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2022年新作テレビドラマ放浪記

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2022年の新作テレビドラマの感想です
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2022年6月の記事一覧

「オールドルーキー」スポーツマネージメントという世界から日本のエンタメの現状を見ること

日曜劇場の今クールは7月になる前に始まった。そういう意味では、あまり宣伝もなかったのではないか?脚本は「未来への10カウント」を終えたばかりの福田靖。2作続けて、スポーツに関する脚本を書いたということだろう。初回を見た感じは、スポーツドラマというよりは、やはり、ビジネスドラマ、現代の人間の生き方みたいなもの、人生の第2ラウンドの作り方みたいなのがテーマなのだと感じた。この、パンデミックの後では、重要なテーマだ。 サッカーJ3のチームで、ベテランとして、元日本代表という肩書き

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第9話)」10年後の未来が全く予想できない事と、テロの脅威が隣にあることと…

ラスト、家族と友人が仲良く誕生日を祝うシーンで終わる。そう、このドラマは、こういう笑顔のある日常がいつまでも続きますようにと願うために作られていると信じたい。 シンギュラリティというAIの進化の話から始まったドラマは、最後はウィルスのを人が悪意で故意に進化させることにより、テロを起こすという話で帰結した。これを見て、現状のパンデミックが、故意に起こされたのではないかと思う人もいるだろう。そして、バイオテクノロジーの発達は、新たなテロの火種として世界中で考えられてたりもすると

「恋なんて、本気でやってどうするの?(第10話)」今時の恋愛ドラマの帰着点とは?

香椎由宇が広瀬アリスに恋してたという余分な話に、ちょっと最後はほくそ笑んだ。そして、その話し相手が戸塚純貴だというのも、シャレが効いた感じで、なかなかでした。ということで、描かれた3組の恋は無事に成就する方向にまとまって、視聴者は満足というところか。 最初は、広瀬がまだ、男との関係を知らないみたいな話から始まっていたのだが、それは、結果的に男女間の今時の関係みたいなものを導き出すための道具としてであり、性的なつながりと本質的な恋愛感の差別化みたいなのを前に出したかったからだ

「元彼の遺言状(第11話)」この締まりのない最終回。そして、綾瀬はるかはどこへ行く?

脚本が面白いものは、演出で面白くもつまらなくもできるが、脚本がつまらないものは、演出がどうあれつまらない。ということを映像関係者はよく言う。そして、このドラマは、後者の典型的なものだろうと思う。 大体、この締まりのない最終回はなんなのだろう?昨今は、最終回の後に特別編などと言うものをつける時もあるが、これは、それにもなっていない気がする。まあ、11回のドラマが、大泉洋演じる篠田の書いたつまらぬ推理劇であり、最後に篠田が目覚めて、全て夢だったと言うならまだわかるが、それは、私

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第8話)」遺伝子操作、不老不死、そしてその先には世界制覇?

今回は、ディーン・フジオカの娘を追って、必要なものが、悪巧みのところに集められ、それを追うものは、痛めつけられながら、なんとかそこについていくという1時間。今までとは違い、あまり科学的検知的なものは出てこなかった。最終回の予告の断片を見る限りは、今まで視聴者に見せてきた、先端科学をまとめて世界制覇につなげるような、ある意味古典的な結末になりそうだ。 そう、こういう話は、手塚治虫の漫画を多く読んでいた世代には、得意分野である。科学を正義のために使うか?自分の満足のために使うか

「インビジブル(第10話)」こういう犯罪の流れがフィクションに思えなくなった状況がヤバいのだろう

冒頭で永山絢斗が殺され、桐谷健太が自ら自分が黒幕だと名乗る。ここから、もはや騙し合いが始まり、スタジアムでの大団円へと流れていく。最終回は、スリリングでいて、このドラマに内在する現代の狂気みたいなものがすぐそこにあるということを提示もしている。えげつない殺人の向こうには人の狂気の在りどころの吐露みたいなものがあるわけで、警察に潜り込み、自分のエクスタシーみたいなものを感じるために殺人を行うという、もはや、狂気のリミットみたいな桐谷健太は普通にあなたの組織にもいるのでは?と問い

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~(第10話)」ハードルの低いロールモデルがあれば、皆それを越えようとするのか?

