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【トレイルランニング】ITRAのあれこれ~その2(ポイント編)~

ご無沙汰しております。続きを書くと言っておきながら随分日が経ってしまいました。まさかこのタイミングでITRAサイトの工事が入るとは…。どうやら見た目だけでなく中身も結構変わってそうです。UTMBの体制刷新を受けて、ITRAサイドも新しく設定を作り直しているようですね。この両者はもう完全につながりを断とうってわけか(これに関してはまた後日)。

というわけで、ちょっと様子を見たり内容を書き直したりしていました。間隔も空いちゃってるので、前置きはこの辺にして早速本題に入りたいと思います。前回分をまだ読んでない方はぜひ以下のリンクからお願いします!

1. そもそもITRAって何?

トレランをやっている方にとってはおなじみの存在かもしれませんが、一応簡単に。2013年にトレイルランニングの世界的な認知向上を目指して設立された団体で、正式名称がInternational Trail Running Association(国際トレイルランニング協会)です。2015年には国際陸上競技連盟(IAAF)にも認定されました。共通の基準を用いてレースやランナーを評価し、そこで蓄積したデータをもとに様々なサービスを提供しています。レース規模やランナーのレベルを問わず、世界中の豊富なトレラン情報が得られるので、一度サイトをのぞいてみるのも良いかもしれません。

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2. 主催者のToDo~申請から認定まで~

もちろん、ITRAが勝手にコースを査定してくれるわけではなく、主催者は所定の手続きを踏む必要があります。ここでは少しだけその紹介をしたいと思います。

具体的な流れはこんな感じ。

(1) ITRAの主催者アカウントを作成(初回のみ)
(2)マイページから大会を登録
(3)レース設定(基本情報の入力、GPXファイルのアップロード、写真追加)
(4)ITRAに査定を依頼 ※査定料支払い or 有料メンバーシップ登録が必要
(5)距離、累積標高等の数値やポイントが決定(だいたい2~3日くらい)
(6)レースページ上にコースマップが作成される

そして完成したページがこちら。まだ工事が全部終わってなくて所々体裁が崩れてるところがありますが、そのうち直るはず!

一度登録した情報は翌年の大会に引き継ぐことができます。ただ、コースの査定は毎回受けなければならないので、レース内容が前年と同じだからと言って必ずポイント対象になるとは限りません。主催者からの情報や大会HPはしっかり確認しましょう。

3. 評価指標となる "km-effort"

トレランでは「距離」の他に「累積標高」も考慮してコースを評価する必要があります。距離が同じあっても、累積標高の差で完走難易度が大きく変わるからです。

【累積標高】スタートからゴールまでに登った高さの合計値
例)A(0m)/B(500m)/C(100m)/D(300m)の4地点があるコース
(1) A→B:累積標高500m
(2) A→B→A→B:累積標高1000m
(3) A→B→C→D:累積標高700m

こうした中で、距離と累積標高をまとめて評価できる『km-effort』が登場しました。なんだか専門的で難しそうな響きですが、全然そんなことはありません。この『km-effort』は距離と累積標高の数値に基づいて以下のように計算されます。

km-effort = (距離[km])+(累積標高[m] ÷ 100)

◎KAKITSUのロングクラスの場合

km-effort = 30 + (1550 ÷ 100) = 45.5

要は距離1kmと累積標高100mを同等と考える計算方法です。山を走り慣れていない方は少しイメージしづらいかもしれませんが、累積標高がプラス1000mになると、単純に距離が10km増えるのと同じくらいハードになったと感じると思います(人によってはそれ以上かも)。ですので考え方自体はかなりシンプルですが、おおむねイメージ通りの評価になっているというのが筆者の印象です。

このように、『km-effort』を用いてあらゆるコースを単一の指標で評価できるようになったことで、効率化はもちろん世界中のコースの比較が容易になりました。

4. ITRAポイント

ITRAに認定されたレースは、先程紹介した『km-effort』をもとにポイントが決められています。元々はこれらに対応する形で7つのカテゴリー(XXS~XXL)が設定されていたのですが、上述の変更でカテゴリーは独立して全く別のくくりになっています。とりあえずこの部分は置いといて、まずはポイントについて見ていきましょう。

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これを見ると、KAKITSUのロングクラスが「2ポイント」だということが一目でわかりますよね。つまるところ、『km-effort』の計算方法とポイントの基準さえわかっていれば、ITRAポイントが未確定のレースでも事前にある程度予想することができます。どのレースに出ようか迷った際は、ぜひ参考にしてみてください!

ただ、実際のITRAの評価と大会HPや地図アプリで公開されている情報は異なる場合があります。特に累積標高に関しては、使用するウォッチやアプリによって大きく数値が変わるので注意が必要です。

※km-effortの旧基準について
上の表で『km-effort(旧)』という項目がありますが、実は2018年まではこちらの基準をもとにコースが評価されていました。そして、2019年開催のレースから現在の基準が適用されています。見ての通り結構厳しめの判定になっていて、日本でもポイント減になるレースが相次ぎました。特に4ポイントだったレースは、そのほとんどが3ポイント評価に見直されています(以下参照)。

【ポイント減(4pt→3pt)となった大会】
ハセツネ/奥三河パワートレイル/Izu Trail Journey/OSJ新城トレイルダブル/スパトレイル72K 等

どれも日本を代表する素晴らしいレースで、当然ポイントが減ったからといってその質まで下がるわけではありません。ただ、実際問題として4ポイントを維持できたのは、「OSJ山中温泉トレイル80K」や「上州穂高スカイビュートレイル70K」といったごく一部のレースだけでした。これを受けて、UTMFのエントリーに必要なITRAポイントが「最大3レースで12ポイント」から「最大3レースで10ポイント」に変更されましたが、もしそのままだったら国内でのポイント稼ぎはかなり大変になっていたと思います。それだけ影響の大きかった改定でした。

5. 最後に

今回も想像以上に長くなってしまいました。うまくまとめるのは難しいですね…。ということで、残っている部分はまた次回にします。次はできるだけ早く投稿できるようにしますので、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです。あと、KAKITSUの方はまだまだエントリーを受け付けておりますので、こちらもよろしくお願いします。

◎次回の内容

・コースの評価がマイナスになるケース
・2021年6月の変更について
・知っていると役立つITRAの指標(マウンテンレベル/パフォーマンスインデックス)
・自分のリザルトページへのアクセス方法と見方

それでは!


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