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ランニングって結局は素質の問題?

 はあー、まいった。練習してもしても速くならない。それどころか、あんなに練習したのに全然速くならない。あなたはこんな経験をしたことがありませんか?

 私はあります。少々私の昔話にお付き合いください。私は当時洛南高校二年生でした。チーム全体が全国高校駅伝での入賞を目指し、厳しい夏合宿を乗り越え、秋からのシーズンを心待ちにしていました。私はこの夏合宿では、誰よりも走り込み、高校生ながら30km走もこなしました。準備万端、私はトラックシーズンはインターハイ路線では補欠に回った悔しさを胸に、秋のシーズンに臨みました。

 ところが、私の期待とは裏腹に体は全く動きませんでした。9月のトラックレースでは人生初の16分台、16分32秒という忘れもしない人生ワースト記録を叩き出しました。なんとか、失敗を取り返そうと出た10月の京都ジュニアでは15分32秒、それほど練習していない他校の選手に抜かれ続け、情けないの一言でした。家に帰ると父親がつけたテレビから流れる坂本九の「上を向いて歩こう」は一生忘れることができません。家に帰っても、本当に上を向いていないと、涙がこぼれそうでした。

 これが全国高校駅伝で上位入賞を目指すチームの部員かと思うと情けなくなりました。私の当時の状況は練習すればするほど遅くなっており、これ以上努力しても結果が良くならないのは明らかでした。ところがです。その一週間後の駅伝で、何故か恩師の中島道雄先生は私をCチームの1区に起用しました。Aチームの1区は国体で11番、14分11秒をマークした文元慧さん、Bチームは一週間前の京都ジュニアで優勝している太田翔でした。「とりあえず太田から1分以内に帰ってこいよ」とチームメイトから言われていましたが、結果は1区10kmで30分39秒、太田とは3秒差、文元さんとは51秒差でした。

 確かに大した記録ではありませんが、一週間前の5000メートルのペースよりも速いペースで倍の距離を走ってしまいました。二週間後の京都府駅伝では、近畿インターハイの3000msc優勝者や10月に5000mを14分35秒で走っていた京都外大西高校の中村涼(現大阪ガス)を抑えての区間賞、そして近畿駅伝では3区を走って区間4位という成績でした。全国高校駅伝では、残念ながら4区を走って区間20位、チームも11位と惨憺たる結果となってしまいましたが、陸上競技について深く深く考えさせられた数ヶ月間でした。

 その後の競技人生も含めて何度となく経験したのは、トレーニングや休養の調和の不思議さです。トレーニングは頑張らないと結果は出ません。人より良い結果を出したければ、人よりやるしかありません。でもやればやるほど強くなるほど簡単な話でもありません。むしろ、頑張りすぎても遅くなることは多々あります。

 そして、同じような練習をしていてもある時は良い走りができて、ある時はできない。そこには栄養、睡眠、心といった様々な要因が絡んできます。気持ちだけでなんとかなるわけでもないけど、気持ちが明らかに競技に影響を及ぼします。練習したければ、栄養や睡眠にも気を使わないといけないけど、知識がないと適切なリカバリー戦略は立てられません。

 トレーニング一つ取ってもそうです。質より量でもなければ、量より質でもありません。どっちも大事に決まってます。ではその最適な調和点は?
 基礎トレーニングも大切ですが、実践的なトレーニングも大切です。ではその調和点は?

 考えれば、考えるほど陸上技というのは簡単なようで、難しい競技です。私はよく追い込みすぎて、故障したり、オーバートレーニングで全く走れなくなります。マラソンを2時間13分で走ったシーズンには、10000mで31分21秒という素晴らしい?記録を叩き出してしましました。そして、ほぼほぼ同じペースでマラソンを走りきっています。なぜ、こういうことが起こるのかといえば、10000mで31分かかるところまで練習をやり過ぎたこと自体はミスですが、やっぱり力をつける為の練習というのは楽ではありません。そこを通過しないと、結果が出ないのも事実です。

 私の場合は、やや余裕を持って練習している時の方が、良い結果が出ます。ただこれはあくまでも傾向の問題です。今まで自己ベストを出してきたレースの前で、練習が楽だった時なんて一度もありません。自己ベストが出る前の数ヶ月間というのは人間的な生活をしていません。食べて、走って、体の手入れをして、寝るだけの生活です。後は、その時々で勉強をしなければいけなかったり、働かなければいけなかったりというのは当然あったのですが、プライベートで誰かとご飯に行ったりということはありませんでした。幸い、私の場合は読書魔なので、それでも息がつまるということはありません。むしろ、そこまでして何か一つのことに没頭できる感覚は快感ですらあります。ただ、それでもいつもレースが終われば、解放感は感じます。明日からしばらくは、あそこまで自分を心身ともに追い込まなくても良いと思えます。

