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【海外ボランティア】ケニアってどんな国?現地で生活した視点から【3カ月のケニア医療インターンシップを終えて①】

すっかりご無沙汰してしまいました。
数週間前、5ヶ月間の海外滞在を終え、無事に日本に帰国しました。

今回は、カンボジア公衆衛生インターンシップの後に参加した、3ヶ月間のケニア医療インターンシップの経験をお伝えしたいと思います。
「若いうちにアフリカに行け」その言葉を講演会で聞いて以来、憧れ続けていたアフリカ。そして、ついにアフリカの医療現場に足を踏み入れることができるということで、出発前はドキドキ・ワクワク。
実際、ケニアでの生活は日本と異なることばかり。日々驚くような出来事が起きていましたが、想像の何倍も快適で楽しく過ごすことができました。

日本からは遠く離れたケニア。
「ケニアってどこ?どんな国?」
そんな皆さんの疑問を解決すべく、まずは現地から見たケニアの状況ついて、現地の人々から聞いた話や自分の体験をもとに書いていこうと思います。

ケニアってどこにある?


黄色矢印の先がケニア
タンザニア、ウガンダ、エチオピア、ソマリア、インド洋と隣接している。

ケニアはアフリカ大陸の中でも、赤道直下、東アフリカと呼ばれる地域に位置しており、タンザニアやウガンダ、エチオピア、ソマリアなどが隣国です。また、インド洋にも面しており、旧首都かつ現在は第2都市とも呼ばれるモンバサはビーチリゾートとなっています。

ケニアの気候は?

国土が広いため、気候は地域によって様々。赤道直下の国であるため、モンバサのように高度が低い地域ではかなり暑くなりますが、ナイロビのように高度が高い地域では、朝晩は冷え込み、日中は25~30℃というようにとても過ごしやすい気候です。
「アフリカ=暑い」ではないんです!(来る前は私もそう思っていました笑)
私が滞在していたナニユキという地域は、徒歩圏内に赤道があるような場所でしたが、ケニア山が近いため街中でも標高1800mあり、ずっと日本のゴールデンウィークくらいの気候でした。
(今年は日本の暑い夏を回避できて、とても快適に過ごしました笑)
個人的に、この快適な気候は、ケニアの大きな魅力だと思います。

家から歩いて赤道へ

四季はありませんが、雨季と乾季があり、だいたい4月~9月が乾季、それ以外が雨季となります。(最近は、地球温暖化の影響で雨季と乾季が切り替わる時期が変わってきているみたいです。現地の人も予想できないと言っていました。)
私は8月頭から10月末まで滞在していましたが、9月に入ったあたりから雨季に入りました。8月中は雨が全く降りませんでしたが、9月に入ると午後はほぼ毎日スコール。ケニアの道路は舗装されていないことも多いため、乾季は乾燥して砂ぼこりが全身に降り注ぎ、雨季は雨が降ると道がドロドロになって靴が真っ黒になります。皆さんはどちらが良いでしょうか?笑

近所の道路(乾季)車が通る毎に砂ぼこりが舞い上がります…

ケニアには42部族いる⁉

ケニアには部族という単位が存在しており、合計42部族あるそうです。
最も人口が多いのが「キクユ族」と呼ばれる民族、日本で有名なのは「マサイ族」でしょうか。
それぞれの部族は「mother tongue(訳:母国語)」と呼ばれる独自の言葉を持ち(例:マサイ族→マサイ語)、部族ごとに住んでいる地域や生活習慣や文化も異なります。例えば、キクユ族はケニア中央部に多く住んでおり農耕メインの生活スタイル、ヴィクトリア湖付近に住むルオー族は漁がメイン、マサイ族は狩猟と遊牧による生活をしています。(現在は、多くの人が街に移住しているので、上記に当てはまらない人々もたくさんいます。)
「mother tongue」は各部族間では通じないことも多く、お互いに理解できない生活習慣もあるそうです。
(キクユ族のホストファミリーは、ルオー族が羽アリを食べること、マサイ族が血を飲むことなどに対して、理解できないと言っていました)

