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DIYで家の外壁を塗ったら果てしない作業だった

家の建築がスタートして、はじめてのDIYがやってきた。
わが家の外壁はすべて杉板になる。都会ではあまり見慣れないけど、田舎では杉板を使った家をよく見かける。海の塩害に強いので海沿いで採用されることが多く、国内の資源が豊富なことから他の資材に比べてコストも抑えられる。

杉はそのままだと雨や汚れですぐに劣化してしまうので、”ウッドロングエコ”という保護塗料を塗ることにした。普通は塗装屋さんにお願いするのだけど、誰でもできる単純作業なのでDIYで塗る人が多いらしい。建築士さんには「大人ふたりで2、3日で終わりますよ」と言われていたので、じゃぁ大丈夫かな〜とふたりとも軽く考えていた。

【DIY準備】ウッドロングエコを用意する

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まずはウッドロングエコを公式サイトから購入した。これが意外と高く、100gで18,200円(税抜)もする。わが家の場合は1階と2階すべての外壁に使うので全部で5つ購入。

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まずはバケツを用意してウッドロングエコの粉を入れる。

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そこに水で希釈する。ウッドロングエコ100gに対して、水は19リットル。
このバケツが10リットルなので、最初は目分量で調整しながら希釈した。できれば空のペットボトルなど、なにか測れるものがあると正確だ。

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公式動画を見ると杓子で丁寧にかき混ぜていたけど、横着にバケツを振り回しながら水を足していった。

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水は茶色の泥水みたいになる。粉に含まれる細かい粒子などが浮いてくるが、それも気にせずに使う。

【DIY準備】ドブ漬けする桶をつくる

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ウッドロングエコ塗装の方法はふたつ。
【1】ハケを使って、1枚ずつウッドロングエコを塗っていく方法。
【2】杉板が入る桶を用意し、ブルーシートを敷いてウッドロングエコを流し込み1枚ずつドブ漬けする方法。

私たちは建築士さんの勧めもあって、ドブ漬けの方法を取ることにした。当日大工さんに30分程度で桶を作ってもらった。急に呼び出されたにも関わらず、ちゃっちゃと作ってしまう大工さんに脱帽。

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長さ3.6メートルの杉板を入れるのでかなり大きな桶になった。そこにホームセンターで購入したブルーシートを敷く。できれば折りたたんで二重にすると、万が一木材の角で穴が空いても安心。小さな穴でも長時間の作業で放置するとかなり漏れてしまうので、大事なウッドロングエコを無駄なく使うためにも注意が必要。

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立派な桶が完成した。これで作業がスムーズにできそうだ。デメリットとしては、ハケで塗るよりも塗料の吸収が早いので、手早く作業する必要があり、ウッドロングエコの量も余裕を持っておいた方が良い。
また、ウッドロングエコは垂れると茶色に変色するので、室内で行う場合は床もブルーシートで保護して行うことがポイント。

【DIY開始】ウッドロングエコに漬ける

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桶に希釈したウッドロングエコを流し入れる。翌日も作業をする場合は、蒸発を防ぐためにブルーシートをかぶせておくか、使い切れる量だけにしておくと良い。

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桶に杉板を1枚ずつ入れ、ハケではなく雑巾で上から押し塗りしていく。漬けるだけで終わらせる人もいるようだけど、木材は油分があるため水を弾きやすく、そう簡単には塗料が付着しない。とくに小口や木目の凹凸は気泡ができ、うまく染み込まずムラができやすいので、雑巾などの布巾で繰り返し押し塗りするのが大事。

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両面を塗り終わった杉板は、乾燥させるため日陰に立てかけていく。これが意外と重労働。あらかじめ杉板を乾かす充分なスペースを確保しておく必要がある。検索すると屋外で天日干しにしている人もいたけど、建築士さんと大工さんにはウッドロングエコがきちんと浸透しないのでやめたほうが良いと強く言われた。

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1日目は建築士さんが手伝ってくれ、3人で約130枚を塗り終えた。工務店の人から全部で340枚と聞いていたので、この時点であと2日はかかるなと悟る……。写真左が塗る前の杉板で、右側が塗り終えたグレーの杉板。赤みのある杉板の方が耐久性があるらしい。

【DIY作業】果てしないウッドロングエコ塗装

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2日目になって前日に塗った杉板を確認すると、写真のように小さく細かいムラができていた。これはハケでやっても絶対にぶつかる難題だと思う。
表面は比較的塗りやすかったのだが、裏面は微妙な凹凸があり、ウッドロングエコが浸透しにくい。建築士さんに聞くとやはり木材は油分があるため、水分を弾いてしまっているらしい。裏面なので、外壁の見栄えとしては気にならないけど、雨が降ったら痛みやすいので、できる限り塗り直したい。

対策としては、使い古しの歯ブラシでムラ部分に直接叩き塗りしていくのが良さそう。2日目はふたりになったので、約60枚で終了。3日で終わると思っていたのに、塗って立てかける作業で思ったより時間がかかる。1時間で15枚〜20枚ペース。

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3日目。だいぶコツを掴み、約80枚で終了。連日、作業の合間に棟梁や大工さんが様子を見に来てくれ、差し入れのコーヒーやかき氷、カリカリ梅などをもらってしまった。本来は私たちが差し入れする立場なのに、先に差し入れてもらうとは思いもよらなかった。

朝9時には倉庫へ行き、夕方16時まで塗り続ける。お昼ご飯はコンビニ弁当やすき家の牛丼で済ませていたら、体重がみるみる増えていくのが分かった。早く終わらせなくては、健康にも良くないと焦る。

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4日目。今日こそ絶対に終わらせる。そんな強い意思を持ちながら、念のため工務店の方に残数を確認してもらうと驚きの言葉が。

「全部で385枚ですね」

聞いていない。今まで340枚だと思ってやっていたのに…!

突然の通告にふたりとも唖然。担当の方に悪気がないのは分かっているんだけど、杉板が多めに用意されているとは言え、40枚増えるということは、あと2時間作業時間が増える。もう最後には無になって、淡々とこなしていった。

【DIY終了】杉板385枚を4日で塗り終える

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そして遂に、4日間で杉板385枚を塗り終えた……!
単純作業だったけど、とにかく量が多いのでだんだん飽きてくる。終日ラジオをかけながら気を紛らわした。
外壁塗装は2人よりも3人、3人よりも4人でやるのが圧倒的に早い。ドブ漬けする人と、立てかける人を分担して、手分けできると良い。今回は一軒家分と相当な枚数だったが、200枚程度ならふたりでも1日あれば終わらせられる量だと思う。

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そして乾かすスペースの確保。今回工務店の倉庫をお借りしたので、日陰で作業がやりやすかった。初日は夏日だったこともあり、暑さが苦手な夫はつらそうだったけど、私は寒いのが大嫌いなので、冬じゃなくて本当によかった…。暖房のない倉庫で作業とか、想像しただけで無理ゲーすぎる。

10代の頃に経験した年賀状の仕分けバイトのような、とにかく淡々とこなす作業がこんなにも長く感じるとは。大人になると忍耐力が衰えているのかもしれない。なにしろ、バイトと違って報酬はない。
最終日はお疲れ〜とふたりで言い合うだけ。この苦労を誰かに労ってほしいぐらいだったが、これは紛れもないわが家に必要な杉板だ。

家の外壁に杉板が張られた折りには、この苦労を思い出すことだろう。「DIY」なんて、軽々しく言ってはいけないなと痛感した。

DIYを舐めてはいけない。
けれど私たちには、内装のDIY塗装が待っているのであった…。

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