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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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#井浦新

「最愛(第10話)」最愛の人がいる人生の向こうには嘘があるという現実?

なかなか、わかりやすくまとめられた最終回だった。そして、犯人は静かにいなくなり、証拠もなく、皆が平穏のままに新しくリセットしていくというラスト。そこに出てくる吉高由里子の顔を見て、視聴者皆が最愛の表情をするように作られた構造ということなのかもしれない。 そして、人を守るということは、簡単ではないが、時に人を殺めるということに繋がってしまうこともある。そして、それを隠し続けている人は、意外に多いのかもしれないと思ったりする。そう、陰惨な事件があり、亡くなってしまった人は本当に

「最愛(第8話)」ボールペンから、犯人は5人に絞られたのか?

結局、このドラマ、何が壊れ、何が結ばれるのか?というところにあるのか?個人的には、強引な捜査一課長の津田健次郎が気になったりもするが…。彼のことを螢雪次朗が語る台詞が重要な気がしただけだが…。こういう強引さが、人間社会には邪魔なことが多い気がする。 今回は、及川光博が会社の不正を知っていて、さまざまに人を動かしていたことがわかってきた。でも、酒向芳に500万円を渡そうとしたのは、そこと繋がっているとも思えない。会社の不正事件と、酒向が殺されたこととを結ぶ何かがあるのだろう。

「最愛(第6話)」15年前に、時を戻されて、そこに何を見せようとしているのか?

田中みな実の正体がわかる今回のラスト。何故に違う大学の学生が出てくるのか?彼女や吉高の弟と関わっていた及川光博もその田中の正体をやっと知ったところ?情報屋として弟とも関わっていたがなぜに?この辺りはどう考えればいいのか?そして、松下洸平が同級生の水崎綾女に電話して、軽く拒否られている感じは、15年前にいろんなことが置き忘れられていることを暗示する。弟が殺人犯でなくなって、「では、真実は?」と事は徐々に真実に近づいていこうとしている感じの演出はなかなか上手い。しかし、酒向芳さん

「最愛(第2話)」15年の時空の中の秘密と心の変化のありようを描こうとするドラマ

なかなか、演出の絵作りが細かく処理されている。出演者の心根をしっかりと描こうとしているのだろう。そして、15年間の空いた過去と現在をうまくつなぐ感じは好感が持てる。 それを成功に導いているのは、吉高由里子の存在感に他ならないのだが、松下洸平が出現することで、多少の動揺が見られる演技がなかなか上手い。今回は、最初に「初めまして」と言っていた吉高が、最後に松下のことを認識していることがわかるまで。 とはいえ、15年前の殺人劇の真相が語られる。なかなかおぞましい殺人シーンであっ

「あのときキスしておけば(最終回)」魂レベルで皆が幸せになるラスト

振り返れば、本当に優しいドラマであった。魂レベルの愛情に溢れるドラマということだろう。LGBT、マイノリティーという言葉が氾濫する時代に、愛情の本質を見せられるようなラブコメだったと言えるのだろう。最後は、ちゃんと元の生活に戻してるしね。 海辺のキスシーン。それが松坂と麻生の最後の再会になったというところから最終回が始まり、そんな中で、二人の結婚式の準備が始まる。そんな中でも、魂の麻生久美子は、さまざまな人に別れを告げていく。しかし、結局、どうなると、蟹釜ジョーになり、どう

「あのときキスしておけば(EPISODE7)」キスしてしまったら、それがエンディングの始まり?

先週、キスをし損なって、田中マサオが戻ってきてからの続き。田中マサオの心は確実に戻ってきた。そして、彼は自殺しようと逃げる。松坂桃李は三浦翔平とスーパーの上司であり、田中の友達の六角慎司を呼び出し、彼を見つけ自殺を止めると、田中マサオは再度、蟹釜ジョーに戻る。つまり、一体の身体の中で二つの魂が出入りする形でこの1時間は流れ続ける。 まあ、論理的な話はどうでもいいというところから始まっているので、考える必要もないが、その出入りする身体を演じる、井浦新は見事である。3ヶ月前には

「あのときキスしておけば(EPISODE6)」あまりにも幸せな回の最後に起こった現実

まさか、田中マサオの魂が戻ってきて終わるとは!!!まあ、この回、周囲の人々が、起こっていることを把握して、あまりにも幸せな状況が進みすぎるとは思ったが、ここで魂の混沌が起こってくるとは、まあ、大石静さん、流石にドラマの方向を変える瞬間を作るのは上手いなと思ってしまいました。 蟹釜ジョーの正体を知っていた全ての人々が、田中マサオの身体にその魂が乗り移ったことを、なんだかわからないが認識する。結果、雑誌の連載も続くことに。しかし、井浦が編集室に乗り込むシーンはなかなかスマートで

