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現代陶芸を発信するミュージアム。菊池寛実記念 智美術館

陶芸、と聞いて思い浮かぶイメージは?

日々の暮らしで使う食器や、職人がろくろを回している様子を想像するでしょうか。
では、“陶芸”が普遍的なイメージを超越して現代アートとして可能性を広げた先には、どのような世界が広がっているのでしょう。

現代陶芸をはじめ多様な工芸の魅力を発信し、素敵な作品やアーティストを紹介するミュージアムが菊池寛実記念 智美術館(きくちかんじつきねん ともびじゅつかん)です。

地下鉄の六本木一丁目駅のほか、神谷町駅・虎ノ門ヒルズ駅・溜池山王駅など複数路線が使える好立地。近くには大倉集古館泉屋博古館東京といった館もあり、少し足を伸ばせば森美術館新国立美術館のある六本木エリアにもアクセスできます。
六本木、というとゴージャスなイメージがありますが、閑静な高台にある一丁目界隈は落ち着いた環境です。

閑静な街にあるコンパクトな美術館「菊池寛実記念 智美術館」

設立したのは現代陶芸のコレクターである菊池智(きくちとも)で、現代陶芸の紹介を目的として自身のコレクションを中心に展示しています。
美術館があるのは智の父にあたる実業家・菊池寛実が晩年の活動拠点とした場所で、館の名前も彼にちなんでいます。

内装デザインには、非日常の雰囲気にまで昇華した環境でアートを鑑賞できるようにしたい、という菊池智の思いが込められています。壁面や調度はこだわりを持って拵えられ、複数人の作家が制作に携わりました。

第9回 菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉

展示室

受付の横にあるガラスの手すりが付いた螺旋階段を一段ずつ降りれば、広がる展示空間への期待も高まります。

ダークトーンの展示空間は落ち着きがあり、心の安らぐ場所。
シンプルで主張を抑えたマテリアルが作品の個性を引き立てます。

「菊池ビエンナーレ」は智美術館が2004年から隔年で開催している公募展で、現代陶芸の振興を目的としたものです。
器の形態に捉われず、形状やサイズには応募条件を設けていません。年齢や居住地といった応募資格にも制限はなく、誰でも自由に参加できます。

老若男女の作を問わず、日本を含むアジアの各地から集まった作品は200点以上にものぼるのだとか。
選考を通過し、受賞・入選した作品が一堂に会するのがこの展覧会です。

梅本孝征《色絵流加彩昇落器》
カラフルな彩りが目を引く、優秀賞の作品。
猪倉髙志《線を解き放つ》
フライヤーにも使われた、大賞の作品。

ファンタジックな作品もあれば、日常生活に馴染みやすそうなものも。遊び心に溢れていたり、どこか恐ろしく感じられたりと作品によって個性もバラエティ豊かです。

さまざまな角度から見れば新たな気づきも得られます。色や形から自由にイメージを膨らませたり、「お花?食べ物?何を盛ってみようかな?」と考えてみても楽しいかもしれません。

モダンな解釈や試みで新たな表現が生まれる、陶の可能性に気付かされる展覧会でした。

---After---

ショップ

受付の隣には小さなミュージアムショップがあります。
グッズのラインナップには、展覧会で紹介されたアーティストによる陶作品も。日常の食卓やティータイムがワンランクアップするようなアイテムを見つけられるかもしれません。

カフェ

併設しているミュージアムカフェ「茶楓(サフウ)salon Safu」では、お茶や軽食を楽しめます。
窓から日本庭園を一望すれば、豊かな自然に心癒やされながら美術鑑賞の余韻に浸れるでしょう。こだわりのドリンクやスイーツ、お食事を堪能できます。

「美元豚の自家製スパイスカレーソースと焼きたてパン3種」
ゴロッとした柔らかいお肉とスパイシーなカレーの風味が印象的です。

智美術館には、国の登録有形文化財「西洋館」も併設されています。
大正時代に建てられ、現在も迎賓館として使用されている施設です。通常は非公開ですが一般公開をするタイミングもあるため、美術館の公式情報をチェックしてみましょう。

おわりに

陶芸は歴史の長い芸術の一つですが、伝統をベースにさらなる美しさやおもしろさを見出せるアートでもあります。

陶の現代アートを発信する智美術館でなら、お気に入りの作家や作品を見つけられるかもしれませんね。

※設備点検および改修工事のため、智美術館は2022年6月頃まで長期休館に入ることが決まりました。最新情報は公式ホームページにてご確認くださいませ。

『第9回 菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉』フライヤーにて告知

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菊池寛実記念 智美術館
〒105-0001 東京都港区虎ノ門4丁目1−35 西久保ビル
TEL:03-5733-5131
公式ホームページ

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