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「失敗の科学」の感想 間違えを次に活かすのは激ムズ

★4
失敗から学ぶことの難しさ、その大切さを謳った本。
間違いなく名著で多くの人が読むべきだと思う。
似たような主張をする類著としては”マインドセット「やればできる! 」の研究”があるが、こちらも素晴らしい本。

印象に残ったのは「反証性がないタスクは暗闇の中でゴルフをしているようなものだ」のセリフ。
科学は反証性があったから、つまり失敗を認める環境にあったからこそ発達した。
しかし、アドラー心理学、占星術、宗教などはフィードバックを受け取れる環境そのものにないため、自らを改善していくことはできない。

我々が過去から学ぶべき態度は、むしろ失敗を作り出し、そこから建設的に学びを得る態度である。

自分がYouTubeで見て影響を得た動画の一つに、スティーブジョブズのインタビューがある。

その中で彼はこう言っていた。
「私は何か主張していても反対の証拠を見た瞬間、180度意見を変える。」
「実際私はよく間違うが、最後の決断が正しければ構わない」

21世紀で最も偉大な功績を残した一人である彼も、失敗から学習する態度を忘れずにいる。
自分も失敗を恐れずに、学ぶ態度を大切にしていきたいと思う。

以下メモ


・反証性がない、つまりフィードバックがない仕事や産業は成長しない
例)占星術、アドラー心理学、カウンセラー
→科学は反証可能だからこそ成長し続けた

● 失敗を認めるのはむずかしい
・失敗を認めることは非常に難しい
例)冤罪、カルトの予言失敗後の行動
→人間は失敗に直面すると事実の解釈を変えてしまう、いわゆる認知的不協和の解消

・サンクコストを正当化するために自分の認識そのものを変える
・努力が判断を鈍らせる
・過去は事後的に編集される
例)FRBに対する専門家たちの提言、最初に選んだキャリアから変えられない
・自尊心が学びを妨げる
例)テレビ番組に多数出演する専門家の予測ほど外れる
・あえて間違えろ
例)2,4,6のルールを半焼するため、あえて間違える必要がある
・イデオロギーが科学を殺す
例)ルイセンコの農法を採用しメンデル派を弾圧したスターリン

失敗から学習する方法
・失敗を超高速につくりだせ
例)ノズルを少しずつ変えて高速試行錯誤→生物学における進化のプロセス
→自由市場のシステムは、失敗が多くても機能するのではなく、失敗が多いからこそ上手くいく
・発明は理論に先立つ
→これは面白い、技術的進化はトップダウンプロセスの理論から起こると思われがちだが、ボトムアップ式の試行錯誤が軽視されているとのこと
・まず「つくったとして価値があるのか」を見極めよ
例)靴の通販サイトを検証するために、実際に実店舗の写真を撮らせてもらう

●失敗から学ぶことを阻むもの
・単純化し脊髄反射的な非難
→どんなミスもあらゆる角度から検討して初めて、相反する出来事の表と裏を見ることができる
・懲罰や「クビ」は問題を解決しない
→かえって隠蔽体質を高めることになるから

●マインドセット大事
・誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる
→失敗は欠かせないとむしろ考える、成長マインドセット
・人類の進化はルネサンス期で一度止まっている
例)宗教による権威主義とガリレオ、共産主義も同じ
→失敗ありきの設計をせよ、「事前検死」のアプローチ


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