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「99.9~刑事専門弁護士~the movie」リアルな事件を想起させる冤罪話は、もう一つ映画的なものが欲しかったかな…。

昨日、テレビで新作特番が放送され、今日が映画の初日。まあ、制作側の意図に乗せられたままに、劇場で見てきた。冒頭に、テレビのつなぎのような映像が流れる。もはや、ドラマとか映画とか考えるような時代でもないのでしょうな。一つのTBSが仕組んだイベントに参加した感じである。半年も経てば、ネット配信という同じ土俵の中で映像が扱われる時代なのだから、これでいいのだろう。

ただ、映画の冒頭に杉咲花が存在する意味を説明しなければいけないため、昨日のテレビのダイジェストみたいなものが入っているのだ。そういう意味では。昨日ドラマを見ていないと、映画見ても、ちょっとついていくのに時間かかる感じですね。まあ、そもそも「99.9」というドラマを知っている人がターゲットでしょうから、そういう構成で文句言っても仕方ないのでしょうな。登場人物の説明など何もないしね。

で、今回のこのテレビと映画で計約4時間の世界は、やはり、松本潤の助手に杉咲花がなったのが大きなところだろう。今までの、榮倉奈々や木村文乃は、松本のやり方についていけないというような状況だったが、今回の杉咲は、松本に最初に翻弄させられたにもかかわらず、松本を師匠と呼ぶ間柄になるわけで、ある意味、松本サイドの面倒臭い部下となる。そのことで、いまいち香川照之はやられっぱなしな感じであった。とはいえ、「99.9」の世界はなんとか守られているという感じ。

そして、杉咲が愛する漫画「ロボット弁護士B」というのが結構重要で、そのもの真似が入ってくるのだが、ここ、最初にアニメでこのキャラをもっと明確にして欲しかった。まあ、みんなで真似すれば、それなりにそういうものなのか?とはわかってくるが、もっとこのキャラを明確に知りたいもやもやが映画を見た後でも残っていたりする。

昨日のドラマは「下着泥棒」の冤罪から、選挙の贈賄の冤罪に切り込み、そんな中で弁護士としては真実を捻じ曲げて仕事している、西島秀俊が浮かび上がってくる。そう、この西島が映画でも重要なわけで、やはり、ドラマ見ていないと映画は色々分かりにくい気がする。

そして、ここで争われる冤罪事件は、「ワイン毒殺事件」である。これを見て「和歌山カレー事件」を思い出す人は多いのではないか?今でも、冤罪だという人も多い事件。この映画にあるような結末もあるかもしれないと思わされる。ある意味、このように村人が一致団結して、本当のことを隠していたら、なかなか真実は見つからないということなのだろう。そして、撮影されたビデオの現場を何度も再現するのは、このシリーズの王道だが、結果、その残っていたビデオの一部分が真実を知るきっかけになるというのは、まあ、現代の犯罪解決方法だろう。こういうビデオ解析を専門とする探偵の話とか作っても面白いかもしれませんな。

とにかく、弁護士が主役の法廷ものというのは、どっちかというと退屈であり、眠くなる方なのだが、このシリーズは、現場再現をやるシーンが主なので、面白く見られるわけだ。今回は、それを訳のわからんオヤジ劇団がやるのは面白かった。役者では、蒔田彩珠は、今年は「おかえりモネ」でも光っていたが、ここでもピアニスト姿はなかなか似合っていた。来年はもっと露出してくる女優さんでしょう。映画では、岸井ゆきのが活躍していないのは、ちょっと残念でした。

特に映画だからどうということはないが、冤罪で多くの人が傷つき、それが解決しても、色々と皆の心にわだかまりが残る事件である。その当事者たちの皆の心の中を最後にエピローグ的に紡いでいる部分は、なかなか良い構成だったと思う。

まあ、正月でそれなりにヒットすると考えると、映画第二弾も考えられますが、松本が大河ドラマに入るから、それが終わってからですかね?

その間に「ロボット弁護士B」の映画化が見たいですね。あと、岸井ゆきのの「部屋とYシャツと馬刺」も、ぜひ、聴いてみたいものです。

正月映画にしたら、ちょっと暗い話でしたね。


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