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こんな時こそ笑顔が大切…と思った話

三度目の緊急事態宣言が発令されました。飲食店だけでなく映画館やデパート、駅ビルなども休業になっているところが多く、今年のゴールデンウイークは昨年以上に我慢を強いられる期間となりました。感染の危険の中で頑張っておられる医療従事者の皆さまや、お仕事がなくなり困っていらっしゃる方々のことを思うと、少しくらいの不自由を嘆いてはいけませんね。引き続き感染には十分気を付けて生活していきたいと思います。


先週のこと。お世話になっている方のお誕生日だったので、その方の好物のうなぎの蒲焼を買いに某デパートの地下食料品売場に行った時の出来事です。鰻専門店で蒲焼と肝焼きを購入し包んでもらっている時に、お着物をお召しになった六十代位の綺麗なご婦人が頼んであったものを取りに見えました。女性店員さんは私の対応をしていたので、若い男性店員さんが、女性店員さんから内容を聞きながらレジ打ちをはじめました。何回か失敗し打ち直していたら、お着物の婦人がいきなりキレて

「レジくらいちゃんとやっておきなさいよー!」と叫んだのです。

「もうこれ要らないって、私が帰ったら困るのはあなた達の方でしょー!」と、それはそれはすごい剣幕でした。自分は後でいいから先になさってください、と女性店員さんを促しレジは交代しましたが着物婦人の怒りは収まりません。

時間がかかると言うから、わざわざ珈琲を飲みに行ってきたのに、レジで待たせるとは何事ですか!

珈琲代を払ってくれと言っているのではない!待たせたことが許せない!

というやり取りが数分間続き、女性店員さんも若い男性店員さんもレジの外に出て90度以上頭を下げ続け、ようやく着物婦人は立ち去りました。最初からそのやり取りを見ていましたが、お店の人から珈琲代を支払うなんてワードは出ていません。着物婦人は、珈琲代まで使って時間を潰してきたのに待たせたことが許せないと言っているのですが、あまりにもしつこく言うので、珈琲代を支払え!と言っているようにも聞こえました。

私は至近距離でその様子をずっと見ていましたが、着物婦人と目が合うことは一度もありませんでした。着物婦人には周囲のことは一切見えておらず、目の前の事に対する怒りだけしか見ていない人なのだと思いました。


思えば最初から女性店員さんは元気がなく、注文の段階からひと悶着あったのではないかと察せられます。

「大変お待たせして、お見苦しいところをお見せして申し訳ありません」

と深々と頭を下げて謝る女性店員さんに

「いえいえ、大丈夫ですよ。いろんな方がいて、大変ですね」

と声を掛けると、ホッとしたのか初めて笑顔を見せてくれました。

こんなステキな笑顔を、さっきの着物婦人が見ていたら、あそこまで激怒することはなかったかもしれない……と思いながら帰路に着きました。

言葉はなくても笑顔だけで通じることもありますし、その笑顔に救われた気持ちになることもありますよね。



造語だと思いますが、以前、人から聞いて好きになった言葉に 

 「顔観世(かおかんぜ)」

というものがあります。どんな慰めや励ましの言葉よりも、笑顔には癒しの力がある、というような意味だそうです。

このコロナ禍で、人の心も荒んで、笑顔を忘れがちですが

顔観世を心掛けて生活していきたいと、あらためて思った出来事でした。




最後までお読みいただきありがとうございました<(_ _)>

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