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都会生まれの人間の、地方の理解度の低さは異常

ども。
昨日は半日草刈りしてました。

ウチは敷地の入口から玄関まで50mほどが砂利なんですが、いい加減踏み固められていて小石が跳びにくいのと、土庭との境が一面柔らかいブタナだらけなのとでこの辺り一帯はナイロンコードで刈っていきます。刃の付替えも面倒なので、昨日はナイロンコードの分だけで終了。

あとは、雑草の背がもう少し高くなるまで放置ということにします。
イヤな仕事を後回しにするチャンスはいつも「今」しかないからな。

……と、もしあなたがここまで読んで「ナイロンコードってなんだ?」と思ったなら、あなたは都会生まれの人です。本人がどんなに田舎だと思ってても、ナイロンコードがわからない時点でそこはただの地方都市。
立派な都会です。

私は現在、能登在住ですが子どもの頃から合わせて15回ほどの引越しの末にここにたどり着きました。

それなりにあちこちの土地を見てきたつもりだったんですが、今にして思えばどこも全部「都会」でしたね。中学の頃、住んでいた土地は国定公園のすぐ脇で、猿が山から下りてくる度に校庭が使えなくなるようなところでしたけど、あれも今考えると都会でしたよ。駅近にできたドーナツショップがミスタードナッツの1号店だったとはね。なんどか通った安くてうまいイタリアンの店がサイゼリヤの2号店だったってのも後から知りました。隣はラブホテル、みたいな狭い路地でした。

とにかく歩けば行ける程度の範疇に「なにか」があるなら、そこはもう都会ですよ。

今の私の家から一番近いコンビニまでは歩いて1時間です。
最寄り駅までですと徒歩3時間。ただこの駅は金沢から遠くなっちゃうので、普通はより近い別の駅を使うんですがこちらは4時間半。もちろん歩きはしないので車で行くことになりますが、それでも30分ほどかかります。

実にいいところですよ。
ユニクロもダイソーもないけど。
地震もくるけど。

要は「なにが欲しいのか」に依るんですけどね。

実際、遊び盛りの若い世代にはツラいとは思います。刺激が欲しいでしょうし、また必要でもあるでしょうから。あと物理的に「仕事」ね。これについて話すと別の方向に行っちゃうので、ちょっとその話は置いといて(実際、その話がすべての元凶だと思ってるんだけれども)、移住を考えるような「大人」相手に限って話をするならば、ホントにここはいいところなんですよ。

良く都会と田舎を比較するときに「利便性」の話って出ますよね。駅に近くて交通の便がいい、とか買い物がしやすいとか。

昨日も書きましたけど、その類の話って「分かりやす過ぎる」んですよ。

そりゃウチは最寄り駅まで車で30分ですよ。でも車1時間で金沢まで行けるのに、わざわざ30分かけて最寄り駅まで行く必要あります? 渋滞なんてしないし、金沢で予約駐車して1日1,000円しませんよ?

交通の便がいいって言いますけど、その駅の構内人混みかき分けて歩き回って、渋谷とか新宿の地下ダンジョン抜けてたら結構疲れますよね。ここいらの人に「地下鉄一駅くらい歩く」って言ったら腰抜かしますよ。なんたってスーパーの端から、別の端まで100mの距離で車にのりますからね。

歳とって事故起こしたらどうするんだって? 町中の歩道で人はねるのと、田んぼの中にいるおっちゃんに突っ込んでいくのと、どっちが確率高いと思ってんですか。

統廃合で子どもは全部スクールバスだから自転車も走ってないし、散歩してるだけで奇異の目で見られるので、わざわざトレーニングウエアに着替えてウォーキングするようなとこに歩行者なんていないですよ。
信号もないぞ。引越す前の千葉の家から今の家まで550kmあるけど、信号2個しかなかったから。

爺ちゃんが最高時速30km/hで軽トラ走らせてるのは、ブレーキとアクセルの踏み間違え以前にアクセル踏み込む力が弱ってるからだからね。それで車停めて、エンジンかけっぱなしで買い物してるのは、ナンバーで誰の車か分かるから盗まれる心配がないからじゃなくて、一度エンジン止めると震える手でエンジンキー回すのが一苦労なせいだから。

知り合いの婆ちゃんなんか、家の車庫と畑をぐるぐるぐる周回してるだけだからシフトレバーの「R」がなにに使うものか知らなかったんだよ?

挙げ句に野菜だ、魚だって地域通貨のように食料が流通してるのに、田舎より都会のほうが便利だって理屈がワカラン。

たまに、定年後に移住を希望されている方のお相手をすることがあるんですが、ちょっとお話ししただけで「この夫婦は定住できるだろうな」っていう方と、「絶対こないな」「失敗するだろうな」って方はすぐに分かります。

要は「面白がれる」タイプとそうでないタイプの差なんですね。

イレギュラーや、自分の認知の歪みが面白くて、新しい体験や価値観を「面白がれる」人。こういう人は大抵土地に馴染みます。そもそも、土地の人間がそういう人を面白がってくれますし、「能登はやさしや」というのはそういう意味だと私は思ってるんですね。

逆にそうでない人は、いつまでも余所者で、コミュニティにも馴染めないまま去っていくという印象です。

新しい価値観をどんどん吸収していくというのは極めて刺激的です。

マスがつくる「都会から田舎に移住する」ことのイメージはたいてい「癒やし」だったり「安らぎ」だったりしますが、あんなのウソですからね。
作ってる側の人間が言ってるんですから間違いないです。あんなの都会に住んでる人間が、都会で考えて作ったただの「コンテンツ」ですよ。企画に困ったら、子猫か子犬、もしくは健康、あとは……移住かな? という程度のものだと思ったほうがいいです。

なんで「癒やし」なんですか。
田舎の若者が刺激を求めて都会に行くならば、都会の人間は刺激を求めて田舎に行くべきです。

なによりも都会生まれ、都会育ちの人間の地方への理解度の低さは異常だと思ったほうがいいです。分からないことだらけ、新しい経験だらけ。

ということは、ひとつ覚えればひとつ成長するということです。

いい歳こいて、ガンガン成長する余地が残ってるなんて、こんな素敵なことはないじゃないですか。

イヤな仕事を後回しにするチャンスはいつも「今」しかないんです。
面倒くさいしがらみはさっさと捨てて、もうみんな能登に移住しましょうよ、ね。

ところで、ウチ半壊なんですが、誰か買いませんか? お安くしますよ。

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