 長距離選手は、国内外を問わずトップ選手は合宿での集団生活を送ることが多いです。私はそれには2つの理由があると思います。1つ目は、一緒に練習することで、辛い練習が楽しくなることです。私もトレーニングパートナーのヴァレンティン、フィリップ、ファビアン達とトレーニングするのは楽しいです。また、お互い交代で引っ張り合うことができるので、調子が良くない時も初めだけリズムを作ってもらえば、なんとかなることもあります。

 2つ目の理由は、数ヶ月間にわたってプライベートも何もない生活をする訳ですが、その中でもやはり人間には息抜きが必要です。そうはいっても、非競技者と遊びに行くことは非常に危険です。まず、非競技者と競技者では睡眠の需要が全然違います。非競技者にとっては遅い時間ではなくても、競技者にとっては大抵遅い時間です。気づいたら、すぐに遅くなってしまいます。またレース前の数ヶ月というのは片時も陸上競技のことが頭から離れません。そして、これは必要なことです。日常生活における些細なミスで、数ヶ月間に渡るハードなトレーニングとストイックな生活を台無しにしてしまうことはしばしば起こるものです。競技者というのは、遊びにいくのも、明日からまた集中する為の手段であり、遊びにいくこと自体は目的ではありません。一方で、普通遊びにいくときは、ただ遊びたいからいくのが普通ではないでしょうか?遊んでいるときに仕事の話をされるのが嫌な人も多いでしょうし、皆んなが盛り上がっている時に、一人冷めた人間がいるのを嫌がる人もいるでしょう。基本的に両者がわかり合うことは不可能なので、レースの3ヶ月前くらいからは非競技者と遊びにいくのは現実的ではありません。
 ただ、共同生活をしていれば、日々の中に些細な楽しみを持つことが簡単になります。私たちも2ヶ月間のトレーニングの中で、一度だけビーチでの17km走の後に皆んなで、温泉に入って、アイスクリームを食べて帰ったり、25km走の後に、湖でアイシングをして、焼いて行ったケーキを食べたりしました。そう行った息抜きができるというメリットがあります。
 ただ、もちろん男だけで、ずっといれば、ギスギスしてぶつかることもあります。私は日本の上下関係が嫌いなのですが、ただ外国のように上下関係がないのも難しい部分はあります。どちらが上か下かというのを形だけでも良いから決めておかないと、引くタイミングというのが、分かりません。ちなみに、日本語は婉曲表現で、英語はストレートな表現というのも嘘です。英語もドイツ語も言い方を考えないと、ぶつかります。
 私はといえば、何語を喋ってもそういう細かいことを気にするのは、性に合わないのでストレートに話します。そうすると、茶碗と茶碗がぶつかるような言い合いになります。共同生活をしていれば、そういうこともあるのですが、ヴァレンティンもファビアンもフィリップも私にとっては、最高のパートナーです。一時期は二度と合宿なんてするもんかと思いましたが、今はまた生活が落ち着いたら、一緒に合宿をしたいと思います。

 さて、本題に戻すと、あくまでも心身ともにそこまで追い込んでいって、きちんと体が適応すれば結果が出るし、適応できなければ、結果は出ません。むしろ、時に素人のようなタイムが出てしまいます。人はそれを見て、「バカだなあ」とか「素質がないんじゃないか」と言いますが、私はそうは思いません。通過儀礼みたいなもんです。そういったギリギリのところを何度も繰り返していくうちに加減がわかるようになるし、体の方も強くなっていきます。そうやって、考えた時になまじっかセンスがあるのも、良し悪しです。センスはあった方が良いに決まっています。何と言っても素質は重要です。ただ、高校生くらいで、そんなに練習しなくても他の人より走れる人はいるのですが、その後、一度壁にぶつかるとすぐにドロップアウトする選手は多いです。試行錯誤のないままに結果が出ていたので、一度結果が出なくなるとどうして良いかわからないし、現実を受け入れられないというのがあるのだと思います。