最後の「シン・JK5推進事務局」とは、なかなか現代風の洒落で終わったこのドラマ。最終回としては、すごく未来が見える終わり方だった。今の日本の組織に最も欠けているのが、この社員の参加姿勢である。 そして、今の日本のトップになるハードルはそんなに高くないのが事実。ハイスペックな上司など、ほとんどいないのが現実。それは、我が国の総理大臣を見ればわかる。あんなに低いロールモデルはない。そのことに気づいてるやる気のあるものが、一気にその地位を目指していったら、日本は変わるのにな、と、

「恋なんて、本気でやってどうするの?(第9話)」それぞれの事情と、恋愛の勢いと…

ラストに向けて、恋の整理をつけようとする回。脚本の交通整理みたいなものはなかなかうまい。 まずは、300万円を不倫していた男の妻から慰謝料として求められていた飯豊まりえ。ありがちな、キャバクラ堕ちをし、風俗に行くことも考えるという、女の居直り?ここで、こういう堕ちるところで、反社の人が出てこないのは今時の在り方か?二人の男が、金を持って迎えにきて連れ出すもトラブルなしなのは、まあ、スムーズすぎる感じもするが、実際はこんなものなのでしょうね。しかし、この店の源氏名は海鮮らしく

「元彼の遺言状(第10話)」法廷ドラマとしても、決して質の良くない感じはなんなのか?

まさか、この事件が終わっても、ドラマが終わりでなかったとは?と思った人は多いだろう。前から、構成のまずさと、一つ一つの話のつまらなさを書いてきたが、ここまでいくと、もう、フジテレビ、時間潰しに月9の時間を使ってる?としか思えないのだが、 篠田(田中)の冤罪の話は、町の医師を守るために、町の人全員が、天涯孤独な大泉洋を犯人に仕立てた物だったとさ。ドラマの中でも言ってるように、最後は「オリエント急行殺人事件」でしたね。そして、「そうなのか?」という快感はなかった。 その前に、

「マイファミリー(第10話)」事件というものは、些細なことから始まり、自己保身が思わぬ者を不幸にしていく波動の連鎖みたいな…。

先週からネット上でも、犯人はサンドイッチマンだということは言われていて、今回の初めの方から、確かに不審な行動をしているのはわかるし、カメラの追うものの中に彼が隠れていくのもわかるわけで、犯人探しはそんなに難しい展開ではない感じに見せられていた。だが、そうはいっても、動機が見えない。警察官が誘拐などして何の特があるのか? そして、この事件の発端になる濱田岳の娘の朽ちた姿は、最後まで画面には出てこない。妻は最後に現れたにしろ、この家族だけが、娘が殺され、法的に裁かれ、未来が見え

「パンドラの果実〜科学犯罪捜査ファイル〜(第7話)」万能遺伝子の奪い合いという、実際にもありそうな話に危うさを感じる

娘が誘拐され、思いっきり全力で走る、ディーン・フジオカ。彼をこの役に当てたのは、このためかと思わせる。こんなに必死こいた感じに走れる役者は彼しかいないだろう。こういう場面が生きる役を彼に与えたいと思うのは私だけではないだろう。 そして、物語の芯は、遺伝子戦争みたいなものだとわかってくる。その免疫万能の遺伝子を持つ人間が、フジオカの妻の本仮屋ユイカだったという話だ。その妻が双子だったということがわかる。片割れが、岸井が開発していたプロメテウスウィルスに感染したものの、老化しな

「インビジブル(第9話)」腐った人間が腐った人間と組んでも信頼という文字はないわけで、犯罪の裏に信頼関係など存在しない

最後になって、柴咲コウはさらに美しく、このドラマの中にいる。この役、彼女以外には成立しない感じが良い。結果的には、インビジブルのやることを見ていて、それが自分の美意識に合わなかったというドラマなのだろう。だからこそ、彼女は華やかに着飾るし、クールに犯罪の世界の中を駆ける。こういう雰囲気だけで、このドラマは成功なのかもしれない。 そして、内通者は、先週、私が思った通りに桐谷健太。まあ、警察内部で権力を持つ奴が犯罪者と手を組んだら、そして、犯罪のやり方に長けていたら、ある意味無

「未来への10カウント(第9話)」不撓不屈の学園ドラマというエンディングが木村拓哉にフィットできていたのか?

木村拓哉のドラマには珍しく、綺麗すぎるくらいのハッピーエンド。そして、ラストのB'zの主題歌も、この回だけはそれなりにはまっていた。そして、最後に木村拓哉が「不撓不屈」をボクシング部のみんなから教わったという言葉も、綺麗すぎるくらい、普通のドラマであった。9回全部見て、総じていえば、特にひねるところもなかった学園ドラマだったという感じである。だからこその物足りなさみたいなものは強く感じますけどね。 焼き鳥屋とボクシング部コーチ、そして非常勤講師を一緒にやるというのは、普通に

「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~(第9話)」この古い体質を打破できず、会社が人を軽く扱う先にあるもの?

組織とは何を求めて動くものか?その中で出世とは何か?そんなことを再度考えさせてくれているドラマである。先週のJK5が動き始めた先に、何があるのか?ラスト前の今回は、なかなか中身が濃すぎるくらい濃くて、色んな人に見てもらって、色んな人の今の意見を聞きたい感じであった。 そう、前から書いているように、この原作は古い。しかし、ここで描かれる会社の人事や、女性の働き方の苦しみ、管理職というものの空疎感みたいなものは、今も、たぶん、ほとんど変わっていないのだろうと思う。このドラマも、