「あのときキスしておけば(EPISODE5)」井浦新を中心にすべての現実が変化していく面白さ

今回のラストは、井浦新と三浦翔平のキスシーンだった。回を追うごとに、こういうシーンを普通に見られるようになっている。決してBLの話ではない中でそれが正当化されていることに、このドラマの面白みがあるのだ。 しかし、三浦翔平の畳みかけるような麻生(井浦)への愛情の勢いは凄すぎる。最初の方で、麻生の担当を降りる時には、結構覚めていた感じだったが、一度死んだ麻生が井浦として生きていると知った段階で異様なギアが上がる感じはなんなのだろう。というか、三浦翔平、こういう芝居もできたんだ。

「あのときキスしておけば(EPISODE4)」見た目から魂に心が移る場面の絶妙さ

しかし、ここにきて井浦新の麻生久美子化が一気に進んでいて、視聴者側も違和感を感じなくなってきた。井浦新という役者の振幅幅に圧倒される。 前回、田中マサルの妻であるMEGUMIに見つかり、松坂と付き合っていると誤解されたところから今回は始まった。しかし、最近のドラマは、男同士の恋愛を基本的にあるものとしていて、昔のドラマにあるような「気持ち悪い」的な心模様は本当になくなってきた。マイノリティーを護るという話は、エンタメの中ではもはや当たり前である。そう、エンタメは日常を先導す

「あのときキスしておけば(EPISODE3)」感動の親子再会の後に、田中マサオの正体

3回目で、最後はお母さんに自分だとわかってもらえる、蟹釜ジョー。このシーン、松坂桃李演じるももちが、蟹釜先生に対する話をする長台詞がなかなか泣かせた。松坂の愛情詰まった感じの話し方につられて、自然に麻生久美子の姿が重なってきて、母親に何が言いたいのかが伝わるという流れ。こういうシーンを見ると、さすが大石静脚本という感じはしますね。その感動的なシーンから、松坂、井浦のイチャイチャシーンに繋がり、井浦演じる、田中マサオの身体の正体が、フラダンスの先生のMEGUMIの夫だったという

「あのときキスしておけば(EPISODE2)」井浦新の芝居に全てがかかっている?

最後に麻生久美子が出てきて、少し安心した。しかし、大石静脚本とは、言われないとわからないな。なかなか新しいラブコメ?になっている。これは、入れ替わりドラマというよりは、2人1役ドラマなんですな。対象物がいないから、井浦新が麻生久美子に似てようが、そうでなくても全然問題ない感じ。二人で役を作り上げたのかもね。井浦新も、先週はブスッとしたいつもの役かと思ったが、それがあって今回の女演技がなお生えている。役者としては、さすがという感じだ。 しかし、身体が入れ替わった田中という人物

「あのときキスしておけば」というタイトルの意味が、初回の最後にわかる混乱

ファーストシーンを見ると、ボーイズラブの話か?と思ったが、開けてみると、今放映中の「レンアイ漫画家」みたいな話。男と女が逆なだけ。そして、ラストでは、「天国と地獄」のように、麻生久美子と井浦新の身体が入れ替わっているらしい!!!そんな、最近の周辺のドラマをパクるかのような脚本を書いているのが、ベテランの大石静さんというのも面白い。 初回は、松坂桃李のポンコツ男の演技が楽しかったが、麻生久美子の色香に負けなかったせいで後悔する役とは。この深夜枠で、このキャストでこの脚本家は、

「にじいろカルテ(第9話)」愛しきユートピア「虹の村」を具現化した岡田惠和脚本に拍手!

最終回である。最後まで、「虹の村」は、脚本家、岡田惠和が描く理想の地として、成立していた。この回の最初の方、食事しながら、「最近、暇ですよね」と言った途端に医療ドラマでは忙しくなるという話からエンジンがかかっていくが、これって脚本家が自らそういうものと言っているということですよね。それくらい、力抜いた感じで脚本が書かれている。ある意味、書きたいものが書けているということでしょうな。 とにかくも、このドラマは「虹の村」の造形が素晴らしかった。そのコミュニティの姿が、村の人たち

「にじいろカルテ(第8話)」共同体の優しさと、大いなる勘違いの楽しさ

最終回を前にして、ドラマを動かすような話ではなく、北村匠海演じる太陽くんの人間性と、虹の村の人々の楽しさや優しさをもう一度確認してくるような回だった。脚本家が描きたいものは、小難しい組織論や人間論ではなく、当たり前の優しさに溢れた生活の素晴らしさみたいなものなのだろう。そういう意味でも、このドラマは医療ドラマではない。 最初の導入部での、北村の勘違いのシーンはなかなか秀逸である。というか、声だけの井浦と高畑の話が、確かに色っぽい話に聴こえるのだ。これがちゃんとできたことで、