 さて、では少し話題を変えて、練習のことだけを考えていれば、強くなれるのでしょうか?ここまでの話からなんとなくお分かりいただけるかと思いますが、決してそうではありません。なぜなら、ギリギリのところを責めていくので、飲み物、食べ物、睡眠の量・質といった要素で結果が出るか出ないか変わってくるからです。漫画の世界なら、女好きの酒豪が走っても速いということはありますが、現実の世界ではあり得ません。
 私が所属するKimbia Athleticsの先輩には昔初マラソンで世界最高記録を出し、二戦目のロンドンでも優勝、その次の年のシカゴでも2番に入った選手がアル中で潰れていったことがあります。どれだけ、素質があろうが関係ありません。人間である以上、無理なものは無理なんです。残念ながら、マラソン界に酒豪伝説はありません。私が知っている一番大きな酒豪伝説は、拓殖大学の監督をされていた米重さんが現役時代、お酒を飲んで酔っ払った状態でどのくらい走れるのか急に試したくなり、そのまま競技場に行って10000mのタイムトライアルをしたという話があります(その発想自体もうだいぶ酔っ払ってる証拠ですね)。ちなみに、そこまで酔っ払っても29分台を出したという伝説が残っています。昔の選手は、今よりも飲兵衛が多い印象はあります。瀬古さんも大のビール好きでしたし、旭化成陸上部でも、誰かが潰れるまで、飲み比べが行われたそうです。ただ、そういった体に悪い経験も身を以てして、やっぱり競技にマイナスだからやめておこうということになるそうです。
 ちなみに森下広一さんが奮起するきっかけになったのも、故障しているのにもかかわらず、梅酒を呑んでいるところに、宗さん(どちらか忘れました)が来て、咎められたことでした。ここからも、結局宗さんも酒は飲まないに越したことはないという考えの持ち主だということが分かります。

 精神面に関していえば、真面目で継続的に努力ができるというのも、大きな条件ですが、私が今まで見てきた選手で強くなる選手は、図太い選手が多いです。一方で、あまりにも真面目で細かいことを気にする選手は、やっぱり精神的な波が大きいです。この辺りも難しいところで、ひとつひとつの物事を真剣に捉えて、実践していくということは大切ですが、最終的には根拠がなくても良いから「自分なら出来る。大丈夫」と思える選手じゃないと厳しいです。ただ、これはあくまでも、一つ一つの練習や私生活を真剣に突き詰めた上で、言える選手じゃないと、ダメです。練習しなくても良いという訳ではありません。ただ、どんな選手も全てが完璧にいく訳でありません。真剣にやればやるほど、自分に求めるレベルが高いので、上手くいかないことも多々あります。それでも「よし、もう一丁」と思える選手でなければ、厳しいです。

 さて、今回は「ランニングって結局素質の問題?」というテーマから深く掘り下げて考察してみました。競技レベルではやったことがないという方も、「練習しているのに結果が出ない」、「なんであの人は、あんな簡単にタイムが伸びているのに、私は伸びないんだ」と思ったことはありませんか? 

 今回はそんな陸上競技の難しさを経験しているあなたのためにお得な集中講義をご用意しました。なんと弊社から販売しているトレーニングプログラムビルダー、中長距離トレーニングのイロハ、マラソン史から学ぶトレーニング、ウェルビーイングオンラインスクールトレーニング編第11回から13回、目標を達成するのには訳がある、体調管理マスタープログラムの計約6万円分をお得な3万円のパックにしました。そして、更に先着10名様限定(残り5名)で、特別に半額にてお届けいたします。

講義の内容は以下の通りです。

目標を達成するのには訳がある 1時間35分42秒
最大限のパフォーマンスを発揮するための心の使い方を解説します。

トレーニングプログラムビルダー 2時間1分33秒
自分で自分をプロレベルでセルフコーチングする、トレーニングプログラムの作り方を解説します。

中長距離トレーニングのイロハ 2時間14分9秒
1500mからマラソンまで、市民ランナーから世界記録保持者まで共通するトレーニングの原理原則を解説します。

マラソン史から学ぶトレーニング 1時間35分2秒
先人たちの試行錯誤から、長距離走のトレーニングについて学びます。

体調管理マスタープログラム
第一回 ウェルビーイングとは何か?ホメオスタシス機能の話 42分04秒
第二回 細胞、ミトコンドリア、DNAの話 64分31秒
第三回 食べ物、飲み物、睡眠の話 95分03秒
第四回 LLLTの話 27分20秒
番外編第一回 心身の連関について 90分27秒
番外編第二回 セックスについて 39分09秒

最高のパフォーマンスを発揮するための体調管理の仕方について解説します。

総再生時間約13時間

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