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「ウェディング・ハイ」その題名通りにハイにならないのは、脚本の練り不足としか思えない

予告では、結構、面白そうだったのだ。脚本、バカリズム 監督、大九明子というのも、なんか魅せてくれそうな気がしたが、結果的には題名にある「ハイ」な感じに至らない。全ては、中に入っているギャグセンスの弱さと、構成の甘さが生んだ結果のように思われる。個人的には、そんなに好きではないが、三谷幸喜がこの題材で作ったら、もっと笑わせることはできるだろう。まあ、彼の映画も映画的な何かが色々欠けているものばかりなので、それを観させられても文句をいうとは思うが…。

(一応、この後、ネタバレいっぱいありますので、読みたくない人は、ここで辞めてください)
まず、最初の1時間弱が、伏線というか、披露宴の始まる前の話になっている。それぞれに、笑わせてくれるのだろうなというキャラは明確になっているし、それなりに期待はできる。だが、脚本的には、そんなに笑わせようとした仕込みがなかったことが後でわかる。つまり、この伏線を張る部分の方が面白かったりする。そう、笑いのツボについて、高橋克実が延々と語るが、実際にはそのツボに観客が入ることはない。20分超あるとされる彼のスピーチをノーカットで流すくらいでないとダメだと思うのだが?

中尾明慶の動画の話も同じですよね。実際に披露宴で流される動画の面白さがほぼ理解できないし、テレビの「チンチン千鳥」の方が面白かったりするのはねー?

そう、この映画、披露宴をそのままリアルタイムで見せるような手法が一番良いのではないかと思う。もはや、3時間くらい使って、延々と披露宴の裏も表も流していけばいいのだ。

そこに、最後に詰め込んだ場外の話もうまく詰めこまないと、サスペンス的要素が全く出てこない。そう、岩田剛典や向井理に気を遣ってるのか知らないが、トイレネタで笑わせるのはセンスなし。それが映画のオチになってるのも「なんだかなー」である。

バカリズムの脚本を多分そんなに崩してないのでしょうな?コントを徹底的に練るように笑いを練らないことには面白くはならない気がする。監督が一緒に脚本作り直して、徹底的にハイになる披露宴舞台を作らないとね。まあ、4つの余興を同時にやるというのと、最後のイリュージョンで六角精児がいなくなっちゃうというのは面白かったが、タネがない本当のイリュージョンはいらないのでは?それよりも、池田鉄洋の縄ぬけが見たかった!

そして、六角精児が、関水渚の父親ということは、絶対にないと思う。私は、関水を観に行ったと言ってもいいので、彼女の笑顔がいっぱい観られたことは良かったのだが、この父親はない。

そう、関水渚と中村倫也のカップルというのは、なかなか映画的には面白くなりそうなものなのだが、中村にしても、いつもの彼にしたらフェイントもなく面白みに欠ける。大体、披露宴最中にこの二人がもっとパニックになるようなことがあってもいい。そういう意味では、岩田と向井は披露宴会場で追いかけっこさせるべきなのだと思う。完全にドタバタ性が足りない。そこのところは監督の技量のなさか?

主題歌をスカパラがやっているが、もっと映画の中でスカパラの演奏を流して追いかけっこやパイ投げみたいなことやって欲しかったよね。

映画としては、篠原涼子のウェディングプランナーが主役という形であったりするのだが。そんなのどうでもよくて、結婚式に参加するすべての人々が、ハイになって、めちゃくちゃになったけど、楽しく、記憶に残る式ができましたという流れにするべきだったのでしょうな。そして、この結婚式回避モードを一気にウェディングモードに変えるような映画が見たかったのだ。

篠原涼子は、まだまだ綺麗だし、締まった演技してるのに、残念な感じでした。主役なのだから、もっと喜怒哀楽を出して大活躍の感じにして欲しかった。

もう、世の中に笑いが足りないのですよ。だからこそ、こういう映画は作られるべきだし、もっと笑わせていただきたい。それが、エンタメの今の一つの義務でもあると思うのですよ。みなさん、精進しましょう!


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