揮する一歩になり得るだろう。

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