マサイ族の村 Part1
マサイ族の村 part2
同じマサイ族でも、場所によって生活の様子がかなり異なります。

同じ国でありながら、言葉や生活スタイルが異なる人々が一緒に暮らしているのは、私にとって不思議な感覚でした。
しかし、ケニアの人々からは「日本には何部族あるの?日本語って日本全体で使えるの?」という質問をよくされます。ケニアの人々にとっては反対に、同一の民族で国が構成されているという方が不思議なのかもしれません。
様々な部族がいて、様々な文化・言語を持っている、その多様性はケニアの魅力の一つだと思います。

しかし、多様性というのは良い面ばかりではありません。近年部族間の争いが激化した時期もあり、部族という考え方は国内で廃止しようという傾向にあるそうです。
特に選挙の時期は「部族」という括りを人々が最も意識してしまう時期だと言います。現在の大統領は「カレンジ族」ですが、それ以前の大統領は「キクユ族」が多くを占めていたそうです。キクユ族は最も多い民族、つまり投票数も多い、当然のことですよね。そのため他の民族の政治家も、当選するためにはやはりキクユ族の意見を尊重するしかなく、政治全体がキクユ族に有利な方針へと進んでしまうのも理解できます。
このような部族間の不平等を解消すべく、現在の教育現場では「部族」を意識させるようなことは行わず、「mother tongue」を使用することもないそうです。そのため、現在の子供たちの世代では「部族」という認識は薄れており、ほぼ気にしていないと言っていました。将来的には、ケニアでも「部族」という考え方はなくなっているかもしれませんね。

マサイ族が遊牧中のラクダ
ちょっと街から外れると出会うことができます
マサイ族が遊牧中の牛
街中でも、牛、ヤギには出会えますが、田舎では数が一気に増えて道路が塞がれることもしばしば笑

ケニアって何語?

「ケニアって英語通じるの?」よく聞かれる質問です。
ケニアの公用語は、スワヒリ語と英語。加えて、「mother tongue」と呼ばれる各部族独自の言葉です。
スワヒリ語と英語は、小学校の前に通う「pre-primary school」で学習し始め、小学校以降はスワヒリ語の授業を除いて、すべて英語で学習します。そのため、街では多くの人が英語を話すことができます。
一方、「mother tongue」は学校で習うことはなく、親から子へ口承されてきました。そのため、話せるけど読めない・書けないという場合も多いそうです。(一応文字もあるみたいですが…)そして、近年では「mother tongue」は失われつつあります。家庭以外では使用する場所がない、かつ家族との会話もスワヒリ語または英語を使えば良い。そのため、子供たちは「mother tongue」を学ぶ必要性を感じず、親もあまり教えなくなっているため、今の子供たちは「mother tongue」を話すことができなくなっているそうです。オリジナルな文化が失われつつあるのは、少し悲しいです。

また、20代前後の年代までは普段の会話でスワヒリ語を使用していましたが、小学生前後の世代において「スワヒリ語と英語どちらが得意か」は、子供が住む地域によって様々みたいです。地域によって学校の教育方針にやや違いがあるらしく、一般的に都市部は英語、農村部はスワヒリ語という印象がありました。

このような事情によって、ケニアの家族が話しているのを聞いていると、
祖父母→mother tongue、スワヒリ語
親→mother tongue、スワヒリ語、英語
子供→スワヒリ語、英語
というように世代によって使用する言葉が異なります。加えて、3言語が節々にミックスされていることもあり、英語の部分だけ聞き取ることができるという不思議な事態が生じます。日本語のみを日々使用している私は、多言語を自然な流れでミックスできるケニアの人々の言語能力の高さに関心していました。

ちなみに、スワヒリ語は日本語と発音も似ていて文法も簡単、アルファベットを使用しているので、学びやすい言語です。興味がある方はぜひ笑

ケニアの宗教は?

