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芸人、人生の夏休み

今日で五日目となった無職日記。
朝寝て夕方に起き、ゲームやネットサーフィンをして気づけば朝、という生活をコロナ禍の三年間続けていた。
そのような日課というものが存在しない生活を送っていた私からしてみれば、これはとてつもない快挙なのである。

高二、三の時もこのような自堕落な生活を送っていたこともあり、二十二歳にしてトータル五年、約四分の一は人生の夏休みを過ごしている。
それが今、六年目になろうとしているのだからさすがに危機感を持ったほうがいい、と他人事のように感じている。

話は変わるが今、私は録画していたお笑い番組をみている。
お笑いは凄い。
人生の夏休みを五年も続けていると、一日も声を発しないのは勿論のこと、表情筋を使う出来事すら皆無なことはざらにある。事実、久しぶりに人に会った時、顔中の筋肉が痛くなった記憶があるくらいだ。
そんな時、私はお笑いに出会った。
食事排泄以外はただ横たわって呼吸をしているだけの、死んだような一日。それを一瞬にして笑顔溢れる一日へと早変わりさせたのだ。
私の人生は芸人さんに救われたと言い切ってしまっても過言ではない。

私はゴールデン帯のバラエティよりは深夜バラエティやラジオのほうが好きである。というのも、私は人を笑わすことを職業にした芸人さんを尊敬しているからだ。
常人であれば芸人という不安定な職に就こうとイカれた決断などできないはずである。
しかしながらテレビで活躍している芸人さんは勿論、地下芸人と言われる無名の芸人さんも、私の中では安定と笑いを秤にかけた時に笑いをとった、いわば英雄なのである。
そんな芸人さんが台本よりもその場のノリで楽しそうにしている姿を見ると、本当に面白いと同時に本当に嬉しいのだ。

笑いという魅力に憑りつかれ、尚且つ安定を捨て笑いを選んだ酔狂な英雄たちが楽しそうに仕事をしている姿が見れるのである。
私にとってこれ以上の喜びなどない。



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