心揺さぶる2時間半をつくる人たち vol.3/応援部

気づけば、#週1note -LIKE- 最終回。

最後にお送りするのは「応援部」。
劇団四季、RADWIMPSと来て、突然の応援部。
何を隠そう、私が大学時代に所属していた組織です。

例に漏れず、新型コロナの影響で活動をストップしている応援部。
彼らにエールを。そんな思いも込めて筆を取ります。

応援部って何者?

「応援部」。
誰もにとって身近な人たち、ではないと思います。学ランを来て大きな声を出して、なんだか泥臭い、古い、そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。

私の所属していた「早稲田大学応援部」。
wikipedia曰く

リーダー、吹奏楽団、チアリーダーズの3パートによって構成される。体育各部を応援する他、多くの学内外の行事に参加、また主催している。大学当局から校歌の指揮権を負託され、また、校旗を託されており掲揚権を負託されている。競技スポーツセンターに所属する体育各部のひとつ。東京六大学応援団連盟の加盟校。

動画で見るとイメージしやすいかと思いますが、簡単にいうと、
・学ランを来て声を出して応援するリーダー
・踊って応援するチアリーダー
・楽器を演奏して応援する吹奏楽団
のみんなで、体育会に所属するあらゆる運動部を応援する、という集団です。

ちなみに早稲田大学応援部には「応援部綱領」なるものがあります。
1974年(昭和49年)、かつて応援団が乱立しては互いに対立して大学の秩序を乱していたという歴史に学び、「模範学生たれ」という精神を具現化したものだそう。

一、早稲田大学応援部は、早稲田大学を限りなく愛し、知性と情熱と行動力をモットーとする早稲田大学を代表する模範学生の集まりである。

一、早稲田大学応援部は、早稲田大学の歴史と伝統を正しく理解し、早稲田大学の充実・発展のために献身せんとする模範学生の集まりである。

一、早稲田大学応援部は、早稲田大学の栄光ある勝利を確信し、早稲田大学を代表するチーム並びに選手を応援激励する模範学生の集まりである。

一、早稲田大学応援部は、個人の人格及び人間性を尊重し、心身の鍛練並びに音楽性の追求を通じて、広く実社会の指導者たらんと研鑽を積む模範学生の集まりである。

そんな意思を受け継ぎ、今も、リーダー、チアリーダーズ、吹奏楽団が、それぞれ日々、練習に励んでいます。

私は吹奏楽団に所属していましたが、平日は練習、土日は体育各部の応援、と部活漬けの毎日だったことが思い出されます。(吹奏楽団は、上記に加えてコンクールや演奏会の練習もあり、毎日のように仲間と顔を合わせていました。)

とても印象に残っているのは、「試合に勝ったら選手の努力のお陰、試合に負けたら私たちの応援が足りなかったせい」という言葉。
事実がどうであれ、そんな純粋さを持って目の前のひと試合ひと試合に臨んだあの時間は、とても不思議で愛おしいものでした。

野球応援の面白さ-500円で自分も演者になれる場所-

さて、そんな応援部、最大の魅せ場は明治神宮野球場で行われる「東京六大学野球リーグ戦」の応援!

東京六大学野球は、高校野球で活躍した選手が集まる、大学野球の最高峰。毎年卒業生からプロ野球選手が輩出されるほどのレベルの高さ。実際に私の野球部同期からは重信(巨人)、茂木(楽天)がプロに進みました。

500円のチケット一枚で、そんな彼らを最前列で観ることができる、観るだけでなく一体となって選手と共に戦うことができる、彼らの勝利を共に喜ぶことができるのが、この野球応援の醍醐味だと思います。

青空の下。大進撃、スパークリングマーチ、コンバットマーチ、、吹奏楽団の演奏する華やかな応援曲メドレーに合わせながら、チアリーダーが踊り、リーダーが大きな声を出してキレのあるテクを振る。そして観客も応援部の呼びかけに応じて共に大きな声で選手を応援する。得点が入ったら、知らない人とも隣同士みんなで肩を組んで「紺碧の空」を歌う。

そんな2時間半、応援する人たちは、選手を見に来た観客でありながら、選手にとっての演者でもあるのです。


「頑張らなくても生きていける時代」に。

私たちがその2時間半に熱狂できるのは、選手たちがどこまでも本気だから、そして努力を積み重ねてきた上でのその2時間半の一挙手一投足だからだと思うのです。

応援部の好きなところは、そんな努力を積み重ねてきた選手たちよりも努力しなければ、彼らを応援する資格を持たない、という考え方。

側から見たら、なんの競技も持たない応援部が、何を必死に練習して、何を必死に汗かいて、と思うかもしれない。時には、その練習や規則を時代錯誤だと笑われることもある。けれども、努力する人を応援するなら誰よりも努力する、誰よりも努力をしているから観客を指揮してまとめ上げる資格がある、という考え方を私は尊く思うのです。

*応援曲メドレー(リーダー4年間の練習を振り返る映像とともに。)

要領よくこなせる人が評価され、いろんなものが整ってあれこれフリーライドできてしまう、頑張らなくてもそれなりに不自由なく生きていける今だからこそ。好きを仕事に、自分らしさを大事に、自分に正直に、という言葉が叫ばれている今だからこそ。
純度の高い思いと愚直な努力こそが、人の心を動かすのだと思うのです。
純度の高い思いと愚直な努力こそが、その人自身の人生の熱を上げると思うのです。

2時間半、そんな熱を、どうか感じてほしい。ともに作り出してほしい。
どうかまた肩を組んでともに歌える時が来たら、あなたと紺碧の空を歌いたい。

そう願っています。

最後に。

改めて、この3週間。様々な"アーティスト"に想いを馳せながら感じたことは、純度の高い想いと努力が、そしてそこから生まれる表現が、人の心を動かすということ。

どうかまたそんな2時間半を味わうことができますように。オンラインでもオフラインでも、そんな熱狂がたくさんの場所で生まれますように!

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