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「355」アクション映画の歴史は女性が変えていくのか?

単純に面白かった。イギリス制作のスパイ映画。ほぼノンストップアクションの122分。アメリカ、コロンビア、中国、ドイツ、イギリスの女スパイたちが地球に危機を及ぼすデバイスを追って動き出す。最初敵だったものが、途中で一致団結していく姿も面白い。

まずは、標的になるデバイスの紹介から始まる。地球上のすべてのネットを自由自在に扱える代物。飛んでいる飛行機を簡単に爆破し、街ごと停電にするということも簡単に。もはや、地球の王になれる代物。こういうデバイスを作ろうとすること自体が狂気だが、狂気が知力と集中力を持てば、こんなデバイス作ることも可能に見えてはくる。そして、コピーは一切できないオンリーワンデバイス。扱うのにもそれなりの技術者が必要。そう、こういう代物ができるのも時間の問題と、観客に思わせるだけの説得力が最初のシーンにはある。もはや、核で地球を壊すより、ネット回線で自由自在にの方が安上がりな時代かもしれない。ある意味、核のスイッチを押すプログラムを制覇して仕舞えば、世の中は、国など関係なしに手中に入れることができる。軍事も、もはや国対国の戦いではなく、個がそこに平気で参戦できる時代なのだ。そう考えたら、抑止力とか馬鹿馬鹿しい話である。孤独なテロリストが世界中に何人いるか想像できますか?という話。

そして、戦いはこの映画では最終的に、男対女の戦いになっていく。現代は、男の持っている権力や利権を女たちがコントロールし直す時代なのかもしれない。そう、ここに表現されるドラマも、すぐ隣にあるように感じるから困ったものだ。ある意味、パンデミックがこういう無鉄砲なことができないように制御しているのかもしれない。

とにかくも、映画の目論見である、女だけのスパイアクションというものとしてしっかりできている。今までの映画とは一味も違って、生のアクションが映画の肝になっているし、多分、それができる女優たちを集めたのだろう。基準が美しさではないことが没個性にはなっていないし、それぞれの見せ場もしっかりできている。ここでは、IT技術の優れた黒人が入っているが、彼女もまたしっかりアクションしているし、これからのスパイはネット、いやプログラムの中身もしっかりスパイできないと役に立たないということがよくわかる。そして、最後の一撃で初めて銃を撃つコロンビアの女。彼女は普通の家族を持った女性だが、彼女のようなものもまた戦わねばいけない時代だと印象付ける感じは、なかなかうまい配置。

そして、デバイスを壊し、その2ヶ月後に、彼女たちの復讐が完結するまで、ほぼ飽きることはなかった。まあ、話の流れに少し雑さは感じるが、女性のアクション映画としてしっかりとできていると思わせた。007でボンドガールがすべて一緒にアクションするようなのも可能なのでしょうな。日本も、「ベイビーわるきゅーれ」など見ると、アクションできる女子が育っているようだし、大藪春彦の「女豹シリーズ」なども映画化してほしいですな。

兎にも角にも、今の時代、女を味方につけておかないと、大変なことになると思えた作品でした。観終わった後の気持ちよさでは久々に◎でした。


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