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「バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画を作ったら」大杉漣さんの追悼フィルムなのでしょうね。エンタメが困難な時期に作られたから意味ある作品。

この映画の主役とも言える犬の名前は「風」という名前である。大杉漣さんの愛犬の名前からとったらしい。テレビドラマ「バイプレーヤーズ」のシーズン2の撮影途中で、突然、出発ってしまった漣さんに対する追悼のため、「みんな元気にやっています」という意味での今年テレビドラマのシーズン3とこの映画だったのだろう。それなりの規模の撮影所が舞台というのも、漣さんへの思いがすごく感じられる。

そして、タイトルにあるように100人ほどの役者さんたちが出演している。テレビ東京製作にしたら豪華だなと思ったら、電通もお金を出しているようだ。最近はオールスター映画というものがないから、ある意味、見ていて楽しかった。そして、日本は役者の裾野が狭いとよく言われるが、ここに出ていない役者の数の方が多いわけで、みなさんが思う以上に役者と名乗る人がいるということである。パンデミックで大変なエンタメ界だが、それを盛り上げるための映画であるのかもしれない。

私はテレビシリーズは全て見たが、今回のシーズン3については、この映画があって、その前のテレビシリーズを作った感じではありますね。バイプレイヤーでなく大物でテレビに出て映画に出ていなかったのは、宮沢りえくらいですよね(もし、ワンカットでも映っていたらごめんなさい)。新しい顔として、有村架純、役所広司、天海祐希という主役級が出ている。

バイプレイヤーズの主役である、松重豊、光石研、田口トモロヲ、遠藤憲一は、テレビではどちらかといえば脇役だったが、ここでも芝居のシーンは出てくるが、そんなに前に出てこない。他の仕事が忙しいのもあるのだろうが、今回は最後までご意見番という位置のようだ。とはいえ、冒頭の銃撃シーンや、多くのバイプレイヤーと一緒のシーンは楽しそうでしたね。

ファーストシーンが、「小さなおじさん」の話から始まって、有村架純との共演から始まったので、そっちの話が中心になるのかと思ったら、その現場の犬がいなくなった話から、過去の話に。

そして、話の中心は、濱田岳が監督する映画の周辺。ここに役所広司が出ていて、スタッフも高杉真空、芳根京子、柄本時生、菜々緒という、かなりバラバラなメンバー。キー局がこの面子を集めてドラマを作ることもないだろうという感じ。だからこそ、面白かった。最初に役所さんが音声でどんどん画面に入っていくのは自主映画っぽい話ですよね。

特にいつもクールビューティーの菜々緒に、映画のスタッフをやらせるとは大胆と思ったら、この映画での菜々緒さん、なかなか気が利くいい女だった。これが素顔なのでしょうな。出番も多く、目立っていて、ちょっと見直した?という人は多いのではないか?普通の芝居できるなら、もっといろんな役をやらせてあげて欲しいですね。

多くの役者が出ている分、全体としては「大味」な感じではあるが、昔からこういう映画はそんな感じですよね。そう、映画評として落とし込むような作品でもない。撮影所の楽屋落ちとしては豪華だし、2021年の今、日本のエンタメはこんな感じの人たちが活躍していましたという資料価値は抜群で、結構、これから何度も観る機会が多くなる映画だとは思います。

しかし、ドラマの時から、ずっとフィリピン担当の遠藤憲一は、何か別の大きな仕事があったのですかね。ただのフィリピン好きのおじさんでしたね…。

まあ、撮影所は銀河鉄道のようなものという落とし所は、このパンデミックの中では、強い意志を感じました。


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