法の下に生きる人間〈第33日〉
すでに、フォロワーの皆さんの中では、新旧の教育基本法の条文比較をされている方もいるだろう。
今日は、旧・教育基本法にどのような規定があったのか、第4条と第5条を取り上げてみる。
〈旧・教育基本法〉
【第四条】
国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。
【第五条】
男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。
以上である。
まず、現行の教育基本法では削除されている第5条の「男女共学」であるが、これはもう時代が変わっているので、わざわざ触れることでもない。
今や、男女という性別の括りすら、ナンセンスな時代なのである。
次に、第4条の「義務教育」であるが、これは現行の教育基本法では、第5条に移動となった。
ただし、削除された文言がある。ご存じだろうか。
以下に、現行の「義務教育」に関する条文を示そう。
〈現行の教育基本法〉
【第五条】
国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
2 (略)
3 (略)
4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。
以上である。
第5条第4項は、旧法の第4条第2項と同じ内容である。
だが、新旧の第1項を読み比べてほしい。
「九年の普通教育」の「九年」が削除されているのである。
そして、新たに挿入された文言が「別に法律で定めるところにより」である。
子どもに普通教育を受けさせる義務を負っている点は、昔と変わりはない。
だが、「九年」が削除されたらどうなるのか気になるだろう。
心配無用である。
以下の条文がある。
【第十六条】
保護者(子に対して親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。以下同じ。)は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
この第16条は、学校教育法の条文である。
これが「別に法律で定めるところにより」の根拠条文となっているので、削除されても影響はないのである。
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