私がケニアで一番感じていたこと、それは人々の「信仰心」。
ケニアでは、約85.5%がキリスト教、11%がイスラム教、2%以下がその他宗教という構成です。私が出会った人々も、多くがキリスト教徒、たまにイスラム教徒、という印象でした。

昔はケニア独自のローカルな宗教が信仰されていたみたいですが、植民地時代にキリスト教が布教され、国全体に広まったそうです。また、アラブ系の移民もしくはその子孫たちも多く暮らしているため、イスラム教徒の割合も一定数いるのだと教えてくれました。

そのため、街には教会やモスクがたくさんあります。私の友達は皆キリスト教徒だったのですが、多くの人が毎週日曜日の午前中は教会に出かけていました。(若い世代になるにつれて、徐々に信仰心が薄れ、教会離れしているとも聞きましたが…)
私はキリスト教の国で生活したことがなかったので、キリスト教に基づく人々の考え方や生活習慣に驚くことも多くあり、宗教がどれだけ私たちの価値観・考え方・生活に影響を及ぼしているのかを実感しました。

ケニアでは、
「キリストを信じてる?」
「いいえ」
「え、じゃあ日本人は何の神を信じているの?」
「・・・」
がよくある流れです。「お祈りする神がいる」ことが普通のケニアの人々にとっては、逆に信仰心の薄い私のことが信じられないのだと思います。
また、こんな会話もよくあります。
「結婚してる?」
「してないよ」
「結婚しよう」
「え!?」
「キリスト教徒?」
「違うよ」
「・・・」
やっぱり結婚に関して、宗教は大きな問題みたいです。
ちなみに、恐らく「外国人=お金持ち」という考えのもと、ケニア人はすぐに結婚しようと言ってきます笑

一度、現地スタッフと一緒に教会に訪れたのですが、私がイメージしていたような「建物が立派で、中では人々が静かに祈っている教会」ではなく、「白いテント作りで、人々は歌って踊りながら祈っている教会」で驚きました。ステージもあり一見ライブのような雰囲気です。しかし、人々は皆真剣。目をつむって、手を上に向けて、一生懸命祈っている姿に私は衝撃を受けました。

教会の外観
中の様子(分かりにくくてごめんなさい)
ステージ上の人が歌って踊り、人々も歌に合わて好きなように踊ります。

皆さんは日本の宗教について、外国人に説明できますか?
私はかなり苦戦しました。日々の生活で宗教を意識することはあまりないけど、お寺にも神社にも行く。ってことは、仏教?神道?でも、クリスマスも祝うし、ディズニーに行けばイースターを楽しむ…
(宗教に寛容とも言えるかもしれません…笑)
信仰深いケニアの人々にとっては、この状況があり得ないということが容易に想像できたので、あまり不快に思われないように、濁しながらふんわりと説明していました笑

宗教に対する信仰心の強さについて、一つお伝えしたいことがあります。
ケニアに来る前、カンボジアのボランティアハウスにてオーストラリアやアイルランド出身の友達と宗教の話をしたとき、
「一応キリスト教だけど、今は人々の信仰心は薄れてきていて、自分はキリスト教徒とは言えない」というような話を聞きました。
それをケニアの人々に伝えたところ、
「貧しい国ほど、信仰心が強い」と言われました。
「国が発展すれば、自分たちの力で生きていける。しかし、ケニアのような貧しく発展途上の国では、自分たちの力ではどうにもできないことがある。希望を持つためには神を信じるしかない。」
アラブ系の国など、もちろん例外はたくさんあると思いますが、この言葉にはとても納得しました。同時に、異なる環境で暮らしてきた人々を理解するためには、彼らの考え方・価値観の背景までしっかりと考慮しなくてはいけないと気持ちを改めました。

今回もずいぶんと長くなってしまったので、次回に続きます♪
現地で生活するだけでも、現地の文化や人々についてはもちろんのこと、日本や自分たちの生活について改めて気づくことは本当にたくさんありますね。
相変わらず私見満載の文章ですが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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