春の慈しさ
春を過ぎる。
愛を求めて姿を変える落葉の秋の心が。
ああ桜はなんと侘びしく儚いものだろうか。
去り際に人一倍、美しい姿をみせて散っていく。
泣いているような笑っているような。
うすももいろの花弁が濡れて透明になっていく。
旅立つためにすべてを置いて行ってしまうように
無に帰っていく。
はらりはらりと折り重なったひとひら達は
重なりあってその身を再び赤く染め上げる。
散りゆく桜の花弁が包み込むように。
春の雨とはだれが言ったのだろう。
白く冷たくいてつく雨が抱きしめるようにあたたかい。
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