【ロシア留学記】ロシア掃除カップに日本代表として挑む
わたしは掃除が得意ではなかった。ランドセルの中は紙がぐちゃぐちゃしているし、自分の部屋にモノはたくさんあった。掃除をするのは思い立った年数回。そんなわたしがいま週末になると掃除をしようと思えるのは、社会人になって買ったルンバと、ロシアに行ったおかげな気がする。
ロシア人の週末の過ごし方はどんなだろう
わたしはロシア南西部の、人口4万人ほどの田舎町に暮らすことになった。ホストファミリーはパパ、ママ、兄、弟、ワンコの5人家族だ。お兄さんは離れて住んでいたため家にはおらず、パパママは働いていたため、ほとんどの時間を弟とワンコと過ごした。
家族で団欒するメインの時間は、仕事から早く帰ってこられた平日の夜と週末だった。
夜には一緒にひたすらジャガイモを剥き(ジャガイモはよくスープに入っていた)、夕食を囲みながら、その日の出来事を話す。ホストファミリーはお兄さん以外英語を話せなかったので、最初は雰囲気とボディランゲージに頼るのみだった。いま思えばすごいことだ。おかげで顔表現は上手くなった。
平日はバタバタと過ぎ去っていくロシアの日常では、週末は何をするのだろうか。「1週間やり切ったぜ!ウォッカでも飲も!」そんな感じかと思いきや、実際は全く違っていた。
前哨戦:掃除本気度対決
「ルン、明日は土曜日!掃除の日だぞ!」ロシアで過ごす最初の金曜日、パパはわたしにはりきって伝えに来た。留学前、ロシアに行く人用にはロシアの留学パンフレットが送付されてきたのだが、たしかにそこには『ロシアでは毎週末に家の掃除をします』と書いてあった。なるほど、この家でもするらしい。…しかしここは外国だ。「日本は世界一清潔である」とはよく言われるもので、掃除、と言われると年数回しか部屋掃除をしないわたしでも日本人のプライドがメキメキと顔を出してくる。自信満々で「OK!」と言った。世界一清潔な国から来た日本人の底力を見せてやろうではないか!
次の日、しっかりジャージを着てリビングに行く。ジャージなのは気合いの表現にぴったりだ。ごはんを食べ、スタンバイしているとパパがやってきた。上半身裸で。
どうしたことかジャージのわたしの何倍も超える気合いの入れようである。そして片手にはあの、掃除好きの証・高圧洗浄機が握られている。これはただの掃除ではなさそうだ。
「よし、やるぞ!」とパパはまず家の外壁から高圧洗浄機で掃除を開始した。これは間違いなく本気の掃除である。
掃除日本代表として負けられない戦い
わたしが呆気にとられていると、「やってみるか?」と聞かれ、はじめて高圧洗浄機を使ってみた。家の外壁、窓ガラスを交代で高圧洗浄し、さらには車もピカピカにした。よし、やり切った!と満足感いっぱいに家の中に入ると、ママがすでに掃除機と床拭きを終えて、家の中外ともにピカピカしている。なんてことだ。わたしの予想の遥か上をいく掃除っぷりである。今って年末の大掃除の時期だったっけ?「ルンも部屋の掃除しなさいね」と雑巾をくれた。わたしは急いで自分の部屋の窓、机、床を一所懸命掃除した。もう「日本人が1番綺麗好きだから〜」と自惚れてはいられない。妥協は禁物である。
「終わりました!」と言いに行くと、どれどれ、とママが見に来た。これは日本人の真価が問われている…。ロシアの田舎で日本代表としての掃除力が試されているようだった。
ドキドキドキ…
この感じは小学校のころの、教室が静かで一音も間違えられないリコーダーテストに似ていた。
「う〜ん、80点!でもまあOK!」
日本人で綺麗好きのみなさんすみません!!!掃除年数回のテキトーズボラB型女子により、ロシアの田舎町で日本の掃除力は80点となってしまいました…。とりあえず合格だったので、よしとしてください(汗)
ここから毎週末の掃除の日がスタートした。
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