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人生の不思議に開かれていくこと - 対話するリーダーシップ#24

あるグローバル企業のアジア太平洋地域のリーダーシッププログラムを担当することにあたって学んでいることをお伝えしてみたいと思います。学んでいること、そこに関する問いをここで共有することでビジネスパーソンの方々のご参考になったらと思っています。

今回のテーマは、人生の不思議に開かれていくことです。

テーマ自体が、何かビジネスの文脈とは離れているように違和感を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。確かに、私自身も企業の中で、今年の目標を達成するにはどうするのかと考えていた時には、その進め方も目標設定で決めたプロセス、その企業の中の組織の枠組みなど、さらには自分がこうすべきだと思ったやり方で進めていて、人生の不思議に開かれるというようなこととは程遠いところにいたように思います。

ただ、ビジネスでは、新しい発想、イノベーションが常に求められています。そんな時に、既存の枠組みや、プロセス、自分なりの考え方といったところに囚われていては、全くそういうことには繋がらないと思います。人生の不思議さという言葉は少し大袈裟かもしれませんけれども、発想を広げられるような余地、不思議なことも受け止められるようなスペースを持つことは、ビジネスパーソンにとってとても大切なことだと思います。

先週お話しした「聴くということ」で、仏教指導者のスティーブン・バチェラーさんは、世界のポリフォニーに耳を傾けると言われましたけれども、起こっていることを受け止めるという、もっと一般的なことにも発展させられると思います。しっかりと相手に意識を向けて聴くことで、適切な言葉が出てくるように、しっかりと状況に意識を向けることで、対応もできていくのだと思います。

イギリスでNHSという国の医療保健制度を担う組織に長年いらしたソーシャルワーカーの方で、現在は医療機関の組織開発コンサルタントをされている方にお話を伺う機会がありました。最近では、職場の難しい状況に対処するために、会議室の議論だけではうまくいかず、自然の中に身を置くことで、対話を促すというWild Therapyという手法も取り入れられているそうです。科学的にも立証されている心理学的な手法だそうですが、自然の中では、行き詰まりが開かれていくような話し合いになって、問題への対応ができるようになっていくのだそうです。

Wild Therapy - 職場の難しい状況に対処するために

また、最近、ご自身で倫理的なファッションのビジネスを始められた方にお話を伺う機会がありました。こちらの方は、長年オートクチュールの世界でデザイナーとして活躍されたものの、ファッション業界の人の処遇、調達のありかたなどに疑問を感じ、独立されました。BCOPという、倫理的なビジネスの認証機関でも数年間の審査を経て認証を取られ、デザインも一つのデザインに数年間かけて、環境負荷の少ない、それでも着る人に自信を与える洋服を作ることができるようになったのだそうです。独立にあたっては、ご自身の考え方は会社には理解されなかったそうですが、一つ一つの点が線になり、線が重なって形になり、という過程を経て、今や世界で活躍する様々な方に着られている服を作られているのだそうです。人生の不思議さに開かれていくと、繋がっていくものと教えてくださいました。

BCOP - 倫理的なビジネスの認証機関
倫理的な調達、人の処遇、ダイバーシティ(性別、人種、世代)など

今回の問い
最近、発想が広がるような時間を持ったでしょうか
新たな発想が広がるような習慣はないでしょうか

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