マガジンのカバー画像

徒然なる相想草【140字小説】

19
ルリニコクみみみの140字小説をまとめました!オチがある系の話ではないけれど、読んだらなんだか「ふぁああ」となるみたいです。
運営しているクリエイター

#詩

【140字小説】薔薇の言葉

薔薇のような言葉を受け取った。 それはとても美しくて、 とても嬉しかった。 小さな花瓶に…

【140字小説】嘲笑

声が聞こえる。 きっと私には関係がない。 ただの言語。音韻。 私を笑っている。 不快。でも…

【140字小説】シャッター

屈折した光が 街の凹凸に跳ね返り、 眼球をしつこく刺激する。 たまらず閉じると つまらぬ雑…

【140字小説】理想郷Tube

また四角を見つめてる。 星の壮大な皺。 那由多の命が泳ぐ水たまり。 比べものにならない ち…

【140字小説】相違

なぜか腕が痒い。 掻きむしると 爪の隙間に鋭い痛みが走った。 硬く銀色に輝いたそれは 指先…

【140字小説】甦生

消えていた。 内臓を掻き分け 平穏を焼き尽くす炎。 それこそ生だった。 つまり、死んでいた…

【140字小説】おさかな地獄

生臭い。 表情もないまま 群れてただ時を生く。 銀色に光るは 見栄を張りし安物のスパンコール。 腹の減る香りがすれば 一斉に集まって消化する。 糞を身体につけたまま ビルの隅から隅を移動する。 地の果てまでも生臭い。 魚。魚。魚。 そこのお前と、お前と、 私に似てる。 /ルリニコクみみみ

【140字小説】異種

コインが回る。 金属音が響く中、Aは目を瞑る。 彼は聴いていた。 その音とリズムで詩を描い…

【140字小説】起床

パッパラッパラ、近い音。 けたたましく。 パッパラッパラ、着替える。 泥水のように。 パッ…

【140字小説】人付き合い

細めの木々。 冷たそうな岩肌。 そんな山の上に建つ、 幾つかの塔が印象的な白い城。 顔を黒…

【140字小説】うさぎ

今夜も、白い顔を描いて 肌を寄せあい笑ってる。 ドンキの赤いカラコンは 可愛く脆いアタシの…

【140字小説】いぞん

時計が遠くで叫ぶ。 2tはある重厚な瞼を 脳のカーテンをしめて 小指でこじ開ける。 ハチミツ…

【140字小説】少年

少年は座って川を見る。 美しい陽が映るわけでもなく 活きよい魚が跳ねるわけでもない。 ただ…

【140字小説】路上の歌

気がつくと 周りを囲む黒い人影。 みんな、目がビー玉。 鮮やかな、血の色。 蛙のように動けない私。 ビー玉が一斉にこぼれ落ちる。 一瞬の静寂のあと、 乾いた音が集まる。 ガシャン。 アスファルトに飛び散るガラス。 キラキラ。 綺麗ね、と思いながら 私は再び歌い出した。 /ルリニコクみみみ